コロナ禍でむかえた「震災から10年」
NPO法人SETは、陸前高田・広田町を拠点に10年間「交流と対話の力」を信じて活動してきました。
人口3000人ほどの広田町に、年間2,000名以上の若者が訪れる交流プログラムを行っていました。
2020年、思いもよらない形で私たちに危機が訪れました。新型コロナウイルス感染症です。
新型コロナウイルス流行で団体の事業は一時すべて中止を余儀なくされました。
また、震災10年を節目として、復興を後押しする公的な資金も、民間の資金もどんどん縮小していき、東北沿岸地域のNPO活動継続には二重に危機に陥りました。
そんな時に、緊急クラウドファンディングを実施し、皆様から多くの支援をいただき何とかこの危機を乗り越えることができました。
2020年3月の緊急クラウドファンディングを通じて、735名の個人の方、そして7社の企業様から約740万円の支援をいただき団体の活動継続とスタッフの雇用を守ることができた。
「広田町から日本の未来のため」への新しい挑戦をスタート
私たちは団体設立11周年を迎え、「広田町の未来のため」に挑戦してきた10年を総括し、「広田町から日本の未来のため」への新しい挑戦をスタートします。
「交流と対話の力」を信じ続けながら、コロナ禍をきっかけに「都市と地方を繋ぐ交流事業に依存する経営体制」を抜本的に見直し、本当に創り出したい未来の姿とその実現に向けたロードマップを策定しました。
【交流部】【暮らし部】【研究部】の3つの柱で、
「人口が減るからこそ豊かになる人づくり、まちづくり、社会づくり」というビジョン実現に挑んでいきます。
■【交流部】=スケールアップ
陸前高田・広田町での経験と実績を元に、岩手県内の自治体と連携して活動拠点を拡大するとともに、
大学生だけでなく、自治体職員向けの研修プログラムも実施。
■【暮らし部】=スケールディープ
短期滞在型やオンラインでの交流に加えて、長期滞在型のコンテンツや地域経済循環を創り出すローカルビジネスをゼロから開発。
■【研究部】=スケールアウト
各領域の研究者からご協力をいただきアカデミックボードを整備し、事業の効果実証や政策立案能力を高め、広田町から生まれた希望を日本全国に広げていく活動を実施しています。
現在実施した調査報告書はこちらからご覧ください。
資金の使い道
私たちが取り組む事業は「すぐに売り上げを立てられない/構造的にビジネス化が容易じゃない」けれど、「未来のために本当に必要な取り組み」に挑み続けていきたいと考えています。
具体的に取り組みたいことを以下にまとめました。
■【交流部】
・Change Maker Program
現在、学生の活動区域の拡大の他、岩手県内自治体職員や都内の社会人向け研修プログラムの実施など、「誰もがChangeMakerになれる社会」の実現に向け、挑戦を継続。今後さらに、想いを持った多様な背景を持つ人々がプログラムへ参加しやすい環境づくりを加速させていきたい。
・高田民泊
Withコロナのもとでの修学旅行民泊再開にむけて、雇用を守り、地域の方々とより心に残るコンテンツを磨き、魅力的で持続可能な陸前高田民泊を作る。 再開した後には年間受け入れ1万人を達成し、地域の交流インフラとして価値を出していきたい。
・まちぷろ(旧:高田と僕らのみらい開拓プロジェクト)
中高生が自分と地域の未来を県外の大学生と共に切り拓いていくキャリア教育プログラム。
陸前高田・広田町での7年間の経験と実績を、同様に若者流出の危機に面している岩手県内自治体にユース事業を展開し、「どこに生まれても誰もが生きたい生き方に向けてチャレンジできる社会」を実現したい。
■【暮らし部】
・Change Makers' College
市民活動の担い手不足の問題と現代の若者たちの抱える生きづらさの問題を同時に解決するために、日本でまだ一般化されていない「余白を大切にした大人のための学び舎」の普及啓発にも力を入れ、日本における持続可能な事業モデルを構築したい。
・コミュニティービジネス
コミュニティでの支えあいを通して、地域資源を活用した新しい経済の循環創出を目指す。
まずは「食」の分野に力を入れ、生産から加工、流通、販売まで手がけ、広田町を起点に、暮らしに根ざしたビジネスを一つずつ形にしていきたい。
■【研究部】
インパクト評価×公共政策をテーマに活動し、 SETで取り組んでいる事業の社会的インパクトを多方面から定量的・定性的に教授陣と共に評価。客観的な成果実証をもとにアドボカシー(政策提言)活動などを展開し、日本全体に価値を波及させていきたい。
リターンのご紹介
■10万円以上寄付してくださった皆様へ
希望者の方に対しては、一度オンラインでの話し合いの場を持たせていただければと思います。
・まちづくりに関するオンライン講師やコンサルティング業務
(SETの11年間の地域活性事業、特に関係人口、移住定住人口創出のノウハウの提供・ラジオなどの定期出演、定期執筆など)
・現地での調査事業や実証実験事業(現地に住み、地元住民との関係性がある)
・地方に住む中高生向けのオンライン型教育事業
(多様な若手社会人や大学生によるキャリアに関するオンライン講座、コーチング セッション、学習サポートなど)
■ご指名いただける職員
(1)三井俊介(理事長/研究部部長/元陸前高田市議会議員)
【専門テーマ】
新しい時代の生き方、働き方について/交流人口、拡大人口・社会起業/ソーシャルビジネス/NPO経営(ティール組織)/移住/定住/政治とまちづくり/民泊修学旅行の可能性/第13回マニフェスト大賞「シティズンシップ推進賞」最優秀賞受賞プログラムChange Maker Study Programの全容とあなたの町での活かし方
(2)岡田勝太(副理事長/暮らし部部長/ChangeMakers'College学長)
【専門テーマ】
日本版フォルケホイスコーレの可能性とは?/デンマーク発祥の生き方を学ぶ学校フォルケホイスコーレの「Change Makers’ College」の全容/人のプレゼンスを活かした(内発的動機づけ)人材育成/1day Change Maker Study Program体験ワークショップ/対話を活かしたまちづくりの可能性/新しい時代のキャリア選択について(大学卒業後など)
(3)石渡博之(理事/交流部部長/ChangeMakerProgram統括)
【専門テーマ】
大学生の人生選択やキャリア選択について/大学生の学びの場としての地方(拠点である陸前高田市広田町)/新しい時代における大学生のあり方や大学生活の過ごし方/大学卒業後の移住者としての挑戦 /大学生が地方で活躍する具体的な事例/大学生の自己分析&自己成長のためのワークショップ
ここまで読んでくださった皆様へ
コロナ禍でむかえた「震災から10年」は、本当に事業継続を断念せざるを得ない危機的状況でした。
そんな中でもSETを信じ、支援してくれた700人を超える方々や、今もこうして私たちを気にかけてくださる皆様がいなければ、11周年を迎えることはできませんでした。
コロナ禍に模索しながら見つけた、【交流】【暮らし】【研究】の3本柱で「人口が減るからこそ豊かになる人づくり、まちづくり、社会づくり」を目指す挑戦は、岩手に住んでいるSETスタッフだけの挑戦ではなく、皆さんと共に歩む挑戦です。
SETに縁がある皆さんとまた絆を深めて、一緒に取り組む仲間として、共に「これからの10年間」に挑んでいきたいと考えています。
これからもよろしくお願いします。