
こどもたちと家族の「あたりまえの願い」がかなう社会へ
2016年、にこりは福岡県で、難病や障がいがあるこどもたちと家族の在宅生活を支えるために生まれました。現在は、こどもと家族の日常に伴走するとともに、自治体や学校とも連携し、成長したこどもたちが社会の中で育っていくための包括的な支援を行っています。また、産前、産後のお母さんをサポートし、産後うつや虐待を防ぐ活動にも取り組んでいます。
にこりがいつも大切にしているのは、こどもと家族の小さな願いを聴くこと。できないとあきらめていたことをどうしたらできるようになるのかを考え、医療や福祉の枠組みにとらわれず、一つずつ形にしてきました。
呼吸器や点滴や胃ろうが必要でも「毎日を当たり前に楽しめること」。生きてることはベッドで過ごすことでなく、新しい体験や発見をしてワクワクしたり、だれかと一緒にいっぱい笑ったり泣いたりすることだと、にこりは考えます。
医療的ケアを必要とする、こどもと家族のこと
24時間365日、医療を必要とする暮らし
医療的ケア児とは、病気や障がいのために人工呼吸器や胃ろうなどを使用し、たんの吸引や経管栄養、酸素投与などの「医療的ケア」を日常的に必要とするこどもたちのこと。その多くは病院を出た後、家族がケアしながら在宅で暮らしています。
在宅で暮らす医療的ケア児は、全国でおよそ20,000人(※1)。
医療の発達に伴いその数は年々増えていますが、旧来の障がい福祉制度に当てはまらないことも多く、制度からこぼれ落ちるこどもと家族の暮らしには、さまざまな困難があります。
※1 在宅の医療的ケア児(0-19才)の推定値は2022年時点で、20,385人とされる。「医療的ケア児とその家族に対する支援に関する調査-小学校における医療的ケアの実施体制の構築を中心として-結果報告書」(令和6年3月 総務省行政評価局)

当たり前の日常、ごく普通の願いが、簡単ではない現実
常に医療を必要とするこどもたちには、多くのこどもが普通に経験できる色々なことができない事が多くあります。また24時間365日続く医療的ケアの負担の重さが、両親やきょうだい児など家族の暮らしにも影響を与えています。
国が医療的ケア児の家庭に対して行った調査(※2)によると、「こどもから5分以上目が離せない」とした家庭は40.8%。一方、「家族がしたいこと」として下記のようなことが上がりました。
家族が日々の生活で「行いたい」と回答したこと(抜粋)
- 「家族一緒に外出や旅行すること」96.8%
- 「自分のための時間を持つこと」96.7%
- 「美容院にいくこと」91.5%
- 「きょうだいの子だけと過ごす時間」91.1%
これらを「問題なく行えてる」とした家庭は、いずれも1〜2割にとどまっており、多くの家庭でケアの負担が大きく、当たり前の日常が中々かなわない現実が見えてきます。
※2 「医療的ケア児者と家族の生活実態調査 報告書(厚生労働省 令和元年度障害者総合福祉推進事業)」 (令和2年3月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

できない.. を「 できた!」に変える【0→1 体験】
にこりは、制度を利用した看護や介護だけでなく、その先で、こどもと家族が毎日を楽しめること、外の世界に出て新しい体験をすることを大切にしています。
こどもと家族にとって特に難しいことの一つに「外出」があります。難しい体調管理や、数十キロを超える医療機器を持ち運ぶこと、移動中も必要な医療的ケア等が高いハードルとなり、医療的ケア児の中には生まれてから病院受診以外で外に出たことがないこどももいます。「このままではこの子たちは災害時も避難できない…」とにこりが始めたのは、「お出かけ」の体験をしながら災害時の避難訓練と兼ねることでした。
看護師などの医療スタッフが付き添い、準備をして向かうのは、海、動物園、いちご狩り、温泉宿など、こどもたちに楽しい場所ばかり。“楽しい” は人を動かすから、外出をあきらめていた家族も行きたくなるように、毎回様々な場所にお出かけしています。




「できない」とあきらめていたことが「できる」になる。それには大きな意味があります。この子を抱えて、どうやって生きていこう…と泣いてたお母さんが、笑顔をみせ、次はどこに行こうか?と話すようになる。0→1 の体験は単なるレクリエーションではなく、こどもと家族に、笑顔や自信、人とのつながりなど、いろいろなものを取り戻してくれる体験です。

医療的ケアがあるこどもたちが、新しい体験をするために必要なもの
常に医療機器と医療ケアを必要とするこどもたちが外出するには、「家族だけではまかなえない沢山の人やもの」が必要となります。特にネックになる医療的ケアができるスタッフおよび移動手段の確保は個人では難しく、それらはみなさんからの寄付によって支えられています。
- 医療的ケアができるスタッフおよび安全を確保できるだけの十分な数のスタッフの配備
- 100kgを超えることもある医療機器と医療用バギー、それらを載せるスロープやリフトを備えた福祉車両(1台約300〜500万円)
- 主治医や看護師による安全な環境設計や事前準備。 行き先の施設がこどもたちを安全に受け容れられるようにするための段取
- 万が一の時の備えとして、主治医や地域の基幹病院との連携。
- スタッフの日々の訓練や研修、実践を交えたシミュレーションなど


にこりの産前産後ケア
孤立して子育てするお母さんとこどもを守る、もうひとつの支援
こどもと家族に長年関わる中で感じるのは、地域の子育て家庭の孤立や困窮、虐待などの問題が深刻さを増していること。核家族と共働きが当たり前になった今、心身ともに助けが必要な妊婦さんや産後まもないお母さんに伴走するサポートは、その後の母子の心身の安全を守る砦となります。
にこりでは、「産後ケアステーション」と「おやこの訪問看護」で、お母さんと赤ちゃんの居場所を作り子育てをサポートする活動を行っています。孤立して子育てするお母さんたちに必要なのは「ひとりではないと思えること」。お母さんたちに「ひとりで頑張らなくていい」「子育ては誰かを頼っていい」と思ってもらえるサポートを届けています。


代表よりご挨拶

にこりは、病気や障害があってもなくても、あたりまえのこどもと家族の願いを、ひとつずつ「できる」に変えていきたい。この活動は、私たちだけでは続けられません。
そっと見守ってくれる人、一緒に笑ってくれる人の応援が、こどもたちの未来を、あたたかな道へと変えていきます。
こどもたちが笑うと、そのまわりも、やわらかくなります。にこりのサポーターになって、子どもたちがいっぱい笑って、いっぱい遊べる毎日を、一緒につくりませんか。
にこり理事長 上田 華奈 Kana Ueda
サポーターの皆さんから頂いた寄付は、こんなことに役立てます
医療的ケアの必要なこどもと家族の支援
- こどもが安心して過ごせる日常の提供
(小児専門のデイサービス施設整備、見守る医療スタッフの確保) - 親が休息でき、心身を立て直すための時間の提供(レスパイトや夜間のお預かりのための医療スタッフの確保)
- こどもたちが安心して外の体験をするサポート(福祉車両の購入、医療機器稼働ための多数のポータブル電源の購入、医療スタッフの確保)
- 家族が笑いあえ、一緒に楽しめる機会の創出(施設の貸し切り、移動手段と医療スタッフの確保)
産前産後の母子支援
- 必要なときに支援を途切れさせないための
継続的な支援体制の整備(母子支援の経験のあるスタッフの継続確保) - 母子の安全のため、緊急時にも対応できる看護師、助産師の確保




