活動・団体の紹介
静岡市障害者協会は、平成17年に発足し、三障がい(身体・知的・精神)の各団体が、障がいの種別を超えて結集しました。近年では、発達障がい、難病の団体も会員となり、相互の連携、活動の支援、社会参加の促進、市民への啓発などの事業を行っています。静岡市から基幹相談支援センターと障害者虐待防止センターなどの業務を受託しています。
活動の背景、社会課題について
現在の私たちが取組んでいる事業の大きな柱は、「差別の解消」と「災害対策」です。2024年4月から「障害者差別解消法」の改正が施行され、合理的配慮の提供が民間も義務化され、社会生活の全般に及ぶようになりましたが、認知度も現実感もまだまだです。
さらに、災害時の要支援者の支援の仕組みはあると言っても「幻」です。災害発生という本番で役立ちそうにありません。壁が多く、光も見えません。1月に発生した、能登半島地震、その後の能登半島豪雨の被災地支援には、職員を派遣し、必要な支援を届けるとともに、静岡での全体の支援体制の課題から役立てようとしています。行政にも議会にも地域にも働きかけ、あきらめずに取り組みます。
受託事業や相談支援事業では、「基幹相談支援センター」とその周辺の事業にも鋭意取り組んでいます。その中で私たちが目指すのは「取り残さない支援の実現」です。いわゆる8割の対象者には有効でも、2割の人には役立たない支援や教育があります。その2割の人に支援を考えても完全には支援は届かず、取り残される人がおり、個別の支援になります。さらに2割の人は支援がなくほとんど取り残されているというイメージです。その例として、触法系障児者の問題があります。その支援の人材を養成する事業にも取り組んでいます。
最後に、私たちは、モットーである「私たちのことを私たち抜きで決めないで」を実践していきます。障がい者団体が声を出し、皆様にはそれを受け止めていただくよう、ご理解とご協力をお願いします。
活動内容の詳細、実績について
当法人は設立以来、障がい者福祉の向上、権利擁護などのためのさまざまな活動を推進しています。
1.独自事業
①研修(障害者プランの勉強会):毎月1回、②防災事業(防災委員会の実施と障がい当事者が参加して行う宿泊型の防災訓練、自宅避難訓練など)、③差別解消・社会参加委員会:毎月1回を行っています。
その他、障害者福祉やインクルージョンについて市民の方々に広く啓発することや、障害者スポーツや文化活動を通して障がい者の社会参加を推進しております。
2.静岡市委託事業
2005年10月より「静岡市障害者社会参加推進センター」(2007年4月より「静岡市障害者相談支援推進センター」)を運営し、障がい者の相談支援や市内の相談支援機関のネットワーク作りのための事業を進めています(障害者110番事業、身体障害者補助犬相談(静岡県補助犬支援センターと連携))。
加えて、2012年4月からは静岡市障害者虐待防止センターの運営も行い、障がい者虐待の通報の受理や障がい者を虐待した擁護者等に対する、助言・指導の実施。虐待防止に関する啓発や広報、研修事業も進めております。
さらに。2018年4月からは地域生活支援ネットワーク相談調整コーディネーター業務を静岡市より受託し、障がい者等の生活を地域全体で支える仕組みづくり「まいむ・まいむ」を進めています。
代表者メッセージ
静岡市に障害者協会が創設され、そろそろ20年になります。この20年にわたる当協会として行政や議会は働きかけて、障害のある人のために活動してきましたが、あまり自慢できる成果はありません。
静岡市はもとから豊かな自然や温暖な気候に恵まれています。江戸時代には天領と呼ばれた土地であり、参勤交代を待っていればお金も落ちるので待ちの姿勢でも生活ができていました。政治的にも保守王国と言われ、議会の保守勢力はこの50年間は変わっていません。住民もお人よしや穏やかなどと評せられ、もっと言えば長いものには巻かれろ、という気風です。
その中で、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」と言っているのはなかなかしんどいものです。例えば、今まではまちづくりの会議では、最初からの参加はできず、こんなものを作るから障害者のことは考えてやったので確認してくれという形でした。最近は、駅前広場の整備などには呼ばれるようになりましたが、「障害者にやさしいまちづくり」の主張は学識経験者には賛同いただいても健常者の意見が優先されててしまい、具体化しそうにありません。
「日本の諸制度は、障害者の権利条約の理念とは調和しない」という国連の障害者委員会が令和4年9月に指摘した傾向は、静岡市にも当てはまります。行政も議会も市民も「障害のある人のことを考えていろいろやっているのだから、大人しく従うべし」という父権主義(パターナリズム)がしみ込んでいます。
ただ女性や子ども、LGBTも、人権の視点が薄いという指摘がいまいろいろな場面で目立ってきました。でもまだ具体的に改善しようという動きは鈍いようです。その一因は、学校教育にもあるかもしれません。素直で従順で役に立つ人を育てることを明治以降目指してきたようで、その教育を受けた人が社会の中核にいます。社会の問題や課題を指摘して改善、改革しようという市民は受入れ難いのでしょう。さらに、障害者側にも我慢や諦めがあるのも事実で、障害者に対する差別を解消しようという動きの前提としては障害のある側の人の認識をまず改めるべきでしょう。
日本的ないい部分は残す必要はあるとは思いますが、障害などがあっても人間としての尊厳を認め、相互に尊重することができる社会にしていきたいと思います。そのためには、静岡にはもう少し意見を訴える人が必要だと考えます。
障害者に対する相談支援を通じて、さらには障害者や団体への支援を通じて、障害のある人たちのために、少しでも役に立ちたいと存じます。
寄付金の使い道について
皆様からお寄せいただいたご厚意は、本会事業の充実や障がいのある人への支援、特に制度の隙間にある人たちへ支援を届ける活動に使わせていただきます。
具体的には、
①障害のある人の人権擁護や共生社会の推進を進めます
②災害時要配慮者への支援の仕組みを役立つものにし、災害時に備えます
③罪を犯してしまった障がい者の再犯防止や地域への移行・定着を支援します
④難病や小規模の障がい者団体への支援を進めます
⑤その他、ニーズに対応した支援を進めます