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農福研修生への支援
「今日は朝から玉ねぎ人参を大型トレーラートラックに2000箱を積み込んだ」
と自らの成果を報告するラインの声は喜びに震えていた。
今年の正月すぎ、青年たちは富良野の農場に就職して、雪の中のハウスで種まき、苗づくりそして春の農地に植え付けた、丹精込めた野菜の収穫が始まった。広大な敷地の中で、大型の耕運機トラクターで植え付けた効果である。
日本の農業の将来を考え二人の青年が北海道農場に就職した。今まで学生寮で生活していた青年は、大学復学を諦め、勤めた会社を辞め、自分の夢を後継者を求めている北海道の農場に託した。しかし現場は甘くない、農場人口の減少は高齢化によるものであり、農業従事者の不足、また中国企業が土地を買収、これからの日本の農業は、新たな働き方改革と人口の減少を食い止めることにある、農繁期に外国人研修生に依存するのではなく年間通しての仕事、そして魅力ある生産性のある仕事環境づくりが急がれる、と痛切に感じたと度々の報告を受ける。いつも深夜の1時間にわたる話はまさに真に迫った現状を想像する。
しかし広大な土地で農業に従事する魅力は決して捨てたもんではない、従来の家族経営に依存していた日本の農業政策に問題があり、農業国ウクライナのロシア侵略から気づいた日本も輸入に頼っていたことに完全の余地があるのではないかと言う、青年たちの支援の求めにも応じ協力者により育英会として経済支援している、施設を出て社会の中で生活をしてきたが、自分たちの力で新しい未来を想像し、仲間を呼び集めこの農業をベースにしながら街づくりへと発展することは夢ではない。「ソーシャルインクルージョン」、さらなる可能性を求めて今日も朝から農作業に汗を流している青年たちに支援を続けたい。
スピークアウト
施設卒園生が施設での出来事や今の自分の生活を振り返り、その経験を施設の高校生・支援をいただいた社会で活躍する大人達に聞いていただく場です。スタートはお正月に在校生に向けて卒業生が施設での思い出などを話したが、もっと多くの方に聞いていただく機会を作れないかということで協力者を募り開催しています。2018年から今まで合計5回、実施をしてきました。2022年1月実施予定でしたがコロナで延期になり、やっと10月に開催することができました。社会で活躍される方が18歳以上の施設出身者へのケアや、施設に住む子供たちのリービングケアをどうしたらよいかなどを様々な視点から考える機会としていただきます。
スピークアウトの効果
当事者の話を当事者が聞くことにより、本人の将来を考えるきっかけとなります。コロナで延期となっていましたが2022年10月にようやく開催が実現し、支援者と施設職員、卒園生を交えてスピークアウトとテーブルマナー講座を昼食をとりながら実施しました。親戚付合いの希薄な子どもたちには貴重な場だというお話もいただきました。
スピークアウトの意義
18歳の壁が撤廃され、18歳の成人化などでの子どもの取り巻く環境は大きく変化しました。18歳の壁の撤廃はされたものの、施設に簡単には残れません。また、18歳から保護者の同意なしでカード発行もできるようになり、知識や社会のつながりがまだない子どもたちは危険が多くあります。学校の授業では生活については教えてくれません。特にお金のことは教えてくれません。もっと子どもたちの状況・課題を地域が支える必要があります。だからこそスピークアウトや様々な取り組みで子どもたちを社会が守らなければなりません。
私たちは今後も、子どもたちと社会とつながりをつくる活動を続けていきます。