地域内でのつながりの希薄化によって、子どもたちが孤立状態に
総社市は私、そうじゃ食堂 くうねるあそぶ代表の森川が生まれ育ったふるさとです。約40年前、小学生だった私は、親族が学校勤めだったこともあり、学校の先生や地域に知り合いがたくさんいて、日ごろから声をかけ耳を傾けてもらい、みんなから優しく見守られている安心感のもとで過ごしていました。家や教室以外にも自分のことを受け入れてくれる"居場所"があったおかげで、学校内でも分け隔てなく、すべての友だちと楽しく過ごせる環境でした。
そのときの経験や記憶は、大人になった今でも私の中に強く残り、総社市への郷土愛の礎にもなっています。またそうした環境は、子どもの健全な成長にも欠かせないものであると考えています。
しかしながら、2017年より開始したこども食堂の取り組みを通して見聞きする現状は、私の子どもの頃の記憶とは大きく異なるものでした。
マンションやアパートでは隣人の名前を知らない、あいさつを交わさない、地域のお祭りの廃止、子ども会の解散などなど。子どもたちからも、放課後は家にこもってずっとゲームやスマートフォンをみて過ごしているという話も多く聞きます。
もちろん、いずれも悪い側面ばかりではありませんし、時代も社会もめまぐるしく変化しています。それでもやはり、「地域」に育ててもらった私としては、地域内のつながりが希薄となっている現状にとても寂しさを感じるとともに、子どもたちが安心して暮らせる環境や郷土愛の醸成が不足していることを肌で感じています。
実際に、「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(文部科学省)」によると、小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は過去最多(児童生徒1,000人当たり53.3件)、小・中学校における不登校児童生徒数も10年連続で増加し過去最多(299,048人)となっている他、児童の自殺も後を絶ちません。( 参考文献 : 文部科学省HP)
こうしたニュースを見るたびに、私自身の経験や我が子のことが頭に思い浮かびます。私が子どもの頃、家や教室以外にも安心して話を聞いてもらえる居場所があったのは、周りの大人が自分たちのことを気にかけ、やさしく声をかけてくれていたからです。決して自分から声をかけて回っていたわけではありませんし、そんなことはできなかったと思います。
我が子や周りにいる子どもたちと、いじめや不登校、自殺等のニュースを重ね合わせたとき、いまの子どもたちには、学校や家での悩みや不安、不満を話せる大人の存在がどれほどいるのだろうか、もっともっと子どものことを気にかけてくれる大人を増やしていかないと、そんな想いが募るばかりでした。
子どもたちを中心に、新しい地域のつながりを生み出したい!
そのためにも、子どもたちの声を掘り起こし地域へ届けたい!
そんな私の大好きなふるさと「総社市」の記憶と、こども食堂の活動を通して見聞きする現状とのギャップに、何とかしないと!という想いを持つようになりました。
これから先、新しい地域の人と人とのつながりをつくっていく上で、やはり中心となるのは未来を担う子どもたちであると考えています。
子どもたちが思ったことや感じたことを自由に表現し、それを周りの大人が受け止め寄り添う。40年前と全く同じ形でなくても、いまの時代ならではの新しいコミュニティをつくれないか、そのような思いで企画を考えました。
2020年、総社市でのこども食堂の普及と、子どもから学ぶこと・子どもを愛することの大切さを周知することを目的にシンポジウムを企画しましたが、コロナ禍により断念。
それでも何とか、子どもたちの声を掘り起こし、届けられる活動ができないか、と思いついたのが今回の「作品集制作&展覧会開催」の事業でした。
最初は1度きりの開催予定でしたが、実施してみると子どもたちから想いがこもったたくさんの作品が届き、作品集や展覧会の企画を通して、様々な大人の方との会話も生まれました。実際に作品や作品集といった形に残るモノをつくることで、地域の方同士で対話やつながりが生まれるきっかけとなる可能性を大いに感じました。
実際に私たち自身も、この活動を通して、子どもたちや学校関係者、親御さん、中学・高校・大学生のボランティアの方々、地域の方や企業の方など、たくさんの人とつながることができました。また、こども食堂の取り組みと合わせて「そうじゃ食堂 くうねるあそぶ」を知っていただくことで、他の方をご紹介いただいたり、一緒に企画を宣伝いただいたり、当日の運営を手伝っていただいたりと、年々つながりも広がっております。
毎年新しい出会いや発見があり、その期待感と効果の実感は回数を重ねるごとに大きくなっており、ついに今年で5回目の開催となりました。
総社市内の全小学生から募集した作品集を制作・寄贈し、展覧会を開催!
今年のテーマは「ふくし(=しあわせ)」
本事業では、総社市内全13校の小学校と昭和五つ星学園義務教育学校の小学生約4000名からテーマを決めて絵や言葉を募集し、賞や順位をつけることはせず、すべての作品を作品集に掲載します。
作品集は各校の図書室及び総社市図書館や公民館等へ寄贈するほか、全作品の展覧会を総社市内各所で開催することで、子どもたちの声・想いの掘り起こしと、地域の方々へ向けた啓発を行います。
また子どもたちにとっても、自分の気持ちを自由に描いて伝えることにより、自己や社会と関わる心の力を育むことにもつながります。
2020年からスタートした本事業は、1年目から「ふるさと」「かぞく」「さいがい」「がっこう」と毎年度テーマを変え、5年目の節目である今年は「ふくし」をテーマに作品を募集します。
「福祉」という言葉は「幸せ」という意味があります。子どもの福祉とは。子どもの幸せとは。改めて世代を超えて、未来に向けて共有しなければならないテーマだと考えています。当事業を通して、小学生から地域の皆様に「ふくし=しあわせ」を発信します。
子どもたちの想いを大切に、子どもたちが地域の人たちとのつながりを実感できるふるさと、文化をつくりたい!
本事業実施後も、毎年テーマを変更しながら、小学生の想いを集めて発信していきます。
本事業をこの先10年、20年と続けていくことで、総社市内の小学生にとって毎年絵や作品で想いを表現することが当たり前になり、地域の大人にとっては小学生の声に耳を傾け、子どもたちのことを考えることが当たり前になる、そんなふるさとになっていくことを願っています。
この作品集は、図書館や公民館に今後もずっと保管されます。大人になってから、同級生や我が子と一緒に、小学生時代の自分の作品をみながら、思い出話に花を咲かせ、この作品集をもとに新たな会話やつながりが生まれてくる、そんな文化をつくっていきたいです。
また、本事業を通じて、こども食堂の活動も知っていただき、関わってくれる方が増えることで、そこでもまた新たなつながりがうまれることも期待しています。
総社市では、私たちが活動をはじめた当初(2017年)は市内で唯一だったこども食堂の取り組みも、いまでは「総社市子ども食堂連絡会」が立ち上がり、市内10か所でこども食堂の活動が行われているなど、総社市内での支え合いの輪も着実に広がりをみせてきています。
総社市内に子どもたちのことを気にかける大人が増え、老若男女みんな一緒に、会話や意見が飛び交う活気ある総社市になるよう、そしていまの子どもたちにとっても総社市が大好きなふるさとになるよう、人とのつながりを紡いでいきます。
想定されるリスクとチャレンジ
資金調達が達成されなかった場合は、作成する作品集の部数を減らして対応します。その場合、作品集の寄贈先が少なくなることになりますが、展覧会は予定通り開催し、みなさんに作品を観ていただける機会提供を行います。
代表者メッセージ
「作品集制作&展覧会開催」は、何かが生まれる「あなたの場」です!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
思い返せば小学生の時、周りにいた友だちは、スポーツが得意だったり、面白くてクラスの人気者だったり、知的に障がいがあったり、外国にルーツがあったり。まさに「ミニ総社市」でした。多様な友だちとの交流があったからこそ、そうじゃ食堂 くうねるあそぶの活動は多岐にわたり、つながりや想い(個人)を大切にしています。
テーマに沿って表現された、豊かな感性と予定調和にならない独創性を小学生同士が感じあったり、大人同士で感心しあったり。「作品集制作&展覧会開催」は、何かが生まれる「あなたの場」でもあります。
ご一緒に童心に戻って「ふくし=しあわせ」について考えてみましょう!
https://www.instagram.com/soja_shoku/
(補足事項)本ページについて
こちらのプロジェクトページは、「公益財団法人 みんなでつくる財団おかやま(以下、みんつく)」のアカウントを使用し作成しています。みんつくはコミュニティ財団であり、事業指定助成プログラム(皆様からの寄付を原資とした助成事業)として「そうじゃ食堂 くうねるあそぶ」様の本事業を支援しています。いただいた寄付金は、寄付総額から運営費(達成時20%、未達成時30%、決済手数料含む)を差し引いた金額を、みんつくからの助成金としてそうじゃ食堂 くうねるあそぶ様へお渡しさせていただきます。
※みんつくは税額控除対象の公益法人であるため、当財団へのご寄付につきましては、寄付金控除等の税制優遇が受けられます。