想像してみてください
あなたの住む村に電車もバスもなく、町の中心部に行くには、この一本の農道しかありません。しかし、雨季になると、その道の至る所には大きな穴とぬかるみ。車やトラックがはまってしまったり、水汲み帰りの子ども達が転倒してしまったり…。学校、病院、市場も、この農道の向こう。病人や妊婦を乗せたバイクも、重たい農作物を積んだ農家の自転車も、この農道を通らなければなりません。また、道が悪いと村に人が来てくれません。作物の仲買人のトラックがこの村に来ることを拒んだり…悪路が貧困からの脱却を遅らせているのです。
私達「道普請人」の活動である「現地の人と行う道直し」は、その先に思いがけない喜びが待っていたりします。私達はいつもその瞬間に出会える時を思い浮かべながら、新しい村に出かけます。
「自分たちの道は自分たちで直せる」という意識を広げたい
途上国の農村の、ほとんどの道は舗装されていません。悪路に長年悩まされている村が世界にはまだまだ沢山あります…。
京都大学名誉教授木村亮(本NPO法人理事長)は1993年に専門家としてケニアに赴任して以来、工学者として開発途上国の人々の幸せに貢献する方法を考えてきました。そして、10年間で15回にわたる現地訪問や活動を通じてたどり着いたアイデアが、「土のう」工法でした。その土地で集められるものを材料として、簡単な技術で農道やため池などを整備する「工夫の一つ」です。土のうの技術を現地住民へ普及する事によって、彼ら自身で彼らの生活を守れるようになり、「自分たちの道は自分たちで直せる」という、自信とやる気が生まれます。そういった、自分達の力で前へ進もうとする気持ちを引き起こさせる事こそが、私たちの役目であり、使命であると思っています。
土のうを使った修繕方法
土のうとは、プラスチックの繊維で編まれた袋(途上国ではポリプロピレン製のものが多い)に土砂を詰め口部を紐で縛ったものです。土のうを積むことで、水や土砂の流入を防ぐことができることから、水害時の応急対策や土木工事全般に用いられます。そんな土のうを地面に均等に並べて人力で締め固めると、車の重さを支えるぐらいに硬くなります。土のうを基盤とする雨風に負けない道路を、村から村へと繋げていくのです。
Before(施工前)
After(施工後)
「土のう」は"Do-nou"世界共通語に!
サブサハラアフリカの活動国では、現地道路行政と協力して、工法のマニュアル化や職業訓練校でのカリキュラム化を推進しています。現地の文書には「Do-nou technology]と明記されています。
人びとの暮らしはどう変わった?
ウガンダ:Mr.Kasirivu mosesの場合
道直しの後は作物を腐らせずに市場に出荷できるようになり、収入が向上しました。仕事を手伝っていた子どもたち全員を大学まで行かせるという夢を持って、日々仕事に励んでいます。
ケニア:Mr.Simon Njugunaの場合
道直し研修後に、訓練生に起業支援サポートも行っています。ケニアではこれまでに、訓練生によって建設会社が約40社設立されました。
ルワンダ・ウガンダでも約30の訓練生グループが道路維持管理事業を受注しています。
道普請人の研修に参加した若者は、今も地域に新たな雇用を生み出しています。
暮らしの豊かさに向けて広がる活動
私たちは現地で雇用するスタッフと力を合わせ、住民と一緒に道直しを行い、技術移転を進めます。同時に現地行政や国際機関にも積極的に道普請人の活動成果を示し、日本政府や民間団体からの助成の獲得や、国連機関や他分野で活動するNGO等との連携が進んでいます。
私たちの活動を知ってください
そして応援をお願いします
これまで(2023年3月現在)、244kmの未舗装道路を整備し、うち80kmは土のうを利用しました。多様な現地の状況に合わせ、橋や盛り土など最適な工法や利用する材料を工夫しています。
1車線道路の延長1mあたり、約500円から5,000円で直すことができます。さらに、現地住民へやる気、自信を与えることができるのです。いただいたご寄付は開発途上国の未舗装道路を整備するために必要な人件費や材料費などに活用させていただきます。
あなたも「道普請人(みちぶしんびと)」になりませんか。