「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト」とは
医療の進歩に伴い、全国的に医療的ケア児は増えており(厚生労働省)、今後も増えることが予測されています。
全国的にも、北海道でも、医療的ケア児も利用できる通所型(デイサービスや生活介護など日中に施設に通う)・訪問型(訪問看護や居宅介護など家に訪問する)のサービスは増えていますが、日中の限られた時間でしか対応することができず、宿泊も含めて1日を通して重い障がい、特に医療的ケアのある子どもたちを預けられる場所が非常に少ないのが現状です。
重い障がいがあってもお泊まりができる場所がないため、「家族、特に主な介護者である母親は夜間にぐっすり眠ることができない」「ケアの多い障がい児との時間が多いことできょうだい児との時間をつくることが難しい」「日々の生活に余裕がない」という状態です。
また、社会を動かすほどの声を届ける活動をするのも難しいので、制度にも反映されず、福祉事業者がお泊まりできる施設(ショートステイ)を継続的に運営するのは難しいという問題が生じています。
こうした課題を解決するため、「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト」を2022年9月から開始することになりました。
まずは2025年までに重い障がいがあってもお泊まりできる施設を1か所つくり、他団体ともノウハウを共有しながら北海道各地に拠点を増やし、地域での生活を続けるための仕組みづくりを広げていきます。
重い障がいのある子どもとその家族が住み慣れた地域で暮らすためには、当事者と家族、医療・福祉・介護に従事する者、地域住民、地方自治体、地域の団体や法人と情報交換、意見交換しながら構築していく必要があります。
SDGsでも「誰一人取り残さない」と謳われていますが、重い障がいのある子どもたちが暮らしやすい地域は、誰もが暮らしやすい地域になると考えています。
解決したい課題
重症児デイサービス、生活介護、居宅介護、訪問看護と、地域のニーズに合わせて事業展開を進めてきましたが、日中の限られた時間でしか対応できず、宿泊も含めて1日を通して子どもたちを預かることができないということが課題です。
当法人の理念「どんな重い障害があっても地域で生きていく」ためには、夜間も安心して気軽に預けられる場所が全国各地に広がっていくことが理想です。
しかし、要望が多いにもかかわらず、図の左側のような悪循環になってしまっているのが日本の現状です。
重い障がい、特に医療的ケアがあってもお泊まりできるインクルーシブな拠点をつくることで、好循環に転じるアクションを起こしていくことができると考えています。
いつでも気軽にお泊りできる施設がない
重い障がいのある子どもや医療的ケアが必要な子どもとその家族は、さまざまな医療・福祉のサービスを利用しています。地域のNPOや住民との交流や、家族会での情報交換や支え合いも、各地域で行われています。
しかし、短期入所することができる施設が少なく、特に、重い障がい、医療的ケアが必要な子どもが利用できる施設はその中でもごく一部です。
利用できるとしても、数か月前から計画を立てて予約するような状況なので、いつでも気軽に利用できて「お友だちとお泊まり会」「おばあちゃんの家にお泊まりに行く」のようなワクワクして利用するものではありません。
さらに、地域住民との交流や、医療的ケア児の旅行者も利用できるような短期入所施設もありません。
よって、どんな重い障がいがあっても暮らせる地域をつくっていくためには、当事者とその家族、地域の医療・福祉のサービス、行政、家族会、団体・法人や住民などと共に、重い障がいがあってもお泊まりできるインクルーシブな拠点づくりから始まる「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト」が必要だと私たちは考えています。
2022年7月1日、医療法人財団はるたか会が千葉県松戸市に日本初の福祉型レスパイトハウス「やまぼうし」を開所しました。医療的ケアが必要な子どもたちがお泊まりできる場所を、全国に展開するためのロールモデルとなる場所です。
私たちも「やまぼうし」と連携させていただきながら、北海道でもお泊まりのできる拠点を増やすモデルをつくっていきます。
地域での生活を続けるための仕組みづくり
2021年に医療的ケア児支援法が施行され、医療的ケア児及びそのご家族の生活を、社会全体で支援しなければならないとされました。
SDGsでも「誰一人取り残さない」と謳われていますが、重い障がいのある子どもたちが暮らしやすい地域は、誰もが暮らしやすい地域になると考えています。
「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト」では、まず2025年までに重い障がいがあってもお泊まりできる施設を1か所つくり、他団体ともノウハウを共有しながら北海道各地に拠点を増やし、地域での生活を続けるための仕組みづくりを広げていきます。
地域で生活するということは、当事者・その家族と医療・福祉のサービスやその横のつながりばかりが強くなっても実現には至らず、行政、家族会、団体・法人や住民と情報交換や交流を行いながら、地域全体で医療的ケア児とその家族を支えていく仕組みをつくっていくことが必要です。
寄付金の使いみち
みなさまからご支援いただいた寄付金は、「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト」の第一弾として予定している、どんな重い障がいがあってもお泊まりできるインクルーシブな拠点をつくるための準備に、活用させていただきます。
▶︎シミュレーション
(1)お泊まり会・お泊らない会(昨年度から継続)
(2)小児科およびリハビリテーション科の外来シミュレーション
▶︎調査・研修
(1)重度の障がい児者や医療的ケアのある子どもたち(者)を安心安全に、かつ、「またお泊まりに行きたい!」と思えるようなショートステイの運営に取り組んでいる事業所の視察
(2)障がいの有無に関わらず地域に住んでいる子どもたちを診察している小児科クリニックの視察
(3)子育て支援、地域で子どもたちを守り育てていく支援として、不登校児のフリースクールや病児保育などの活動をしている小児科クリニックの視察
(4)日中の通所支援事業等や訪問診療を行っているクリニックの視察
▶︎啓発
(1)障がいの有無、障がいの種別、障がいの程度に関わらず楽しめるアーティスト活動やデイキャンプイベント等の開催
(2)地域住民や、ソルウェイズの利用児者家族にも建設予定エリアを知ってもらうために、ソルウェイズまつりを開催
(3)「いけプロ」の活動報告会
(4)保育園等の職員に向けた医療的ケアについての研修会
(5)法人ホームページの改修・クリニックホームページ作成
(6)ホームページ・SNS・メールマガジンでの情報発信・活動報告
(7)報告書、ポスター、チラシ作成・郵送
(8)企業訪問・他団体のイベントでの登壇
(9)プロジェクトの資料作成:ロゴデザイン、図面作成、書類作成、雑費等
(10)開所式準備
▶︎車両の購入
送迎車両の充実:中古車の購入等
▶︎人材育成等の組織基盤強化
(1)「あいのカタチ」開所準備に係る増員および人件費
(2)法人内の人材育成、勉強会に係る費用
(3)他団体との交流・意見交換、勉強会に係る費用
▶︎開業準備と内容の充実
(1)医療的ケア児も対応できるインクルーシブな小児科にするために
・医療機器
・広報活動費
(2)あらゆる子どもが一緒に遊べるように
・療育関連の物品
・リハビリ室(みんなが遊べる空間)の充実
・デイサービス、生活介護、ショートステイでも使えるもの
(3)家族・従事者・地域住民も交流できるように
・ソルラウンジに必要なもの
・防災グッズや災害時に避難場所にできる場所
2023年度の活動報告
▶︎ショートステイのシミュレーション
(1)お泊まり会・お泊らない会(昨年度から継続)
→お泊まり会3回、お泊まらない会1回実施
▶︎視察・調査
(1)重度の障がい児者や医療的ケアのある子どもたち(者)を安心安全に、かつ、「またお泊まりに行きたい!」と思えるような短期入所施設の運営に取り組んでいる事業所の視察
(2)障がいの有無に関わらず地域に住んでいる子どもたちを診察している小児科クリニックの視察
(3)子育て支援、地域で子どもたちを守り育てていく支援として、不登校児のフリースクールや病児保育などの活動をしている小児科クリニックの視察
(4)日中の通所支援事業等や訪問診療を行っているクリニックの視察
→西真岡クリニック(真岡市)視察
ひばりクリニック(宇都宮市)視察
2023年度9月より月1回のクリニック・ショートステイ定例打ち合わせ実施
▶︎啓発
(1)障がいの有無、障がいの種別、障がいの程度に関わらず、生のミュージカルを楽しめるイベントの開催
→心魂プロジェクトの開催(7月28日・29日)
(2)住民住民や、ソルウェイズの利用児者家族にも建設予定エリアを知ってもらうために、ソルウェイズ祭りを開催
→9月3日に開催
(3)「いけプロ」の活動報告会
→5月16日 ロゴマーク発表
9月28日 小児科クリニック医師発表
10月17日 年次報告書を読む会
11月6日 建設予定地変更についてスタッフ説明会
11月25日 建設予定地変更について家族説明会
12月16日 活動報告会
(4)保育園等の職員に向けた医療的ケアについての研修会
→6月28日「医療的ケア児の保育」「デイサービスでの療育」
8月23日「医療的ケア児とは」「医療的ケア児支援センターの役割と活用法」
10月28日「子どもに関わる職種が知っておきたい救急対応、小児の薬」
2月27日「地域ネットワークの構築と医療・福祉サービスの連携、家族から」
(5)ホームページ・SNS・メールマガジンでの情報発信・活動報告
(6)報告書作成・郵送:年1回
→8月までに作成し9月に郵送
(7)企業訪問・他団体のイベントでの登壇
(8)プロジェクトの資料作成:図面作成、書類作成、雑費等
重い障がいのある子どもとその家族が、住み慣れた地域で暮らしていくために、当事者とその家族、医療・福祉・介護に従事する者、地域住民、地方自治体、地域の団体や法人と情報交換、意見交換しながら、プロジェクトを遂行していきます。
みなさまからのご支援をもとに、みなさまと共に「北海道で暮らす医療的ケア児の未来を拓くプロジェクト」を育てていきたいと考えています。ぜひ仲間になっていただけると嬉しいです。