伝統芸術ライブラリーとは
私たちはNPO設立前後から、20年近く小学校から大学における和楽器の実習を行ってまいりました。
顧問には日本を代表する箏・三十絃演奏家、作曲家である宮下伸が就任しています。
宮下は、世界ツアーにおいて各国のアーティストと競演する経験を通して、伝統音楽の理解は他の文化を理解することに繋がり、世界平和の心を育む、と述べています。宮下は教育者としても知られ、文部科学省中央教育審議会専門委員として次代の指導要領の作成に具体的にかかわりました。
日本の伝統音楽・和楽器を、とりわけ教育において普及させていくことが私たちのミッションです。
伝統に触る、体験するということ
日本人は、いくつかの民族がこの列島を中心とした地域へと、三万年以上の時の流れる間にたどり着き、恵まれた自然環境の中、お互いにほとんど争うことなく共存する中で習合することにより、成り立ってきたことが分かっています。
そうした日本人の祖先の歩みとともにあったのが楽器です。
伝統楽器、和楽器とは、遠く旅をしてこの地に着いた祖先から今に至る人々の姿、日本民族そのものなのです。
特に子どもの内に和楽器に触れるのはとても良いことです。触って音を出すことにより、私たち日本人自身について、言葉を超えた理解を深めるきっかけとなることでしょう。
日本人でない子どもでも、日本に住むということに、より大きな親しみを感じることとなるでしょう。
そうして伝統の風にあたった子どもたちの心は、肯定的に創造性を育みます。育まれた創造性は、より豊かで調和的な世界をつくる大切な知性を生みます。
そうして平和な未来を描いていくことが私たちの楽しみです。
特定非営利活動法人伝統芸術ライブラリー
理事長 岡部修吉
きっかけ
ある日、ぶらりとリサイクルショップを訪れた時、レジ脇に10面ほどの箏が立てられて置いてあるのに気が付きました。店員さんに「このお箏は売り物なのですか?」と尋ねると、「引き取ったものの需要もなく困っているのです。このままならば廃棄しなければなりません」と。あらためてみると、まだまだ使える箏ばかりで、本来なら高価であろう立派なものも含まれています。私はびっくりして、タダ同然に全てを引き受けました。
さて、これらの箏をどうしようかと思案しましたが、小学校での和楽器の実習にあたってお世話になっていた先生が、いつも実習用の楽器が不足していることを嘆いておられたことを思い出しました。早速連絡をとったところ「是非欲しい」とのことで、あくる日には学校の音楽室へと収まりました。こうして、廃棄される運命にあった楽器たちは、子どもの教育を為す現場で新たな使命を与えられることになったのです。
戦後の経済成長期にあった習い事ブームの中で、和楽器も人気でたくさんの良質な楽器が作られたのです。しかし時代が流れて不要とされた楽器が日本各地に埃を被って、再びの出番を待っています。きちんと作られた楽器は条件が良ければ人間よりも長生きのはずですが、再起かなわず捨てられてしまう楽器が多いのです。
こうした楽器を教育現場へと届けることは、まさに今、なされなければなりません。
ご支援の使い道
このプロジェクトには、三本の柱があります。
①不要および廃棄される和楽器を救い出す、回収する。②楽器を整備の上、要望する小学校へ届ける。③実習に必要な技術や知識・講師を手配、メンテナンス等を実施する費用や技術者について支援する。
小額からのご寄付が可能です。
ご支援の程、宜しくお願い申し上げます。