新潟いのちの電話の紹介
「新潟いのちの電話」は、新潟県の自殺率が全国的に高く、1人でも自殺者を減らしたいという強い思いから、1984年に自殺予防のための電話相談を始め、今年で42年になります。無償のボランティア相談員が365日、多くの人々の心の悩みや訴えに向きあい、これまでに730,000件以上の相談電話を受けています。この活動は、団体、企業、個人などによる会費・寄付で支えられていますが、近年自殺予防が重要と言われている中で、会費や寄付が減少し毎年赤字が続いています。



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活動の背景
新潟県でも中高生のいじめや自殺が大きな問題となったことで、2019年に「中学3年生相談先カード配布事業」を企画し、2020年から新潟市内の中学3年生に配布を始めました。
厚生労働省の統計では、令和6年の全国での小中高生の自殺者は過去最多で529人、新潟市でも3人の尊い命が失われています。自殺の原因、動機は20歳未満では「学校問題」が50%以上です。その中で「学業不振」が最多でその次が「学友との不和(いじめ以外)」「進路に関する悩み(入試以外)」「入試に関する悩み」「いじめ」と続いています。学校問題以外には「健康問題」「家庭問題」などもあります。
辛いときは誰でも・・・
相談先カードの配布と一緒に行う中学3年生へのアンケートでは、3割の生徒が「これまで悩みを誰にも相談したことがない」と答えています。
そのとき、友達にも、親にも、まわりの誰にも話せずにいるとしたら、一人で抱え込み抜け出せず苦しくなり「消えて、いなくなってしまいたい」と思ってしまうのではないでしょうか。話を聞いてもらい「そうだね」「つらかったね」と言ってもらえると、心が軽くなり、涙が出たりします。
聴かせて~
そうは言っても、悩みを話すことは勇気が必要です。だからこのカードには自分の名前を言わなくても話せる相談先を載せています。「聴かせて」という思いを中学生に伝えるために、新発田市在住のアートディレクター松田英幸さんとカードを作りました。若い人には苦手と言われる電話ですが、顔が見えない電話相談の聞き手には、正直な自分の気持ちを話せるかもしれません。
この取り組みを始めたとき
高校進学などで悩みが多く思春期でもある中学3年生に、相談先が書いてあるカードを配布するというこの取り組みは、ちょうどコロナ禍とも重なりました。感染拡大防止のため学校でもマスクや孤食、距離とる、などで友達関係が希薄になっていきました。その中で「中学3年生相談カード配布事業」を始めることができて本当に良かったと思っています。また、皆様からのご寄付をもとにこの事業は行われております。ご支援いただいていることに心より感謝しております。
中学3年生では「相談先カード」を手にしても、実際に相談しようとする生徒さんは少ないかもしれません。でも成長し大人になっても悩みや孤独など「生きづらさ」を感じるときがあります。そんなとき『中学3年生で出会った相談先カードを思い出して欲しい』と思っています。
アンケートから
2025年の中学3年生は6,596人 うち2,727人(41%)の生徒さんが回答してくれました。





2025年度のアンケートの集計結果を見て、「誰に相談しましたか」の問いにチャットGPTやAIが出てきたことに今時を感じました。また、「カードをどこにしまいましたか」の問いにはゴミ箱という回答もあるのですが、カバン、ファイル、財布、ペンケース、自分の家の机の中などが上位の回答です。
カードをデザインした、
アートディレクター松田 英幸さんからメッセージ
このカードのデザインは、中学生の命に寄り添うための取り組みでした。
最初にご依頼をいただいたとき、これは”ただのデザインの仕事”ではなく、中学生の命にかかわるツールを任されるという重さを感じました。そこで、まずは中学生自身の声を直接丁寧に聴くことから始め「どんな言葉が嫌なのか」「どんな言い方ならイラっとこないか」、キャッチフレーズ案を見せながら何度も時間をいただき、率直な反応を聞き続けました。
返ってきたのは、「そういう言い方って上から目線に聞こえるからイヤ」「“聞くよ”って言われるほど話したくなくなる」「共感なんかいらないの、ただ同情してほしいだけなの」といった、生の言葉でした。ヒアリングを重ねる中で、「“聴かせて”って言われると、同じ気持ちで寄り添ってくれそうに感じる」「相談したことがバレるのが一番こわい」「“内緒にするから”と書いてあるだけで安心できる」という本音も少しずつ見えてきました。
こうした声が積み重なり、“自分からは言い出せないけれど、本当は聴いてほしい”という揺れる気持ちと、“絶対にバレたくない”という不安の両方をやさしく包む言葉が、ようやく形になりました。このカードに記したメッセージは、子どもたちの声を一つひとつ受け止め、余計な表現を削ぎ落としていった先に残った、信頼そのものの言葉です。
そして、このカードが2025年までに累計5万人の中学生へ届いたように、これからも必要とする子どもたちの手元へ静かに届き続けますように。


活動内容の詳細、実績について
◎「相談先カード」は毎年、相談先や伝えたいメッセージ、デザインを見直しながら、生徒数が公表される5月〜6月に作成しています。
◎新潟いのちの電話だけでなく、新潟県が取り組んでいるメール、SNS、相談ダイヤルも一緒に記載し、複数の相談先があることを周知しています。
◎夏休み明けの9月に自殺者が一番多いことから、夏休みに入る前の7月に生徒さんの手に渡るよう各学校に配布をお願いしています。
◎配布と同時に携帯から回答できるアンケートも渡し、40%以上の回答があります。
◎学校にポスターを掲示することで他の学年にも周知しているほか、地域の皆様にも知っていただくために図書館や公民館などにもポスターやカードの掲示をお願いしています。
代表者メッセージ
受験という大きな課題の前に立つ中学3年生に相談先カードを渡すことで、自殺予防の一助になると考えています。多くの皆様のご理解とご支援、ご協力に感謝いたしますとともに、来年度の新しい中学3年生にも配布できますようにお力添えをお願いいたします。
寄付金の使い道について
「中学3年生相談カード配布事業」として、相談先カードとポスターを毎年作成しています。また図書館や公民館などへの送料や広報費、新潟いのちの電話の活動を広く一般の人にも知ってもらうための広報活動にも使わせていただきます。
赤い羽根共同募金とこの募金の関係について

この募金は、新潟県共同募金会を通じて、赤い羽根共同募金運動の一環として実施され、寄付者の応援が直接、指定の福祉団体に届けられる募金となっています。毎年1月1日から3月31日まで実施されます。
頂いたご寄付に加え、一定の要件に基づき赤い羽根共同募金からも加算して助成され、寄付者の皆様のご意思を強く反映できる仕組みとなっています。
▶にいがた・新テーマ型募金特設ページを是非ご覧ください。
※新潟県共同募金会の審査を得た事業になります。 赤い羽根で知られる共同募金会は、昭和22年から市民主体の取り組みとして社会福祉の推進のために赤い羽根共同募金運動を続けている団体です。寄付募集を行っている団体は本会で審査し、承認された団体ですので安心してご寄付いただけます。
※税制優遇について ▶詳細はこちら(中央共同募金会HP) 寄付金は税制優遇の対象です。 個人のご寄付は、所得税の所得控除または税額控除の対象となり、さらに新潟県内にお住まいの方は住民税の税額控除も受けられます。 法人のご寄付はご寄付していただきました金額を、全額損金算入することができます。
※新潟県共同募金会とは たすけあいの精神を基調として、共同募金運動を通じて、新潟県における社会福祉事業の健全な発展と社会福祉に関する活動の活性化を図ることににより、地域福祉の推進を図ることを目的として様々な活動を行っております。
(お問い合わせ) 社会福祉法人 新潟県共同募金会 950-0994 新潟県新潟市中央区上所2-2-2 新潟ユニゾンプラザ3F TEL:025-281-5532 FAX:025-281-5533

