ビッグイシュー基金とは
●理念・ビジョン
ビッグイシュー基金は
・ホームレスの人たちを中心に困窮者の生活自立応援
・ホームレス問題解決のネットワークづくりと政策提案
・ボランティア活動と市民参加
の3つの事業を柱に、各種のプログラムを通じて、貧困問題の解決と、「誰にでも居場所と出番のある包摂社会」の形成を目指す非営利団体です。
●設立の経緯
2003年5月、ビッグイシュー基金の母体である有限会社ビッグイシュー日本が設立されました。
同社は「ホームレスの人々の救済ではなく、仕事を提供する」ことを目的に、雑誌を作成し、路上で販売してもらい、その売り上げの50%以上を彼らの収入にする、という事業に取り組む社会的企業です。
その後約4年の活動を通して、ホームレスの人々の自立には、就業を含めた総合的なサポートが必要であると考え、2007年9月に非営利団体ビッグイシュー基金を設立し、2008年4月にNPO法人の認証を受けました。
※2012年7月1日国税庁より認定NPO法人に認定、2017年3月27日には大阪府より認定NPO法人に認定。
●組織と運営
ビッグイシュー基金は、総会と理事会を持っており、事業の方針や予算など運営に関する重要事項はここで決定されます。総会・理事会のもとには事務局がおかれ、実際の運営は事務局スタッフによって行われます。
そして、事務局の活動を資金面で支えてくださるのが市民応援会員、企業・団体『社会再生』サポーターのみなさまです。
また、2012年9月より新たに5つの寄付メニューを追加し、多くの寄付者のみなさまにもご支援・ご協力いただいています。他にもボランティアのみなさまなど、たくさんの人たちの協力でビッグイシュー基金の土台がつくられます。
活動の背景、社会課題について
●ホームレス状態の人の数
厚生労働省の2025年度調査によると、全国の路上で生活する人の数は2,591人。
同調査の18年前の人数18,564人と比べると、8割以上減少したことになります。しかし一方で、安定した住居がない状態でネットカフェ等を利用する人は、都内だけで一晩に4,000人いると推計されています(2018年 東京都調査)。いわゆる「ネットカフェ難民」をはじめとする、統計に現れない「見えないホームレス」の数を合わせると、甚大な数の人が、今も不安定な居所で夜を過ごしていると考えられます。
●ホームレス状態になる理由
ホームレス状態になる経緯は、人それぞれです。
ある人は仕事を失って。ある人は借金や奨学金等、債務の問題で。自身の抱える病気や障害によって。あるいは家族との離別や介護離職が原因で。災害に被災して、という方もいらっしゃいます。
何がきっかけになるのかは違っていても、共通しているのは、問題が起こったその時に、頼ったり、相談できたりする人や場所、または機会がなかった、ということです。
人は仕事と住まいを失うだけでは「ホームレス」になりません。人とのつながりや希望を失って孤立した時、hopelessになりhomelessになると、私たちは考えています。
●ホームレス状態からの脱出の難しさ、必要な支援
一度ホームレス状態に陥ってしまうと、生活再建のハードルは段違いに上がります。一つは、食べるための収入を得る「仕事」の確保の問題。履歴書、身分証、連絡先、住所がなく、その日にお金が受け取れる仕事の選択肢は、多くありません。
もう一つは生活の基盤となる「住まい」の確保の問題。たとえ収入があっても、まとまった初期費用の用意や保証人の確保が難しいこと、携帯電話や身分証がない事から、市場賃貸物件へのアクセスは非常に困難になります。
生活再建の道筋はその人の状況や課題に応じて違いますが、解決に踏み出すどんな一歩も、チャレンジであることに変わりはありません。その最初の一歩を踏み出すための足がかりは、「誰もが居場所と出番のある、包摂的な社会」の中でこそ生まれてくるのではないか、と私たちは考えています。
活動内容の詳細、実績について
●活動の3本柱
ビッグイシュー基金は、誰もが生きやすい包摂社会を目指し、
1.ホームレスの人、生活困窮者の自立応援
2.貧困問題解決のネットワークづくりと政策提案・実験的事業
3.ボランティア活動と市民参加
の3本柱の応援事業を展開しています。
1.ホームレスの人、生活困窮者の自立応援
当事者への情報提供と交流 …『路上脱出・生活 SOS ガイド』の制作 / 配布を通し、当事者が支援につながるための情報提供を行っています。また、定例サロンやパーティなど当事者同士やボランティアが交流する機会をつくっています。
生活自立応援 … 他団体や専門家と連携して、住宅・就業・生活・法律・福祉などの困りごとを相談できる機会をつくるほか、病院や行政機関への同行支援を行っています。
仕事・就業応援 … 寄付品の衣料や熱中症対策グッズの提供、プロボノの協力を得たヘアカット、コーチングの場などを通して、路上で働く人々を応援しています。
スポーツ・文化活動応援 …ホームレス状態の人が仲間とつながれる場として、スポーツ・文化活動を応援しています。
2.貧困問題解決のネットワークづくりと政策提案・実験的事業
一時居所の実験的運用と政策提言 … 空き家・空き室を活用した一時居所の運営や家賃補助などの実験的事業に取り組むほか、住宅問題についての各種調査や政策提言を行っています。
社会的不利・困難を抱える若者の応援 … 若者のホームレス化予防のため、社会的不利・困難があっても働きやすい仕事の実験的事業として「夜のパン屋さん」を開いています。
3.ボランティア活動と市民参加
ボランティア活動の推進 … 毎月1回ボランティア希望者に説明会を開催し、日本のホームレス問題の現状や、基金の活動について紹介しています。
市民参加の促進 … 雑誌『ビッグイシュー日本版』が届く特典付きの応援会員制度のほか、税制優遇の対象となる寄付メニュー、企業・団体向けの「社会再生サポーター」など多彩なメニューを通じて市民参加を促進しています。
市民参加の促進 … 雑誌『ビッグイシュー日本版』が届く特典付きの応援会員制度のほか、税制優遇の対象となる寄付メニュー、企業・団体向けの「社会再生サポーター」など多彩なメニューを通じて市民参加を促進しています。
寄付金の使い道について
皆様からお預かりしたご寄付は、以下のような活動に大切に使わせていただきます。
・ホームレスの人や生活困窮者の自活・自立を応援する各種プログラムの提供
・貧困問題の解決に向けた調査および政策提言
・新たな仕事づくりや、住まいのあり方を展望するための実験的な事業の開発と実践
・各種ボランティアや寄付を通じて、市民の活動への参加を促進する取り組み