紛争の記憶と避難生活に苦しむ子どもたち
NICCOは、シリア難民とヨルダン人貧困層の子どもたちを対象に、心のケアを実施してきました。
心のケアワークショップとは、紛争や困難な日常生活から生じた心の傷を描画や語りによって表現し、それをありのまま受け止める周りの人々との対話を通して、子どもたちが自らの心の傷やトラウマと向き合い、ストレスを軽減させていくことを目的としたプログラムです。2013年の開始以降、1,000人を超える子どもたちがこのプログラムに参加しました。
▲ワークショップで発声練習をする子どもたち。まずは、誰にも制限されず、安心して大きな声を出すことから始めます
▲ジオラマで理想の街を作りました
参加者アフマド君(仮名)の場合
ワークショップに参加したアフマド君(仮名)は、口数が少なく、自閉症のような症状が見られる12歳の男の子。アパートに5人家族で暮らしていますが、父親はもう2年ほども働くことができず、貯金を切り崩しながら何とか生活しています。
近所に同年代の子どもがいないため、同年代の子どもと接する機会が少なく、学校にも通えていませんでした。
ワークショップでは、他の子どもたちとも馴染めず、演劇の練習中も手持無沙汰な様子でした。ワークショップの内容や演劇の自分の役について理解することも難しく、一人ぽつんと座っていることもしばしば。しかし、NICCOスタッフのサポートを受けて、少しずつみんなの前に立って感情表現が出来るようになりました。ワークショップの一環として行ったスポーツ・レクリエーションでは、他の子どもたちとハイタッチをして喜ぶ姿も見られました。今では学校にも通い始め、友達が1人できたといいます。
▲アフマド君を励ますNICCO現地スタッフ
アフマド君のように、子どもたちはそれぞれ問題を抱えていますが、一人ひとりがそこから立ち上がっていこうとしています。NICCOはこれからも、傷ついた子どもたちの心のケアを続けていきます。ご支援をよろしくお願いいたします。
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