「ペアレント・サポートすてっぷ」とは
私たちは障がい児の保護者が同じ立場の保護者を支援する、ピアサポートの団体です。中心メンバー9人は全員、障がい児・者の保護者です。自分たちが子育て中にしんどい思いをしてきた。そして今、若い保護者の方たちも同じ思いをしている。少し先を歩く人間として、ちょっとでもその苦労を分け持ってあげたい。問題を解決してあげることまではできなくても、一緒に考え悩みながら、苦しい時期を伴走させてもらいたい…そんな思いで日々の活動をしています。
なぜ、障害児の親に支援が必要なのか
今、障害のある子どもためのサービスは様々なものがあります。しかし、その親を対象としたサービスというものは実質ほとんど、ありません。大抵は、子どもの支援の「ついで」として扱われるのが「保護者支援」です。
しかし私たちは、自分たちの経験上、障害児の子育てには、支援が必要だと考えています。きめこまやかで温かな、支援が。
子どもの障害と言っても、様々なものがあります。身体障害、知的障害、発達障害、病弱など…。そういう子どもを育てる上での困難の内容も、それぞれに違います。しかし共通して言える困難が3つ、あると思います。
1つは、「ちょっとしたことが大きなハードルになる」普通ならばハードルにすらならないものが、障害児の子育てにはハードルとしていくつも立ちはだかります。
2つめは、「何に困っているか、何が大変かを、なかなか周囲にわかってもらえない」。どうしても特殊な子育てになってしまうため、その経験がない人にはなかなか共感してもらえません。
そして3つめに「障害のある子の親になったことについての葛藤(受容の難しさ)」も、あります。子どもの障害を受け入れるというのは、実はそんなに簡単なことではありません。心底、子どもの存在を丸ごと受け入れられるようになるには、長い年数を必要とするのですが、そのこと自体も、ほとんど知られていません。
これらの困難を乗り越えていくためには、早い段階で打ち解けた相談ができる環境を作る必要がありますが、今、お母さんたちのお話をちゃんと聞く場が、圧倒的に不足しています。
「だれかに話す」…否定されることなく安心・安全な場でお話をしっかりすること。想いを口に出すことは感情の消化と問題の整理になります。理解をもって話を聞いてもらえる場と、否定することなく共に考える伴走者が、この難しい子育てには必要なのです。
子どもは1人で生きているわけではありません。24時間365日そばにいるお母さん・お父さんたちが支えの手に繋がり、安心し、笑顔になれれば、子どもたちも笑顔になれます。そしてその笑顔の先にこそ、子どもたちが障害を持ちながらも健やかに成長し、素敵な大人になって社会の中でいきいきと生活する、そんな未来が待っているのです。
障害児のお母さんたちが支えを感じながら安心して子育てできる環境を作るために
このページを読んでくださり、ありがとうございます。NPO法人ペアレント・サポートすてっぷ理事長の安藤希代子です。
私は、25歳の時に産んだ娘が自閉症でした。私はまだ若く人として未熟なまま親になってしまいましたが、その娘も今は27歳になりました。娘の子育てを通して、次第に「親」にしてもらえたと思っています。
しかし、自分の子育ての真っ最中に、周囲からよく聞こえてくる言葉がありました。「私は周囲の人に恵まれた。運が良かった」「今年の担任の先生はハズレだね」「あなたはいいですね。私の周囲には、理解して支えてくれる人なんていなかった」「どうしていいのか、誰も教えてくれない」
これらの言葉は、難しい子育てに振り回されている間も、私の中にもやもやと降り積もっていきました。
ハンディキャップを持って生まれてきた子を育てている私たち。普通よりも大変な子育てをしているのに、更にその上に、ケアを受けられるか受けられないかが「運・不運」で左右されている??必要な情報や支援がどんどん得られる人と、まったく得られずに困っている人がいるなんて、これはいったい、どういうことなのか。こんな状況で、親たちに「がんばれ、がんばれ」というのは、あまりに酷じゃないのか…。
自分自身の子育ての中でも様々な無理解や理不尽を感じる場面が何度となくあり、そのたびに疑問はふつふつと大きくなっていったのです。
こんなおかしな状況を少しでも、なんとかしたい。どの人も「支えの手」と繋がれるようにしたい。私たちがしたのと同じ苦労を、若い世代にはさせたくない…。そんな思いを胸に、子育てが一段落したところで同じ思いの仲間とともに始めたのが、私たちの法人です。
皆様の温かなご支援により、今より一人でも多くのお母さん・お父さんたちと繋がりたいと思います。どうぞ応援をよろしくお願いいたします。
NPO法人ペアレント・サポートすてっぷ 安藤希代子
ご支援の使い道
【わたしたちの支援のかたち】
私たちは「どんな状況の人にも支援の手を届かせる」ための仕組みを作ろうとしています。具体的には、中心に保護者がいるとして、その人の状況に応じた支援の形を以下のように用意しています。
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必要な情報を得たい、将来への見通しを持ちたい、子どもの障害について勉強したい等の願いを持ち、仲間や先輩保護者と出会いたいという方に…保護者支援の拠点として構えている、保護者の居場所・カフェ形式の相談所「うさぎカフェ」
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遠いところやよく知らない場所に出向くほどのエネルギーや時間はないけれど子どもの学校くらいまでなら行ける、という方に…学校に法人メンバーが出張して茶話会の場を作る「出前茶話会」
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子育てだけでなく家庭生活そのものが大変過ぎて、自分から支援を求める余裕のない方に…「倉敷子育てハンドブック ひとりじゃないよ」
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将来に向けて子どもの様子を記録につけたい・記録をつけることで子どもをもっと理解していきたい、という方に…「かがやき手帳」を書く会
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1・4の活動について、希望される方に私たちの培ってきたノウハウをお伝えすることで各地の保護者支援活動が充実していくためのお手伝いをする活動…保護者の居場所ノウハウ移転事業、かがやき手帳を書く会実施者養成講座
【皆様からのご支援の使い道】
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障害児の保護者の居場所、カフェ形式の相談所「うさぎカフェ」の運営費用(カフェ材料費、人件費、雑費等)…うさぎカフェは、ただの相談所ではなく、普通のカフェのように飲食をすることができます。飲食代の実費をいただくことで、相談をしに来られる方と相談を受ける私たちの関係性がフラットなものになり、相談者は余計な精神的負荷を感じずに相談できるようになるからです。更に、心のこもった優しい味の手作りのランチやスイーツを出すことによって、身体の中から人を癒すことを目指しています。よってカフェで出すランチやスイーツの材料代と、カフェを支えるためのスタッフの人件費が必要になります。
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出前茶話会の実施費用…茶話会では手作りのスイーツと、ドリンクバーを準備し、アロマオイルを焚いて来た人たちに少しでもくつろいでもらえるよう演出しています。緊張がゆるむと、悩みごとも話しやすくなるからです。よってスイーツの材料や消耗品、出張するスタッフの人件費が必要です。
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ハンドブック出版費用…障害児の子育てに必要な様々な情報を集約した冊子の発行を行っています。子どもの成長に合わせて、「vol.1 出生~小学校卒業」 「vol.2 中学校~中卒後の進路」 「vol.3 青年期の課題 」と、これまで3冊発行しており、今後、「vol.4 就労と自立生活」 「vol.5 遺していくわが子へ…障害者の親としてのエンディング・ノート」を発行して5冊1シリーズで完結させる予定です。ハンドブックを読んだ方からは、「何度も繰り返し読み返しています。私にとってこの冊子はお守りみたいなものです」「私の住んでいるところにはこういう冊子はありません。是非、私たちの町でもこういう冊子を作りたい」等の感想をたくさんいただいています。冊子は自費出版ですので1冊作るのに70万円ほど必要です。出版費用と作業者の人件費として使わせていただきます。
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居場所カフェノウハウ移転事業経費…私たちのしていることを私たちの中だけにとどめず、他の地域でもアレンジしながら実施していただけると、きっとより多くの保護者が支えを感じながら安心して子育てできるようになると考え、カフェ運営その他の私たちのノウハウを他団体、他地域に伝える活動をしています。希望団体を集めての研修会や希望団体の所在地に出張しての講演会も催します。諸費用や人件費として使わせていただきます。
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かがやき手帳を書く会実施者養成講座実施のための経費…倉敷市オフィシャルの相談支援ファイル「かがやき手帳」の書き方を私たちが独自に開発し、長年書き方のレクチャーをしてきました。現在は、児童発達支援事業所等の職員を対象としてレクチャー要員の養成を行うことで、より多くの保護者が「かがやき手帳」を記録していけるようにしています。養成講座のプログラム開発や講座実施に関わる者が最低3名は必要であるため、その人件費として使わせていただきます。
いただいた寄付金は必ず、障害児の保護者の支援のために有効に使わせていただくことをお約束いたします。どうぞ温かなご支援をよろしくお願いいたします。