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2015 年に本法人を立ち上げ9年が経過した。個人事業として取り組んだ 1 年も含め、若者の居
場所づくりから始まり、学びの場所へ向かい、その成果を様々な場所で問う 10 年であった。昨年 4 月私たちの学校「スコーレ・ムーンライト」を設立するに至った。ひとえに、法人に集まる理事・社員そして多くのサポーター、とりわけラーナーと呼ぶ若者たちの理解と主体的な取り組みがあったからであり、設立当初の目標「学校をつくる」へ一歩を進めることになった。学校設立を具体的に目指した 2017 年の定款目的追加以降、学校設立実現に近づいたかに見えたが、2020 年この計画はいったんとん挫した。しかし、この間、取り組んだ成果と内容をもって、「スコーレ・ムーンライト」はフリースクールとして動き出した。この取り組みは次世代に受け継がれていくことにもなった。
昨年総会では以下の提起をさせていただいた。「私たちがこの法人を立ち上げたのは、社会で孤立し、苦しんでいる若者たち、とくに学校という場所で疎外され、いったんは離れてしまった子ども・若者たちに対して、『何かできないか』との思いを、社会的使命をもって実現させるためであった。私事的な出来事や取り組みで終わらせないためである。だから知恵を寄せ合い始動したのであり、それは既存の学校ではなくとも達成できるはずでもあるが、しかし学校という場所だからこそできる取り組みも忘れないようにしたい。
すなわち、スコーレで取り組む内容は、子ども・若者の居場所だけにとどまらず、『学び』の質の吟味から始まり、社会の主体者とはとの自問自答を繰り返し、その先に、『社会に合わせる私』ではなく『私が社会を変革していく主体者』としての力を育てる学びの場を構築したい。」
果たしてこの目標はこの 1 年、達成できたのであろうか。スコーレ・ムーンライトに集う子ども・青年たちは、「社会を変革していく主体者」に近づいていったのであろうか。「学び」に向き合う青年たちに育ったのであろうか。
「人は人との関係性で人となる」。多くの教育学者や、子どもを支える側の人が、肝に銘じている言葉である。まずは私たち自身が、本法人に集い、支え合い、そして関係性を深める中で、「人」となる。この土台に、集ってくれた子ども・若者たちが、関係性を深め、人となる。それは、スコーレだけの取り組みでなされるのではなく、これまでのように、太鼓集団響や、HIBIKICAFÉ を窓口として社会とつながり、地域とつながり、人とつながっていく方法が求められている。
本法人は一つの集団、場所として閉じられた世界のままにしておくのではなく、できれば世界の人と、世界の平和を希求する人たちとつながるベースキャンプとして歩んでいきたい。