白血病と言われたら…
風邪かな、と思って近くのお医者さんへの受診や、あるいは地域や会社の定期検診の結果など、人によってきっかけはさまざまです。
そして医師から「あなたは白血病です」とか「白血病の疑いがあります。大きな病院を紹介しますから、もっとくわしい検査をしてください」などと言われると、多くの人は一度は自分の耳を疑い、次に「目の前が真っ暗」になったり「頭の中が真っ白」になったりするといいます。その時、その患者たちは自らの死を意識し、絶望的な思いを感じたに違いありません。でも、どうしてそんな思いに襲われるのでしょうか。それは「白血病」という言葉が、イコール「やがて死に至る病」という昔からの間違ったイメージ=固定観念がすでに頭の中にもできあがっているからです。
(血液疾患病初期の患者さん向けハンドブック『白血病と言われたら』序文より抜粋)
医学の進歩により、白血病をはじめとした難治性血液疾患(血液難病)は決して死を恐れなくてはならない病気ではなくなりました。しかし、その治療は患者さんにとってとても辛いものであり、闘病期間は長期にわたり、そして大きな経済的負担を強いられるという状況は、昔も今もかわりありません。

全国骨髄バンク推進連絡協議会の活動①
当協議会では、血液疾患の患者さん、ご家族が希望を見失わずに前を向いて闘病生活に取り組んでいただくための支援を行っています。ここではその一部を紹介いたします。
患者さんやご家族などの相談ごと対応、及び正しい知識の普及のために
①白血病フリーダイヤル 0120-81-5929(ヤマイコクフク)
1996年7月から「白血病フリーダイヤル」という血液難病の患者さん、ご家族のための無料電話相談を毎月、第2・第4土曜の10:00~16:00に運営しています。
血液の専門医や元患者、患者家族、医療関係者がさまざまな相談に応じます。匿名での相談が可能です。
これまで1,318回開催。相談件数は累計で9,319件に上ります。(2025年3月31日現在)
②血液難病に関する情報を網羅したハンドブック「白血病と言われたら」の発行
全国の血液内科医をはじめとした専門家50人の協力を得て、病気の説明や治療法、薬に関する最新情報を幅広く網羅した「病初期の患者さん・ご家族のためのハンドブック『白血病と言われたら』」を発行しています。「誰が読んでもわかりやすい医学書」という方針のもと、編集されています。
また、病気の情報だけではなく、白血病フリーダイヤルに寄せられた相談内容から、患者さんやご家族が本当に必要としている情報を提供し、患者さんの困りごとに対応しています。
1999年8月の初版発行から改訂を重ね、2025年5月には第7版を発行しました。累計発行部数は59,000部です。より多くの方に読んでいただくために、当協議会のホームページから無料ダウンロードもできるようになっています。
③医療講演会等
正しい知識の普及・啓発のために医療講演会や患者相談会を随時開催しています。


全国骨髄バンク推進連絡協議会の活動②
患者さんの治療のための経済的支援
血液難病の治療方法は医学の進歩と歩調を合わせ、その幅を広げてきました。また、現代においては国民皆保険制度や高額療養費制度により自己負担の医療費も上限が定められていて、その金額以上は保険が負担してくれる仕組みになっています。しかし、治療の過程で発生する全ての費用に保険が適用されるわけではありません。国や自治体の支援が行き届かない場合、経済的な格差により、選択できない治療法があるというのはとても不幸なことです。経済的困窮を抱えた患者さんのために当協議会では次の3つの基金を用意しています。
《佐藤きち子記念造血細胞移植患者支援基金》
日本骨髄バンクに支払う患者負担金やドナー差額ベッド代、更には骨髄液運搬費など、移植には独特の費用がかかります。移植治療関連費用を支援します。
《志村大輔基金》
①血液疾患の最新の治療薬として「分子標的治療薬」という薬が使われています。
高価なものなので、継続的な投薬が難しい方もいらっしゃいます。分子標的薬治療の費用を支 援します。
②治療の過程で消失する可能性がある妊孕性(パートナーを妊娠に導く力)温存のための精子 保存費用を支援します。
《こうのとりマリーン基金》
治療の過程で消失する可能性がある妊孕性(妊娠する力)温存を目的として卵子を保存する費用を支援します。
その他
上記の他、骨髄バンクの普及やドナー登録推進活動、各種ドナー支援活動など幅広く活動しています。

ご寄付の使い道について
当協議会の全ての活動は、皆様のご寄付で支えられています。
皆様にお寄せいただきました寄付金は、血液疾患の患者さん、ご家族の支援のために上記の活動に大切に使わせて頂きます。
当協議会は認定NPOです。寄付金は税法上の優遇措置が適用されます。
一人でも多くの患者さんを救うために、皆様の温かいご支援をお待ちしております。
希望を持って治療に挑んでほしいから
最後にもう一度、もしも「あなたは白血病です」と言われたとしても、それは不運なことではありますが、ひどく落胆する必要はありません。絶望することだけはやめましょう。これから、白血病と正面から向き合い、克服していくのだ、という強い信念を持ってください。それには、自分の白血病がどのような病気であるのかを学んで行く努力が必要です。
そして、白血病治療に精通した主治医とともに、どのような治療法を選択するのかを納得した上で希望を持って挑んでいってください。そこから、明るい未来が拓けることにかけてみてはどうでしょうか。
(全国骨髄バンク推進連絡協議会 顧問・元理事長 野村正満)
<血液疾患病初期の患者さん向けハンドブック『白血病と言われたら』序文より抜粋>
