Marine Sweeperとは
このページをご覧いただき誠にありがとうございます。Marine Sweeper代表の土井佑太です。
Marine Sweeperは2021年に持続可能な海中清掃を目指して立ち上げたフィッシングダイバー組織です。
陸上のゴミ問題をはじめとした日本の釣り場環境を取り巻く状況は非常に厳しいものとなっております。海中の釣りゴミにいたっては、ほとんど回収がされることなく蓄積され続けている状況です。
持続可能な社会を目指す現代においては、これらの状況が年々と許されざる状況となってきていることは、アウトドアを親しまれている皆様はご存知のことでしょう。しかしながら、海や自然に親しむ機会が子供や若者から失われ続ける中で、釣りはその間口として大いに貢献してきた面もあります。
Marine Sweeperは、環境保全、資源保護のために釣りを禁止するのではなく、釣りに触れることによって自然を愛し、護る人が増える社会を描きます。
Marine Sweeper活動は、そんな日本国内の海洋環境と釣り場の問題を打開し、釣り人のライフサイクルを自然環境の貢献へと繋げ、美しく豊かな海の未来作ることを目指しております。
Marine Sweeper
代表 土井佑太
海中清掃の様子
この感動を未来につなぎ、海の護り人を増やす
環境問題を考えたとき、そもそも釣りをしない方が良いという意見もあるかもしれません。これに関して言えば、短期的には正しいのでしょう。
しかしながら、釣り人が釣りをやめても海洋ゴミ問題が解決しない。それどころか自然に親しむ人が減るほどに環境問題は悪化すると考えています。
釣り由来のゴミ以上にその他の理由で排出されたゴミが多いことも理由ですが、環境問題の解決において一番の障害は、無関心だからです。
そのため、増加する海洋ゴミ、減少する水産資源、これらの問題を解決する方法は、関心持って解決のための行動をする一人を増やしていくことが大切になります。
海洋研究、海洋保全に携わる人は、幼少期、あるいは現在進行形で海洋レジャーを楽しまれている方が多いことを考えたときに、海の護り手を増やすためにも海洋レジャーの促進は重要であり、釣りはその一番大きな間口なのです。
そして、世界の隅々まで拡がってしまった海洋ゴミの回収して綺麗にできるのは、世界の様々な場所で釣りをする釣り人、潜るダイバー以外にいません。
この活動を拡げることによって、世界の隅々まで釣りをしダイビングをして海洋ゴミ回収する、一人でも多くのフィッシングダイバーを増やすことができれば差し迫った海洋問題の解決になると信じています。
魚が食べられなくなる未来を変えるために
なぜ海中清掃をするのかを、魚の減少するデータと過去のプラスチック流出による健康被害の事例を紹介してご説明をいたします。
実際に日本近海の魚の量がどのくらい減っているのか。長期的な周期で大きく増減するマイワシの漁獲量と、国際情勢などの影響を大きく受ける遠洋漁業による漁獲量を除いた推移を見ると、1978年以降漁獲量の減少が着実に進んでいることがわかります(下図)。漁船漁具の大型化や、改良による漁獲能力向上、衛生情報の利用も可能になり、漁獲能力は向上しています。それにもかかわらず減少し続けているということは、海中に存在する魚の資源量自体がいかに減少しているかわかります。
その原因は、水質汚染、過度な水質浄化、乱獲、埋め立て・ダム等による環境破壊など多岐な要因に渡ります。
プラスチック等の人工物による海洋汚染もその要因の一つです。漂流した漁網などのマクロプラスチックはゴーストギアとも呼ばれ、サンゴ等に絡まったり、海洋生物を傷つけたりしています(下写真参考)。また、漁具に限らず海に流出したプラスチックは波や紫外線により劣化し、細かく砕けても海中から決してなくなることなく、マイクロプラスチックとして海中に残り続けることとなります。
根掛によって残留する釣り糸に関しても、分解は非常に時間がかかりその過程では多くの影響をもたらします。
下2枚の写真は私にとっては特別な光景ではなくありふれた残念な日常風景です。
海洋ゴミによる生物被害の写真
そして、マイクロプラスチックにはさまざまな物質が添加されていたり、漂流中に海水から有害な物質を吸着していたりします。特に問題とされているのがポリ塩化ビフェニル(PCB)という油です。皆さんは1968年に起きた『カネミ油症事件』をご存知でしょうか。製造過程でPCBが混入した食用油を摂取した人々が肌の異常、頭痛、手足の痺れ、肝機能障害などの症状を引き起こした食品公害事件です。その後、先進国ではPCBの生産を中止しましたが、流出したPCBは自然界に残り続けています。そして恐ろしいことに近年、海中を漂うマイクロプラスチックがこのPCBを吸着していることが明らかとなってきています(下図)。
海洋生物はマイクロプラスチックを餌と間違えて食べてしまうことがよくあります。マイクロプラスチック自体は糞として排出が可能なのですが、油であるPCBは脂肪細胞に蓄積されてしまいます。食物連鎖を通じて生物濃縮が進むと、繁殖力低下や発達障害を引き起こす恐れがあります。そして、最終的にそれを口にしてしまうのは我々人間です。
すでに流出してしまったプラスチックの量は計り知れません。そして、現在も流出し続けています。
現在進行形で日本近海の海洋生態系は死に際に立たされているのです。
ご支援の使い道
Marine Sweeperは現在、釣り人の皆さまからの海中ゴミリサイクル品の購入で成り立っています。しかしながら活動規模を拡大するには、海中ゴミリサイクル品の売上で賄うことが難しくなってきました。
差し迫る海洋問題に対して急ピッチで活動拡大するためにも、全国の海中清掃人材の発掘と協力ネットワークの構築が急務となっております。
皆さまからのご寄付は、全国各地で水中清掃を持続可能とするための視察及び教育支援ネットワーク構築のためにご使用させていただきます。
全国各地の視察では水中清掃エリアの拡大のための潜水視察とフィッシングダイバー増加にご協力いただきつつ各エリアの水中清掃のリーダーシップを担ってもらうダイバーとの連携構築をしてまいります。
予定金額を超える寄付に関しては次世代のフィッシングダイバー創出のための講習訓練実施費用(視察同行も含む)としてもご使用させていただきます。
Marine Sweeperの活動紹介動画
参考文献および論文
望月賢二(2020)「生態系の劣化と資源減少」小松正之・望月賢二・寳田康弘・有薗眞琴, 地球環境 陸・海の生態系と人の将来「世界の水産資源管理」, 株式会社 雄山閣, pp.168-172
蒲生俊敬(2019)「深刻化する深海のプラスチック汚染」秋道 智彌・角南 篤(編), 海と人との関係学「海の生物多様性を守るために」, 西日本出版社, pp.66-80
高田秀重ほか(2014)International Pellet Watch(IPW):海岸漂着プラスチックを用いた地球規模でのPOPsモニタリング, 地球環境, vol.19, No.2, pp.135-145.