ウィーログ ユーザーストーリー(井出里美さん)

車いすユーザーのえみり、中学3年生の母です。えみりは脳性麻痺により自力での歩行が困難であるため、生まれてから小学校に入学するまでは、ベビーカーやバギーを利用していました。小学校に入学してから現在に至るまで、車いすとバギーを利用しています。
学校に行く時には車いすを利用していますが、本人に合わせた座位保持装置を搭載した形の車いすであるため、かなり重量があり押すのが大変です。そのため、それ以外での外出時はバギーを利用することが多いです。
電車の駅に設置されているエレベーターは、後から作られたところが多く、スペースがないところに無理矢理設置したような場所もあるため、狭くて使用しづらいことが多いです。えみりの場合、足が本人の意思と関係なく不随に動いてしまうので、エレベーターの幅に余裕がないと足が挟まれてしまう危険があります。
また、本人は神社仏閣を参拝することが好きなのですが、ほとんどの場合、砂利道であったり、入り口が階段になっています。そのため、車いすでは境内や参道に入ることが難しく、参拝を諦めることが多いです。
神社仏閣のように、車いすでは通れない場所も多いですが、逆に車いす優先の場所があったりもします。たとえば、国立博物館では車いすやストレッチャーだけ優先のエレベーターに案内してもらえます。また、増上寺でも、参拝の時は社務所内のエレベーターを案内してもらえました。

はじめからあきらめるのではなく、まずトライしてみること。少しずつですが、やってみることが大切かなと思っています。周囲の理解を得ていくためにも行動していこうと考えています。
車いすは公共交通機関を使えば安心安全という考え方もありますが、いろいろなバリアのために利用せず、自家用車のみで移動するご家庭のお話をよくお聞きします。ただ、誰でも自家用車を保有できるわけではないため、公共交通機関を利用して、誰もが外出に困らない世界を牽引できたらいいなと思います。
車いすだけでなく、ベビーカー、杖やシルバーカーなど普通の歩行者でない人たちがバリアなく外出できる社会を目指したいです。そのときに、設備面だけでなく、ソフト面でも世界が変わっていくといいなと思います。
何より、そのような社会は誰にでも優しく、人を非難することもなく、争いもない、皆が仲良く協力し合う平和な世界に繋がるのではないでしょうか。決して自分だけがよければいいというのではなく、全ての人々が幸せを感じられる社会になることに貢献できたなら、肢体不自由児の子たちにとっても嬉しいことだと思います。

※このストーリーは、過去に多くの反響をいただいた記事をもとに編集しています。
原文はこちら:https://readyfor.jp/projects/w...

