
今や伝説となった「いい映画祭には、いい新聞が必要なんだよ」という小川紳介監督の言葉から始まった山形映画祭の「デイリー・ニュース」。
2021年は、コロナで配信の映画祭となったため、休刊宣言をした。業界用語の休刊は廃刊ともほぼ同義なので、長年編集長をつとめた私は、これもひとつの区切りでもあると考えていた。そこで次回開催の1年前である2022年には、YIDFF 2023は、デイリー・ニュースの発行はしないと、スタッフ内部には伝えていた。もし惜しむ声があるなら、誰かが、新しいデイリー・ニュースを
作れば良いと、世代交代を促したつもりだ。その後、惜しむ声はあがったが、編集長に名乗りを上げる人もなく時間だけが過ぎていった。そして、2023年の開催数カ月前になって、せっかく山形まで来てくださる監督がたくさんいるのに、お話を直接を聞かないのは残念だという声が上がり、なんとか監督インタビューをとり、それを映画祭の公式サイトに掲載するというプロジェクトが起ち上がった。
新聞がなくなっても、映画祭の記録は残すという方針で、2023年は写真とビデオによる記録班を起ち上げていた。それに加えて、インタビュー班ができるというのは、喜ばしい。2023年7月初旬、東京事務局にて小野聖子新編集長、加藤孝信カメラマンらとデイリー・ニュースからの引継も兼ねた最初の編集会議が行われた。始動した時期が直前ということもあり、予算も無
く、インタビュー記事は映画祭後に公式Webサイトへの掲載のみとなった。いっぽう紙媒体という制約から解放され、1記事の字数は大幅に増やし、内容の充実を図るという基本方針となった。そして、情報量の少ないドキュメンタリー映画作家の直接の声であり、また、数少ない日英並記のインタビュー記事は、公式サイトの中でも好評を博することになった。
そして今年、YIDFF 2025の2回目のインタビュー班が始動することになったが、かつて数回インタビュー集を冊子でも発行しており、物としての充実感を期待する声も多く、なんとか印刷発行も目指すこととなった。(映画祭理事 桝谷秀一)


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金額20,000円 | 在庫30 |

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