2023年度は、児童養護施設等で育った若者の自立支援として、相談事業「府中サロン」、学生寮「コレクティブハウス国立」、ケアリーバー講演会など、多面的な支援を行いました。
相談件数は 1,820件 にのぼり、生活・就労・家族関係・健康問題・海外在住者からの相談など、多様で複雑なニーズに対応しました。
府中サロンでは、食事提供やカウンセリング、少人数セミナーの開催など、出身者にとって「安心して戻れる居場所」として機能しました。学生寮では、大学・専門学校へ通う出身者を受け入れ、生活支援・就労支援・奨学金・地域交流の機会を提供しました。
また、ケアリーバーによるスピークアウトやテーブルマナーの会も開催し、社会参加の場を広げました。
本年度も多くの企業・団体・個人の皆さまからご寄付とご協力を賜り、事業運営の大きな支えとなりました。心より御礼申し上げます。
感想「2023(春)スピークアウトセミナー ~君たちに伝えたい私たちの思いを~」
卒園式の後に利一先生とお話する機会があり、事務として入職後約5か月経った私に、スピークアウトの情報をいただきました。
事務の傍らに宿直を2回ほど経験し、在園の子ども達とたくさんお話ししたうえで、卒園生のお話を伺ったので、とても良いタイミングでこの機会をいただきました。
宿直の時、在園高校生と夜、ブランド服の紹介をするYou Tubeを観ながらお話をしたときに、「高っ、別に欲しくないし」といったので、何かほかに欲しいものとかやりたいことある?ときくと「別にないな」という答えが返ってきて、若いのに無欲だなあという印象を持ちました。でも卒園後については「お金を稼ぐんだ」と教えてくれました。まだ若いので、具体的に何がやりたいかはよくわからないけど、自立したい気持ちはどこかで持っているという感じでした。
今回の卒園生のお話は、終始意欲に満ちていて、やりたいことが明確化されていて、そこに向かって邁進する行動力にも満ちていました。でも特に、やりたいことが見つかってからの資金面の支援がとても重要なことも分かりました。
現在、私が措置費請求事務をしていく中で、塾代や入学資金等高校生への教育費は手厚くなってきていると感じていますが、卒園後の支援はまとまったものがきちんとアナウンスされていない気がします。これから先、卒園後の支援についても具体的に在園生にアナウンスされていて、将来が見通しやすかったら、もう少しやりたいことが具体化して、そこに向かって邁進できる可能性が高まるかもしれません。
卒園生のお話の中に、里親さんのところにいるよりも学園にいたいと思った件がありました。様々な考えを持った子供たちの様々な意思を尊重するために、支援の幅も選択の余地も、もっともっと広がることを願っています。
(施設職員)

