2021年8月、アフガニスタンではタリバンが首都カブールまで進行し、アフガニスタン政府は事実上崩壊しました。タリバンが暫定政府として統治するなか、女性活動家やジャーナリスト、元政府関係者、国軍・警察関係者、外国軍への協力者、外国組織の関係者などは特に危険にさらされており、脅迫、拉致、暴力、殺害などから逃れるために、多くの人が身を潜めて隠れ家を転々とする生活を続けています。彼ら・彼女らの安全を確保し、命を守るための退避・保護支援が必要とされています。
また、資産凍結、失業者と給与未払いの急増、干ばつなどの影響により同国内の社会経済活動は停滞し、アフガニスタンの世帯の93%が十分な食事をできておらず、今後急性栄養不良で死亡する恐れのある子どもが100万人いると報告されています。さらに、生活苦を背景とした児童婚も増加しています。厳しい冬を迎え、防寒のための燃料、衣服、テンドなど含めた食料・生活支援が急務となっています。
現地の声を受け、REALsでは8月から、極めて深刻な命の危険にさらされているアフガニスタンの人々の国外退避と保護の支援活動を開始しました。世界各地の政府や有志団体と連携して、ほぼ連日、24時間体制で常時400人前後の人々の支援活動を継続しています。
各国政府による自国関係者退避の努力も続いていますが、命の危険があっても国外と接点がなく支援を得られない人も多くいます。REALsでは特定の国家との関係によらず、差し迫った命の危険にある人々の支援を行っています。
さらに、食料不足が深刻化している現状を受け、アフガニスタンの厳しい冬を困窮した家族が生き抜くことができるように、食料や生活費の支援を開始しました。
●退避支援
・空路による退避手段の確保
・陸路の安全な退避ルートの確保
・査証・受け入れ国の承諾の取得支援
・退避にかかる諸費用の支援 など
●保護支援
・脅威情報の収集・分析・助言
・安全確保対策
・シェルター(隠れ家)の提供
・退避を待つ家族への生活費支援
・医療支援(シェルターへの医者・助産師派遣など)
・安全な通信手段の確保 など
●食料・生活支援
・食料危機に直面する家族への食料支援
・厳しい冬を越えるために必要な燃料、テント、防寒具などの生活支援
REALsの支援を受けている現地の人たちから届いた声を紹介します。
活動家・ジャーナリスト(女性)
私は学生のうちから地方のラジオ局のマネージャーとして、地元メディアで女性の権利のため活動してきました。しかし、女性のための活動をしていたことからタリバンの脅迫を受け、自宅は襲撃され、オフィスは焼き討ちにされました。今では私の写真をもって居場所を捜索されていると聞き、家族とも離れ離れで身を隠す生活を送っています。各地で仲間の女性たちが女性の権利のためのデモを行うことを知り、自分も勇気を振り絞って参加しましたが、開始直後にタリバンが銃を乱射し、友人の女性含め3名が亡くなりました。私たち女性が20年かけて築いてきたものが一瞬にして崩れ去り、この先自分や家族がどうなっていくのか不安で毎日怯えて過ごしています。しかし、このまま声を上げずにいたら本当に女性たちの存在が消されてしまうという思いで、今も女子教育のためのキャンペーンをしています。8月初めに脅迫と襲撃を受けてから、世界中のさまざまな機関や個人に助けを求めて連絡をしましたが、それに応えてくれたのはルミコだけでした。今は国外退避の準備も進めてもらっています。
※2021年9月、女性の権利のためのデモの様子。自分たちの訴えを届けたいとの本人含む女性たちの希望に基づき写真を掲載しています。
人権活動家(女性)と現地NGO職員(男性)の家族
妻はアフガニスタン北部で女性活動家として著名な存在だったため、命の危険からタリバンの目を逃れ国内を転々としました。過去にも何度も殺害予告や脅迫状を受け取っていました。私たち家族は、8月の政権崩壊を受けて国外へ逃れようと試みましたが、かないませんでした。
そんななか、REALsの支援により、国外に退避することができました。本当にありがとう。退避前は、一日を過ごすのが一年のように感じられ、すべての瞬間が苦痛でした。
人生で当たり前だった日常の全てを失い、朝から晩まで何もできず、アフガニスタンの身の回りで起きる悲しいニュースを聞きながら隠れることしかできませんでした。退避できるまでは子どもたちも精神的に厳しい状況に置かれていました。安全な国に退避して、ほぼ3ヶ月ぶりに街を歩いたときの子どもたちはとても幸せそうで、表情の変化を見て、どれだけ精神的に厳しい思いをしていたかを実感しました。
これからも、たったひと家族でも、皆さんの支援で助けてもらえるなら、それ自体素晴らしいことです。命の危険にある人は退避の助けを必要としています。ひと家族だけでも救えるなら、アフガニスタンの人々にとって本当に貴重な支援となります。」
※退避後のインタビュー動画から抜粋しています
※左から人権活動家の女性、現地NGO職員の男性であり、右奥はお二人の息子さんです。現地の状況と支援を伝えたいとの意向により公開しています。
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アフガニスタンでは過去に地雷撤去、除隊兵士の社会復帰、女性の自立支援活動なども行いました。また、理事長瀬谷ルミ子はかつて外交官として軍閥の武装解除にも携わりました。