300人が参加しデモとシンポ
11月24日に山形市内で「令和の百姓一揆・やまがた」が行われた。8月に実行委員会を結成し、鶴岡市「庄内協同ファーム」の小野寺紀充さん、東根市の新規就農者の山下弥生さん、小国町の生活クラブやまがた理事の山口ひとみさんの3人を共同代表に準備が進められてきた。
12時から行われたデモ行進には、5台のトラクターと15台の軽トラ、約200人の市民が参加。買い物客でにぎわう商業施設や嶋遺跡公園の周囲2キロを行進しながら、「日本の農業を守ろう!」「農民に所得補償を!」などとシュプレヒコールを繰り返した。子ども連れで参加する市民も多く、「こどもたちに山形の食を残そう」と力を込めた声があがった。
のぼり旗や横断幕で飾られたトラクターに驚く人も多かったが、農村が身近にあるためか、手を振り応援する人も目立った。
消費者もともに立ちあがろう
デモ行進の後、山形国際交流プラザの大会議室で300人が参加して、シンポジウム「山形から農と食を未来につなごう」が開かれた。共同代表の小野寺さんは「農家は担い手不足で存続の危機だ。自給率を上げ、安心できる食を守るため、農民だけでなく消費者も一緒に考えていこう」と訴えた。
山形放送制作の「農なき国の食なき民~値札の向こう側~」というテレビ番組上映後、生産者と消費者が3人ずつ登壇し、それぞれの立場から発言があった。
白鷹町の農家の菅原庄市さんは「このままではあと10年もすれば中山間地域から農家がいなくなる。荒廃地が広がり、水の循環もできなくなる」と警告。新規就農者のサンキュー角川さんは「若い世代に農業が魅力ある仕事だと思えるよう基盤を整えてもらいたい」と訴えた。また、養豚を営む阿部秀顕さんは「もっと飼料米を活用したい。子ども達に食の大事さを伝える食育に力をいれてほしい」と述べた。
消費者から、英語講師の萬年以穂さんは「子どもの給食の内容が心配だ。安心して食べられるようにしたい」と強調。会社員の織田隆太郎さんは「生産者と消費者をつなぐ活動を強めていきたい」と決意を表明した。さらに、生活クラブやまがた理事長の神尾知佳さんは「農家の現状を知り消費者として何ができるか考えたい」と呼び掛けた。
参加者からも活発な発言が相次ぎ、「防衛費予算が10兆円となる一方、農水予算は2兆円というのはおかしい。税の使い方にも声を上げよう」などと意見が出された。最後に「農と食に関心が高まってきている。モノの売買ではなく人と人との交流をさらに活発にして地域の農業を守っていこう」(共同代表の山下さん)と確認しあった。
令和の百姓一揆実行委員会事務局 市村忠文




