2021年8月、アフガニスタンの首都カブール陥落。
身の危険から国外退避を求め、空港に集まる人たちの映像を覚えているでしょうか。
あれから3年、アフガニスタン国内ではいまも危機が続いています。
ジャーナリスト、女性活動家、旧政府・軍関係者、アーティストやアスリート、日本含めた外国組織の元スタッフなど、かつて普通の生活を送っていた人たちが、脅迫や殺害予告を受けて身を隠す生活を余儀なくされています。
「私の居場所を聞き出すために家族がとらえられて暴行を受けている」
「私と家族の人生にいつ終わりが来るのか、そう毎日考えて恐怖と絶望のなかにいる」
「子どもたちが学校にも通えず外出もできず毎日泣いている。でも身を守るために隠れることしかできない」
子どもを含めた家族全員に死刑宣告が出されることも珍しくありません。
「女性」であることを理由に就労や教育を制限される人や、女性・女子に対して教育や支援を行ったり、女子の権利を訴えたりしたことで命の危険にさらされている人たちもいます。
また、アフガニスタン国内では深刻な食料危機が起きており、国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば2023年4月、推定1,720万人が食料不足に直面しています。
アフガニスタン全体が危機に陥るなかで、とくに女性が食料確保が困難な立場に置かれています。アフガニスタン国内での女性の就労や移動は制限されており、国連の調査では実に81%もの女性が過去3カ月間に家計が悪化したと回答しています(2023年3月、IOM, UN Women, UNAMA)。
紛争などにより居住地を逃れた国内避難民の人たちも、家や家財道具、家畜などほぼすべての財産を失っており、食料の確保が難しい状況に置かれています。また、国内避難民の59%は18歳以下の子どもです。
REALsの支援活動
REALsは2021年9月から、命の危険にある人の安全を確保し、第3国への国外退避を行う活動に取り組んでいます。3,000人を超える方からのご支援で、これまでに300人以上の国外退避と1,500人以上の隠れ家、医療、食料、生活支援を実現してきました。
また食料・生活支援では、ジャパン・プラットフォームの助成もいただき、のべ4万人以上に食料危機を生き延びるための食料を届けています。
支援内容
退避支援
・空路による退避手段の確保
・陸路の安全な退避ルートの確保
・査証・受け入れ国の承諾の取得支援
・退避にかかる諸費用の支援 など
隠れ家、医療、食料、生活支援
・脅威情報の収集・分析・助言
・安全確保対策
・シェルター(隠れ家)の提供
・医療支援(シェルターへの医者・助産師派遣など)
・避難中の子どもたちへの教育支援
・安全な通信手段の確保
食料・生活支援
・食料危機に直面する家族への食料支援
・厳しい冬を越えるために必要な燃料、テント、防寒具などの生活支援
アフガニスタンの人たちの声
退避を待つ元司法関係者の女性
私は司法関係者としてさまざまな武装勢力の裁判や司法手続きに関わっていました。
前政権が崩壊したことで、私に対して殺害命令が出され、学校に行くこともできない幼い子どもたちとともに、毎日おびえて暮らしています。私の居場所を突き止めるため、先日は家族が拘束されてしまいました。子どもたちのために頑張らなければと自分を奮い立たせようとしても、心身ともにすり減り、泣きすぎて呼吸困難になってしまうこともあります。
REALsと連絡が取れていることが私にとって唯一の希望です。返信が少し遅れるだけで不安のあまり「私たちを見捨てないでほしい」と一日に何度も連絡をしてしまうこともあります。でも、私たちのことを想い返信してくれること、安全な国に退避できるようあらゆる国や機関に連絡をしてくれていることに支えられ、何とか今日も生きることができています。一日も早く、安全な国に退避できることを願っています。
食料配布を受け取った40代の未亡人の女性
私は5人の娘と一緒に暮らしています。家は中庭の借家で壁はなく、冬の間は屋根から雨漏りがします。夫はある日、仕事から帰ってきませんでした。自爆テロに遭い命を落としたんだと思います。私は世帯主として毎日羊毛を紡ぐ仕事をしていますが、稼ぎで買えるのは数個のパンだけで、娘たちを満足に食べさせることはできません。
そんなときREALsから電話が来て、食料援助を受けられることになりました。食料が入ったバスケットを実際に受け取ったときは大きな喜びを感じました。ほとんどの食材が数カ月間は口にすることができなかったものでした。
食料支援をいただいたことで、食費を娘たちの制服代に使うことができ、娘たちが学校に通えるようになりました。私のわずかな収入では娘たちの教育に割けるお金がなく、娘たちが勉強できないのを見るのはとても辛かったです。娘たちが学校に通い、授業を受けているのを見て、とても嬉しく思っています。
寄付金控除について
認定NPO法人であるREALsへのご寄付は、寄付金控除の対象となりご寄付の最大約5割が還付されます。(詳しくはこちら)REALsが発行する寄付金受領証明書(領収書)を確定申告の際にご提出ください。
REALsでは年に1度、1月末頃に前年分の領収書を発行しております。
領収書上の受領年月日はREALsへの入金日となります。ご寄付のお申込みからREALsへの入金に約1~2カ月かかるため、年末に近いご寄付は来年の寄付金控除の対象となる可能性がございますので、あらかじめご了承ください。
ご支援にあたっての留意事項
本ページからのご寄付はアフガニスタン緊急支援に使わせていただきます。支援状況やニーズの変化などにより、当初の計画より早く活動を終了した場合には、REALsのその他事業のためにご寄付を使用させていただくことがございます。
認定NPO法人REALs (Reach Alternatives)とは
REALsは「紛争・テロ・社会的な暴力」を防ぎ、乗り越え、共存できる社会の実現に向けて争い予防に取り組む認定NPO法人です。現在はアフガニスタンのほか、ケニア、南スーダン、トルコ、シリアで争いの当事者とともに問題の予防・改善・解決に向けて活動を行っています。
アフガニスタンでは過去に地雷撤去、除隊兵士の社会復帰、女性の自立支援活動なども行いました。また、理事長瀬谷ルミ子はかつて外交官として軍閥の武装解除にも携わりました。