高木仁三郎市民科学基金

「市民科学者」高木仁三郎の遺志を引き継ぎ希望の未来へ:高木基金2023年度助成事業への支援のお願い

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支援総額
8,474,412
105%
目標金額 8,000,000
ネクストゴール 9,000,000
サポーター
496
終了しました
2023年12月03日 23時59分 まで
高木仁三郎市民科学基金(高木基金)は、在野の立場から核・原子力の問題への専門的批判に力を尽くした核化学者、高木仁三郎(1938-2000)の遺志に基づいて設立されたNPO法人です。  現代の科学技術は、私たちに様々な利便性を与える一方で、市民社会や地球環境をおびやかす「負の側面」をあわせ持っています。高木基金は、そのような社会課題の解明と解決を目指す調査研究活動を、市民から寄せられた寄付を財源として助成する「市民ファンド」です。  困難な問題の現場で調査研究に取り組む助成先のみなさんと、その財源を支えてくださる寄付者のみなさんとがつながり、交流する中で、問題解決への道を見いだすことを目指しています。
2023-11-26 16:04
高木基金のアジア枠助成先を紹介いたします      【タイ:Mekong Butterfly】
高木基金は、設立当初から、国内のみに留まらず、アジアの国々での市民科学の取り組みも支えてきました。2023年度のアジア枠の助成先についてご紹介いたします。

        高木基金 アジア担当プログラムオフィサー 村上正子

 高木基金は、国内のみに留まらず、アジアの国々での市民科学の取り組みも支えてきました。(私は2008年に高木基金のスタッフとなり、当初は主にアジア向けの助成を担当していました。)

 アジアといっても広く、過去の助成先には、北は極東ロシアのサハリン州や中国のハルビン市、南はインドやスリランカまで含まれます。また、ヨルダンの原発問題、パレスチナの水問題に取り組む市民の調査研究を助成したこともあります。

 専制的な政治体制の国が多い中、アジアの助成先の「自然と人間社会の共生」や「民主的な社会の実現」を志す創造的な市民科学的アプローチや、それを実践する思いや闘志に心打たれ、高木基金の助成の重要性や日本社会のあり方を見つめなおす場面が多々ありました。

 助成先から聞いた心に残るストーリーを二つほどご紹介します。

 アジア助成の担当となって間もない頃、インドネシアのスマトラ島で、先住民が伝統的に利用してきた森林の伐採(紙パルプやオイルパーム植林が目的)が進む中、その森林を先住民の「慣習林」として登録・保全するための調査研究を行っていた団体の代表(20代の男性弁護士)に言われたことです。

「この地域がこのような開発に見舞われるのは、資本主義のせいだと思っている。だから我々は欧米のファンドからの資金は受け取らない。今回、高木基金の助成を受けとったのは、日本のファンドで、財源が市民の寄付で成り立っているからだ。高木基金はとても貴重なファンドだ」

 また、フィリピンで焼却炉による大気汚染に取り組む助成先を訪問した際、その団体の理事との懇談会がありました。理事の中に、プラスチックのごみで買い物袋をつくる活動をしているという柔和な笑顔の老婦人がいました。その方が自己紹介の中で話してくれたことです。

「フィリピンで農民運動にかかわってきた。フィリピンの市民は日本の三里塚の農民の闘いにとても勇気づけられてきた。高木仁三郎さんが三里塚で活動していたことを知っている。そのファンドから資金が得られることをとても光栄に思う。

 最近では、日本のアジアや国際社会でのプレゼンスや果たせる役割・期待が低下してきているように感じていますが、こういう時代だからこそ、市民レベルでの交流やつながりの強化はますます重要になってきていると思います。

 実は、人的要因や円安の進行などいくつかの理由で、次回のアジア助成は、公募の時期や方法が未定となっていますので、今回のクラウドファンディングのご支援が、アジア枠の助成に活用されるということではないのですが、高木基金としては、引き続き国境を越えた市民がともに経験を共有し、市民科学を発展させていけるような取り組みを模索していきたいと考えています。

 国内での取り組みとともに、高木基金のこれまでのアジアの国々での取り組みにもぜひご関心をお寄せいただき、グローバルな市民科学の広がりにご協力いただけると幸いです。

 そこで、2023年度のアジア枠の助成先の取り組みをご紹介します。

 1件目は、タイの環境団体Mekong Butterfly(※)による調査研究「メコン川流域コミュニティと市民科学の強化:タイ・バーングム/ラオス・サラワン水力発電ダムがメコン川の魚類、地域の生態系やコミュニティの生計手段にもたらす影響評価」です。
(下記の写真は、ウボンラチャタニ大学での報告会の様子)

 Mekong Butterflyは、メコン川流域の自然資源、環境、生態系を守るという精神を受け継ぐことを目的とした団体で、メコン川流域(雲南省、ラオス、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナム)に住む人々に対し、自然資源の管理や、生活や生態系に影響を与える情報提供と意思決定プロセスへの参加を支援しています。

 国際河川であるメコン川流域には多数のダムが建設されていますが、上流に位置する中国やラオスのダムによって、メコン川の流況は年々変化しています。流量が大きく変わり、雨期でも川岸まで水がいきわたらないことによる農作物への影響や、魚の回遊時期の変化や減少により、沿岸コミュニティの食の安全保障や伝統的な暮らしが脅かされています。

 今回の調査研究では、タイではバーングム水力発電ダム、ラオスではサラワン水力発電ダムと呼ばれるダムの環境影響評価(EIA)を検証するため、ウボンラチャタニ県の5つのコミュニティの川岸での農業や漁業、メコン川の生態系と植生等の実態調査を住民とともに行っています。

 今年1月から住民や調査協力者と話合い、フォーカス・グループ・ディスカッションを含む現地調査を重ねた結果、対象流域の生態系の変化の様子など、ダムによる影響を深く分析することができました。また、調査を通じて、住民自身がメコン川の生態系や自らの生計、経済的な価値について情報収集ができ、知識やノウハウの共有につながったという成果もありました。’
(下記の写真はコミュニティでのミーティングの様子)

 調査結果の報告書はタイ語で出版し、地元大学で報告会を開催しました。年内に英語の要約版を作成予定です。さらに、今回の調査に用いた市民科学的な方法論や調査プロセスに関するガイドラインを関心のあるコミュニティ向けに作成する予定です。

団体情報
高木仁三郎市民科学基金
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このページは寄付・ 会費決済サービス
コングラント」で作成されています。
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