視覚障害者はどのようにしてパソコンなどを使っているのか
みなさんの中には画面が見えない視覚障害者がなぜパソコンなどが使えるのか、不思議にお思いの方も多いのではないでしょうか。その答えは、パソコンなどでスクリーンリーダーと呼ばれるソフトウェアを使い、画面の文字を読み上げさせて操作しているからです。ただし、Windowsパソコンではマウスやタッチパッドは使いません。操作は全てキーボードだけで行います。Windows用のスクリーンリーダーには別売りのPC-Talker、JAWSなど、フリーソフトとしてはNVDAがあり、どれかをインストールして使います。
また、iPhoneやiPadには最初からVoiceOverというスクリーンリーダーが入っています。設定のアクセシビリティの中にあり、初めはオフになっています。オンにすれば使えますが、タッチ操作が通常とは変わります。下の画像はその設定画面です。また、タッチパネルに対応しており、読み上げた音声と様々なタッチの仕方で操作します。なお、最近ではカメラに映ったものが何かを音声で教えたり、印刷された文書の文字を読み上げてくれるアプリも増えてきました。
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そもそもSPANとは
特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(略称:SPAN)は1999年の設立です。ICTによる社会の情報化は非常に速く、視覚障害者にもパソコンの利用は自立と社会参加等の面から非常に重要になりました。しかし、Windowsの普及で操作はマウス主体になり、キーボードだけによる操作は今もかなりの訓練が必要な状況です。しかも視覚障害者対象のパソコン教室は少なく、利用者は少数に留まる状況を踏まえ、多くの人々が協力し合い、視覚障害者のWindowsパソコン利用を拡大・推進することが目的でした。
日本国内の視覚障害者は約30万人ですが、インターネット利用率は多く見ても10%程度だと言われています。しかし、目からの情報入手が困難な視覚障害者にこそ、インターネットからの情報取得が有効と考えています。機器はパソコンから始まり最近はスマホ、タブレットなどが利用できるようになり、視覚障害者の自立と社会参加のハードルは徐々にではありますが下がりつつあります。
SPANの活動は、以下の4つの事業を柱としています。詳しくはSPANのホームページ(https://span.jp/)をご覧ください。
講習会の開催:マンツーマンやグループ講座などは随時開催しています。初めての方からスキルアップを目指す方まで幅広いレベルに対応しているほか、就業中の方でも通いやすい講座もご用意。また、指導者を目指す方むけの「インストラクター養成講座」も実施しています。(https://span.jp/lesson/)さらに、日商のパソコン検定の受験準備の講座も開催しております。
事業受託:公益財団法人 東京しごと財団の在職者訓練コースを受託しています。また自治体や各種団体などからの受託により、視覚障害者向けのパソコン教室やボランティア養成講座なども開催しています。(https://span.jp/lesson/individual.html)
情報の提供:SPANがこれまでに培ってきたノウハウをもとに、Microsoft Office製品やiPhoneなどの操作マニュアル、また全国の視覚障害者向けのサポートを行っている団体のデータベースをWebサイトで公開しているほか、メールマガジンの配信も行っています。(https://span.jp/useful/)
普及・啓発活動:適切な訓練を受けることで、視覚障害者もパソコンを利用した業務ができる可能性がありますが、この事実はまだあまり認知されていません。SPANでは、活動を紹介したパンフレットを発行しております。(https://span.jp/about/#con04)
また、企業向けの下記啓発ビデオはYoutubeにアップしておりますので、是非ご覧ください。
題名:「ある日、職場の同僚が視覚障害になったら ~ 視覚障害者の継続就労を目指して ~」
完全版(約17分)
https://www.youtube.com/watch?v=ait7i4l4CDQ&feature=youtu.be
短縮版(約3分)
https://www.youtube.com/watch?v=Lwrmzk0AESc&feature=youtu.be
SPANの財務・会計情報につきましては下記でご覧頂けます。
https://fields.canpan.info/organization/detail/1372219418#finances
また、下記SNSでも情報発信しております。
https://www.facebook.com/span.jp/?view_public_for=208232745985772
https://twitter.com/home?logout=1598942488753
SPANの講座の特徴
1.個人向け・グループ向け講座、企業向け講座、受託講座に共通して下記の特徴があります。
1)知りたいことをじっくり学べるオーダーメイド型で、日程や内容は個人対象講座と同様、受講するみなさんのニーズに応じて設定します。
2)受講する方の見え方やパソコンやソフトウエアの使用状況に応じた柔軟で質の高い講座をご提供します。
2.就労している方が受講しやすいよう平日夜の夜間や会社が休みの土曜にも講座を開催します。
3.Excel、VisualBasic、Word、PowerPoint、OutLookなどの使い方のヒントをワンポイント講座として随時開催し、追加開催するほどのご好評を頂いております。
4.新型コロナウィルス感染予防のため、ほぼすべての講座を対象にZoomミーティングによるオンライン講座としても開催しております。
ご支援のお願い
視覚障害者への支援にご関心をお寄せいただきありがとうございます。
SPANでは視覚障害者を支援頂く方法として、ご寄付でSPANを支えて頂くことと、SPANの会員になってサポートスタッフとして活動を支えて頂くことがあります。会員につきましては次のホームページをご覧ください。https://span.jp/support/
ご寄付【都度寄付】お願いの趣旨
私たちSPANは一人でも多くの視覚障害者がパソコンを含む情報通信機器を使いこなし、それにより豊かな人生と社会参加を実現し、さらには就労へとつながっていくことを願って活動しています。その活動を続けるためには、みなさんのお力がぜひ必要です。SPANは公的な補助などを受けておらず、その活動は主としてSPANをご支援くださる方々からのご寄付とSPAN会員からの年会費で支えられています。ぜひこの趣旨をお汲み取りいただき、私たちの活動をご支援いただきますようお願いします。なお、頂いたご寄付【都度寄付】は、NPO法人SPANの運営費として使用させて頂きます。