寄附金募集要項
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シリーズのコンセプト
「原 由莉子ウィーン世紀末シリーズ」は、19 世紀末のウィーンの文化・芸術に焦点を当てたレクチャーコンサートです。
シリーズの大きなコンセプトは2つ。
まずは、絵画・建築・文学など、音楽ジャンル以外の芸術家と、作曲家の交流がきっかけとなって生まれた作品を取り上げること。
芸術作品は決して単体で存在するわけではなく、人と人の関わりあいや、その人を取り巻く環境など、さまざまな要素が絡み合って誕生しています。その事実を認識して作品を鑑賞することで、ともするとつい忘れがちな「作品は『人間』が生み出したものである」ということを改めて実感し、表現者のハートをより感じることができる気がするのです。芸術家同士が互いにインスピレーションを与え合い芸術が芸術を呼ぶ―そんな作品を紹介したいと考えています。
もうひとつは、「知られざる楽曲・作曲家」というレッテルを貼られがちな、目下演奏機会の少ない作品もプログラミングすること。
一般的なクラシックの演奏会で取り上げられる演目は、存在する楽曲のほんの一握り。知名度の低い作品の芸術的価値が周知されないのは、非常に残念なことです。
しかし、この問題は我々演奏家側にも責任があると感じています。難解で聴きにくいと思われがちな曲にも親しみを持っていただくために、なにか工夫する必要があるのではないでしょうか。
ウィーン世紀末シリーズではお話の配分を多めに設定しています。演奏者本人によるレクチャーがお客様にとっての「演奏を聴く上での道しるべ」となり、より音楽作品の魅力が伝わる時間を提供できれば、これほど演奏家冥利に尽きることはありません。
以上のようなポリシーを持って、2020年からシリーズを7回続けてくることができました。
これまでの軌跡
これまでの企画と主な演奏曲目をいくつか簡単に紹介します。
アルマの愛した芸術家たち
アルマ・マーラーの激動の人生と、彼女の周辺の芸術家(ツェムリンスキー、グスタフ・マーラー、グスタフ・クリムト、ココシュカ等)・作品を紹介
- ツェムリンスキー/アルバムの綴り
- マーラー/交響曲第5番 第四楽章 アダージェット ピアノソロ編曲
ベートーヴェンフリーズ
画家グスタフ・クリムトがベートーヴェンの第九を題材に描いた壁画「ベートーヴェンフリーズ」について
- ベートーヴェン/ピアノソナタ第32番 Op.111
Oper!~ウィーン国立オペラ座の怪人たち~
ウィーン国立歌劇場建設にあたっての政治社会的背景の解説と、時代ごとのウィーンの音楽界に大きな影響を与えた作曲家の作品の演奏。
- モーツァルト/幻想曲
- コルンゴルト/森が私に語ること
- R.シュトラウス/5つのピアノ小品
ブルックナーの遺したもの~オール・ブルックナー・ピアノリサイタル~
滅多に演奏されないブルックナーのピアノ作品と、交響曲第7番のピアノソロ編曲版を演奏。東京・大阪の二回公演はいずれも完売、好評を得る。
ブルックナー/ピアノソナタ、思い出、幻想曲、交響曲第7番ピアノソロ編曲版
シェーンベルク
さて、第8回目となる今回のテーマはシェーンベルクです。
メイン曲は、『浄夜』のピアノ三重奏曲編曲版。
詩人リヒャルト・デーメルの『浄められた夜』。作曲家シェーンベルクはこの詩の内容を表象した標題音楽作品として、弦楽六重奏曲『浄夜』を書きました。
生々しいほどに官能的で退廃的な響きは楽壇で大きなスキャンダルを呼び、シェーンベルクは相当な批判を浴びます。しかし、人間が誰しも持つ純粋な感情や欲望、葛藤を、ありのまま作品にぶつけるという、世紀末ウィーン芸術の象徴のようなこの楽曲には、それまでに存在していた、いわゆるクラシック音楽と呼ばれるものから一線を画した、特別でこの上ないエネルギーが込められています。
また、のちにシェーンベルクが確立することになる「無調音楽」のエッセンスも見られ、伝統と前衛が溶け合う、音楽史的な意味においても重要な価値のある作品といえるでしょう。
難解でとっつきにくいイメージのせいで演奏機会も多いとはいえない楽曲です。しかし、生演奏だから為せる「感情が揺さぶられる体験」をもっとたくさんの聴衆に味わってほしい、同時に自分自身も味わいたいという思いが、演奏家として強くあります。
今回のコンサートでは、そんな『浄夜』を通して、世紀末ウィーン時代を文化的・音楽的の両面から紐解きます。
『浄夜』に込められたデーメルとシェーンベルクの魂や、当時のウィーンの街の匂いが、時を超えて我々の心に届くような演奏会になると嬉しいです。
ご寄付の使い途
今回のメイン曲は、シリーズ初となる、ピアノ三重奏という編成です。
ヴァイオリンは渡辺 紗蘭さん、チェロは北垣 彩さん。素晴らしい弦楽器のお二人をゲストにお迎えするにあたり、ソロの時よりも十分なスペースと音響効果が重要と考え、兵庫県立芸術文化センターを会場としました。
良いホールでの演奏は、お客様にとって快適なのはもちろん、我々演奏者にとってもアンサンブルの質が高まり、今後も見据えた成長のための絶好の機会となります。皆様からのご支援は会場利用費に充てさせていただき、よりクオリティの高い演奏を目指すことに尽力したいと思います。
渡辺 紗蘭(ヴァイオリン)
兵庫県出身。 相愛大学付属音楽教室修了。 2022年第91回日本音楽コンクールバイオリン部門第1位、併せて増沢賞、レウカディア賞、鷲見賞、黒柳賞を受賞。第3回シンガポール国際ヴァイオリンコンクールセミファイナリスト。NHK交響楽団メンバーを中心とするオーケストラなど共演多数。
使用楽器は、一般財団法人ITOHより貸与されている1779年製のJ.B.グァダニーニ。
これまでに、マウロ・イウラート氏、現在、小栗まち絵氏、原田幸一郎氏に師事。東京音楽大学付属高等学校を経て、東京音楽大学2年に特別特待奨学生として在学中。
渡辺 紗蘭 公式X
渡辺 紗蘭 公式Instagram
北垣 彩(チェロ)
大阪府出身。大阪府立夕陽丘高等学校音楽科を経て、東京藝術大学器楽科卒業。令和元年度文化庁新進芸術家海外研修員としてライプツィヒへ留学、2020年にフェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ音楽演劇大学修士課程を首席で修了。帰国後、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程修了。
第69回全日本学生音楽コンクール大学の部第3位、第24回姫路パルナソスコンクール第1位及び池辺晋一郎特別賞、第1回ポッパーチェロコンクール第1位、第9回NPO法人芸術・文化若い芽を育てる会奨励賞(1位)、オーディエンス賞など入賞多数。サントリーホール室内楽アカデミー第4期フェロー。国内外の演奏会に多数出演。これまでに故杉山実、林裕、故安藤信行、山崎伸子、中木健二、ペーター・ヘル、ヴェロニカ・ヴィルヘルム、クリスティアン・ギガーの各氏に師事。
北垣 彩 公式X
未来にかける想い
原 由莉子ウィーン世紀末シリーズを、自身のライフワークとして続けていくことが目標です。世紀末ウィーン作品を主なレパートリーとする演奏家は日本国内では稀有な存在なので、自分のアピールポイントとしてどんどん発信し、ゆくゆくは「世紀末ウィーンを十八番とするピアニスト」として、認知されるようになりたいです。また音源の少ない楽曲のCD制作にも取り組んでみたいです。
今回はVol.8のコンサート開催のためのご支援を募らせていただきますが、これをきっかけに今後のシリーズをずっとずっと継続して応援していただけるとありがたいです。
原 由莉子よりご挨拶
プロフィール
ウィーン国立音楽大学大学院ピアノ演奏科修了、修士号取得。イタリア第20回エウテルペ国際音楽コンクール第1位、ドイツ第5回オイレギオ国際ピアノコンクール審査員特別賞等多数受賞。また、各々イタリアで行われた第2回ヴィッラフランカ・ディ・ヴェローナ国際音楽コンクール、第5回タディーニ国際音楽コンクールでは、最高得点獲得者に贈られる絶対的第1位を受賞。ヨーロッパ各地で受賞記念リサイタルを行う。
大阪府立夕陽丘高等学校音楽科、京都市立芸術大学ピアノ科卒業。これまでに辻田裕子、小出ひろみ、大冨栄里子、故・田辺緑、坂井千春、イリーナ・メジューエワの各女史に師事。
第59回及び第62回全日本学生音楽コンクール大阪大会 中学生、高校生の部それぞれ入選。第16回堺ピアノコンクール、第6回宝塚ベガ学生ピアノコンクール、第16回KOBE国際音楽コンクール等で第1位を受賞。第19回松方ホール音楽賞入選。
渡欧後、クリストファー・ヒンターフーバー、クリストフ・トラキシラーの両氏に師事。ウィーン市内のサロンGesellschaft für Musiktheater での定期的なリサイタルや、ハイリゲンシュタットの遺書の家で行われた演奏会でベートーヴェンのピアノソナタを演奏する等、様々な演奏会に出演し研鑽を積む。ウィーン国立音楽大学内で行われた演奏会『Klang Pause』において、E.W.コルンゴルトの室内楽作品を演奏。その模様はオーストリア国営ラジオ(Ö1)でオーストリア全土に放送された。また大学院修了時に執筆した同作品についての論文がヨーロッパ全土において出版されている。
大阪交響楽団、日本センチュリー交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)等のオーケストラと共演。
『文化庁/日本演奏連盟主催・新進演奏家育成プロジェクトリサイタル・シリーズKYOTO』、『生で聴く、のだめカンタービレの音楽会』、『大阪クラシック~街にあふれる音楽~』、『兵庫県立芸術文化センター ワンコインコンサート』、『PAC WINDS!』、『富士山河口湖音楽祭』、『NHK-FMリサイタル・パッシオ』等の人気コンサートシリーズに出演し、ソロ室内楽問わず演奏活動を展開。関西テレビ『ピーチケパーチケ』、MBSラジオ『ありがとう浜村淳です』、FM大阪『くらこれ!』等メディア出演多数。
岸和田浪切ホールアンバサダーアーティスト。京都市立芸術大学指揮科にて、教授 阪 哲朗氏のもと指揮伴奏ピアニストを務める。
このクラウドファンディング(寄付)の運営について
さわかみオペラ芸術振興財団とは
「日本にオペラ文化を広め、多くの人々に心の贅沢を味わっていただき、それが人生の豊かさにつながっていく」という理念の下、活動を行っている公益財団法人です。2015年に日伊共同制作の野外オペラ公演を開催し、2016年よりイタリアの歌劇場と共に日本各地の文化財を借景に、「Japan Opera Festival(ジャパン・オペラ・フェスティヴァル)」の総称で公演を開催しています。公演活動の他に、若き芸術家への活動支援や教育活動も積極的に行っています。
https://sawakami-opera.org/
音楽家支援制度「みんなの寄付」
さわかみオペラ芸術振興財団では、音楽活動のための助成制度「みんなの寄付」を設けています。皆様から募った寄付金は財団諸経費を除き全額を、支援が必要な音楽家に届けます。また、助成金をすべて寄付金から給付することにより、支援者と音楽家を「寄付」というかたちでつなぎ、多くの人々を巻き込みながら、日本のクラシック音楽の文化発展、振興に寄与することを目的としています。
寄付方法は、特定の音楽活動を指定せず「みんなの寄付全体」に対して支援できる<助成型>と、寄付者の方が興味のある活動を指定し個別に支援できる<個別案件型>があります。
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※控除額は所得税額の 25%が限度となります。
《所得控除》 下記算式より算出された額が「寄附金控除」として、課税所得から控除
(年中に支出した特定寄附金の合計額-2,000 円)×所得税率=控除額
※特定寄附金の合計額は年間所得額の 40%が限度となります。
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相続税についても優遇措置の対象となります。 - 法人によるご寄附
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