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ある一人の夢舞台OGのストーリーvol.1
16歳で家から来た私は、とにかく構って欲しかった。
誰かがスタッフを独り占めするなんて絶対に嫌、私だけを特別扱いして欲しかった。
何かにつけて他のメンバーと比べて、誰よりも自分が一番って思って欲しかった。
そんな臆病な私は、人からの評価が気になり過ぎて、アルバイトも一度でも欠勤したら、「謝れない。給料も要らないから、いっそ自分の存在なんて忘れてくれたらいい」と、よく言っていた。
特別扱いしてもらい自信のついた私は、スタッフの心配を振り切って、夜の仕事へ飛び込んでいった。
初めに苦戦したのは家探し。10代という年齢で足元を見られたのか、10代で貸せる物件はこれしかないと、6万強の高額物件を紹介された。
風俗、キャバクラ、ガールズバーとそれなりに収入もあり、派手な暮らしもしていたこともあって、気に留めていなかったが、やはり家賃6万円台は単身には高い。
しばらく夜の仕事を続けた後、アパレルの仕事へ転職し「規則正しい生活を」と、自分なりに考えはあったものの、風俗やキャバクラと派手な生活が抜けず、身の丈に合った暮らしは出来なかった。
更にコロナの影響を受け、職を失ってしまう。また、デリヘルをして暮らしを繋いだ。
それでも生活水準は下げられず、優先すべき家賃が支払えなくなり、夢舞台に相談した。
「分かった、話しを聞くよ」と不安でいる私の話しを聞いてくれた。
自分では思いつかない方法、機関、制度を利用して、私のことをしっかり見てくれた。
私はこんな歳になっても特別扱いしてもらえるのか。
結局のところ、家賃滞納4ヶ月(26万)、家の契約更新(8万)、年金3年未納(20万)、健康保険料も2年半支払っておらず、無保険状態で医療に掛からないでいた。
役所へ一緒に行ってくれた。
社会福祉協議会にも一緒に行ってくれた。
制度利用の推薦状も忙しそうにしている中にも関わらず、ササっと用意してくれた。
「どうして私のこと推薦出来るの」と恐る恐る聞くと、夢舞台は「特別扱いしているから。しっかり見てるから。みんなのことを。」と言ってくれた。恥ずかしかった。
翌週、私は緊張が解けて、風邪を引いた。
今回は、ちゃんと医療保険を使って医療を受けられた。