
2023年、バンコクのスラム街で活動する子どもたちのオーケストラ「イマヌエルオーケストラ」の日本公演が実現した。その裏側には、まるで神様に導かれるように、不思議なご縁が幾重にも重なった奇跡の物語があった。最初の関門であるコンサート会場の確保。NPO法人シャインフォーユー理事長の加古川成子さんは、どのようにその一歩を切り開いたのだろうか。
偶然の提案が道を拓いた「北海道公演」
インタビュアー:2023年に実施されたイマヌエルオーケストラ日本公演は初めての取り組みでご苦労が多かったと思います。最初の関門は会場探しだったと思いますが、どのようなご苦労がありましたか?
加古川さん: まず、2022年4月に会場の下見のために日本へ渡り、北海道、熊本、東京を訪れました。最初に訪れたのが北海道です。
インタビュアー: なぜ、最初の訪問先に北海道を選ばれたのですか?
加古川さん: 北海道に、私たちと同じようにネパールなどで国際支援をされている指揮者の方がいらっしゃったからです。その方は以前からイマヌエルオーケストラの噂を耳にしてタイまで会いに来てくださったこともあり、私たちの理念に深く共感してくださるに違いないと考えました。そこで、その方が所属する「伊福部昭(いふくべ あきら)記念ジュニアオーケストラ」に協力をお願いしに伺ったのです。
インタビュアー: まさに縁を頼っての訪問だったのですね。交渉は順調に進みましたか?
加古川さん: それが、大変どころか「神様に応援されているのでは?」と感じるほど運命的でした。オンラインで事前にお話ししていたこともあり、直接お会いした時にはすでに「ぜひ、やりましょう!」という温かい雰囲気だったのです。さらに、「毎年開催されている『生涯学習フェスティバル』にゲストとして招待する形なら、会場費がかかりませんよ」という素晴らしい提案までいただきました。
インタビュアー: それはすごい展開ですね!
加古川さん: はい。ただ、企画を教育委員会に通す必要がありました。そこで私たちは、あるユニークなアピールをしたんです。協力してくださる団体の名にある伊福部昭さんは、実は映画『ゴジラ』の作曲家で、その町はゆかりの地でした。そこで、道の駅にあるゴジラの銅像の前で写真を撮り、「街中から尊敬を集めている伊福部昭さんのゆかりの地で演奏を成功させたい」とアピールした企画書を提出したところ、無事に採択されたのです。まさかのゴジラのご縁でした(笑)。
故郷・益城町へと導かれた「熊本公演」
インタビュアー: 熊本での公演にも、何かご縁があったのでしょうか。
加古川さん: はい、熊本にも深い縁がありました。タイに20年お住まいで、現地で一緒に子どものためのコンサートを開いたこともあるチェリストの方が、今は熊本の益城町にいらっしゃるんです。その方に「熊本でコンサートを開きたい」と相談したところ、快く協力していただけることになりました。
インタビュアー: タイでの繋がりが、日本でも活きたのですね。
加古川さん: まさにそうです。彼のおかげで「熊本ユーシスシンフォニーオーケストラ」の団長ご夫妻とお会いできたのですが、驚いたことに、その方々もちょうど「また国際的な取り組みをしたいね」と話していた矢先だったそうで、話がとんとん拍子に進みました。まるで何かに動かされているような感覚でしたね。
インタビュアー: タイミングが完璧ですね!
加古川さん: それだけではありませんでした。協力団体の関係者に益城町文化会館の館長がいらっしゃったのですが、実は益城町は私の生まれ故郷なんです。そのご縁から、なんと「益城町文化会館主催」でコンサートを開催していただけることになりました。故郷に導かれたような、本当に不思議な体験でした。
困難を救った一言「教会でやっては?」―東京公演―
インタビュアー: 東京公演はいかがでしたか?
加古川さん: 東京は会場探しが最も大変で、本当に難航しました。途方に暮れていた時、タイにご関心のあるフォトグラファーのから「教会でコンサートをやってみては?」と素敵なアイデアをいただいたんです。すぐに東京の教会の牧師さんにご相談したところ快諾いただき、無事に開催することができました。まさに渡りに船の助言でした。
初めての日本、初めての冬。舞台裏で見せた子どもたちの素顔
インタビュアー: 日本での子どもたちの様子はいかがでしたか?
加古川さん: みんな終始楽しそうでした。渡航前にマナー講座を開いたおかげで、靴をきれいに揃えたり、日本語で挨拶したりと、とても頼もしかったですよ。ただ、初めての冬に喉を痛めてしまう子もいましたが、万全の体制でサポートしました。
インタビュアー: 環境の変化は大きいですよね。何か印象的なエピソードはありましたか?
加古川さん: 空港での出来事が忘れられません。入国審査前にみんなでトイレに寄ったのですが、男子トイレから子どもたちが全然出てこなくて(笑)。後で聞いたら、引率の指揮者がウォシュレットの使い方を子どもたちに説明していたそうなんです。初めて見るものですから、みんな興味津々で。子どもらしい無邪気な一面に、私たちも元気をもらいました。
「ヴァイオリンと出会わなかった人生は、あり得なかった」
インタビュアー: 移動中など、子どもたちとはどのようにコミュニケーションを?
加古川さん: 主にバスの中で、私の娘が「お姉さん役」になって話を聞いていました。例えば「今日は大使にお会いできたけど、どうだった?」とマイクを回し、子どもたちに感想を発表してもらうんです。
インタビュアー: どんな感想がありましたか?
加古川さん: ある子の「自分の人生にヴァイオリンがなかったら、大使館で演奏したり、大使にお会いしたりすることは絶対にあり得なかった。本当に光栄です」という言葉が胸に響きました。楽器との出会いが人生を変えたと、彼ら自身が実感した瞬間だったと思います。みんな、とても感動していました。
イマヌエルオーケストラの子どもたちが奏でる希望のサウンドを、また日本の皆様にも届けたい。その一心で、加古川さんは本年もイマヌエルオーケストラ日本公演のプロジェクトを立ち上げました。
現在、10月の開催に向けて渡航費や滞在費、コンサート開催費用などを集めるため、クラウドファンディングを実施しております。
皆様の温かいご支援が、子どもたちの夢を、そして日本の未来を担う子どもたちの心を照らす大きな力となります。どうか、このプロジェクトにご賛同いただき、ご支援いただけますよう、心よりお願い申し上げます。
ご支援はこちらから

金額5,000円 | 在庫183 |

金額5,000円 | 在庫196 |

金額5,000円 | 在庫30 |

金額10,000円 | 在庫28 |

金額10,000円 | 在庫48 |

金額15,000円 | 在庫0 |

金額20,000円 | 在庫19 |

金額20,000円 | 在庫29 |

金額25,000円 | 在庫25 |

金額50,000円 |

金額100,000円 |

金額500,000円 |

金額1,000,000円 |

金額5,000円 | 在庫183 |

金額5,000円 | 在庫196 |

金額5,000円 | 在庫30 |

金額10,000円 | 在庫28 |

金額10,000円 | 在庫48 |

金額15,000円 | 在庫0 |

金額20,000円 | 在庫19 |

金額20,000円 | 在庫29 |

金額25,000円 | 在庫25 |

金額50,000円 |

金額100,000円 |

金額500,000円 |

金額1,000,000円 |