活動・団体の紹介
なぜ居場所づくりを始めたのか
居場所づくり濱なかまは、2014年から横浜市港北区の城郷地区・鳥山町で地域の居場所づくりを進めてきた団体です。活動開始当初より「地域には、誰かがいつもそこにいてその人の言葉を受け止める常設の場所」が必要だと考えてきました。なぜなら私たちは、地域の隣人として人生の最期に寄り添う「地域ホスピス」の実現をめざしていたからです。
活動を進めるうちに、地域で”豊かな最期”を迎えるには、”今ある日常”も豊かに過ごすことが大切だと考えるようになり、その為には地域のなかでかかわり寄り添いあう「居場所」が必要だと強く考えるようになりました。それからは”今ある日常”を豊かに過ごすための地域サロンや多世代交流イベントを公民館などで開催し、地域の交流の場づくりをしてきました。とくにシニアサロン”とりやまの郷”は私たちの代名詞というべきサロンで、音楽、健康づくり、昔の記憶を辿る回想法などを週替わりプログラムで開催し、利用者ひとりひとりの人生に触れて、地域の隣人として豊かな日常を共に過ごす場となっています。
What is ”町カフェ”?
当初濱なかまは小さな団体で月1回の活動するのが精一杯でしたが、ビジョンに共感したさまざまな人が関わり始め、私たちの居場所づくりはだんだんと大きくなっていきました。
2022年―機は熟し、横浜市のハード整備のための助成金事業・ヨコハマ市民まち普請に採択され、念願の拠点「町カフェ」を整備することになったのです。
ここを「カフェ」として整備する理由は、お茶を飲みながら他愛のないおしゃべりができる場所には、人とひと・人と町をつなげる力があると信じているからです。私たちのサロン「とりやまの郷」でも、そこで飲む一杯のコーヒーが楽しみで、そこでのおしゃべりが日常の孤独感を打ち消す希望になっているといいます。
「町カフェ」には心に溜めた思いを気軽に吐き出せるおしゃべりの場があり、隣り合った見知らぬ地域の住人と話をしてみたら思いがけず地域とのつながりができることもある―この「町カフェ」を通して町への《愛着》が生まれ、この町を故郷とよぶ人がたくさん生まれるよう、私たちはこの居場所をつくっていきます。
活動の背景、社会課題について
近年、居場所の重要性はますます増加し、さまざまな立場の人の居場所づくりが自治体の事業として掲げられています。《なぜ居場所が必要なのか》《居場所とは何なのか》、自治体のホームページではその概念が定義されていますが、私たちが「居場所」を表現するならばこれにつきます。
「居場所」とは気軽なおしゃべりが自然に生まれ、豊かな日常に必要なもの
そこに行けば必ず迎えられる、そんな”絶対的な安心の場所をもっている人の日常は、それだけで豊かです。しかし私たちの町には”誰かがいつも迎えてくれる”そんな場所がないのです。
しゃぶしゃぶとすし屋はあるのにカフェがない!?
鳥山町には名だたるスポーツの国際大会の会場になる日産スタジアムがあります。また、東海道新幹線・新横浜駅は徒歩圏内で、続・名城100選に選定された小机城址など魅力ある史跡を目当てに訪れる人も多くいます。しかしこんなに利便性も魅力もある町なのに、カフェのようにいつでも気軽にお茶を飲める場所がないのです。
地域の集いの場として公民館はありますが、常時開場しているわけではないのでカギを借りに行くなどの手間もかかり、いつでも利用できる環境ではありません。なによりも、公民館は坂の上にあり、小さな子ども連れやお年寄りは、その場に行くだけでもひと苦労。
鳥山町には、地域での「ちょっとしたおしゃべり」をする場がないのです。
そして2017年ごろ、町内唯一のお茶が飲める場所だったファミリーレストランの跡地に”しゃぶしゃぶ屋”が開店し、ある意味愕然としたなかでひとつの意見にみんなの共感が集まりました。
こうして私たちの「居場所」の核は、気軽にお茶が飲める町のカフェというカタチで共有されたのです。
インフォメーションセンターさえあれば・・・
鳥山町にはもうひとつ課題がありました。それは「地域の情報」が行き届かないこと。地域交流拠点であるケアプラザや地区センターは隣町にあり、そこに行かなければ地域情報が得られないのです。つまり鳥山町で地域情報を得るのは、回覧板と掲示板、そして口コミとなるわけです。しかし近年は自治会に加入しない世帯も増えており、住人が地域情報から離れていくスピードは年々加速していました。
地域ケアプラザに行くと、地域情報のチラシが配架され職員が案内までしてくれる―町に情報提供の場がないだけで、同じ城郷地区のなかでも大きな情報格差が生まれていました。
地域活動を提供する側にとっても情報を伝える場がないのは大きな問題で、高齢化による担い手の減少や新たな参加者が増えないことが常に課題となっています。魅力的な活動が精力的に行われていても、必要な人にその情報が届かない―新鮮な地域情報が受取れる「インフォメーションセンター」が身近な場所にあれば、地域活動がもっと循環していくのではないでしょうか。
「居場所」はひとつでは足りない
インフォメーションセンターを含めた居場所(町カフェ)の必要性は地域で理解されていきましたが、いざ整備が具体的になるとある問題に気づいたのです。それは、鳥山町のどこに「町カフェ」を作っても、鳥山町の情報格差はなくならないということでした。
じつは鳥山町は、山を隔て4つの地区に分かれた町で、町内を移動するには山を越えたり廻りこんだりする必要があるのです。ですから鳥山町のどの地区に「町カフェ」ができても、それ以外の地区の人にとっては地域情報を受け取りにくい状況は変わらないのです。
鳥山町の一部の人だけが潤う「町の拠点」でいいのだろうか・・・?その課題に真摯に向き合ったとき、私たちの居場所「町カフェ」のあるべき姿が明確になったのです。
町カフェを介してめざすのは、「小さな拠点が連携しつながる町」
私たちの町カフェは「地域連携HUB」として、地域の小さな拠点をつなげる役割を果たしていきます。小さな拠点とは、駄菓子屋さん、健康スタジオ、薬局、野菜の直売所など、人の交流が生まれる場所のこと。私たちは町カフェを飛び出し、これらの場所を会場にマルシェや音楽ライブなどのイベントを開きながら、より多くの地域の人と交流して人や情報を循環させていきます。
さまざまな地域資源は町の中に点在し、多くの拠点とすでに連携が始まっています。「町カフェ」は連携のスタート地点。「町カフェ」がどこにあっても、町にある小さな拠点とつながることで人や情報が循環する町をめざします。
どんな「町カフェ」ができるのか?
町カフェの整備予定地は、JR横浜線・小机駅から徒歩5分の上麻生線沿いにある築50年7.5坪の小さな物件です。私たちがこの物件を整備地に選んだのは、ここが鳥山町の目抜き通りに位置し、ランドマークとなるポテンシャルを感じたからです。鳥山町やその周辺の地域の人にとって自然と目に触れる場所にあるから、これまで地域とつながりがなかった住人とも接点が生まれやすいと考えました。またあえて小さな拠点を選ぶことで、すべてを賄う大きな拠点を1つ作るのではなく、小さな拠点同士の連携の強化を意識したからです。
1Fはカフェ。おしゃべりと音楽が心地よい空間
キッチンにいるスタッフからすべての席が見渡せたり、カウンターとベンチ席の目線の高さを合わせたり、CAFEスタンドなど外の空間ともコミュニケーションが取れる設計にするなど、「おしゃべり」や「聴く」ことを大切にした空間づくりをしています。ドリンク中心で食事は簡単なものしか用意ができないかもしれませんが、カフェを満たす音楽にはこだわって心地のよい時間をすごせる場所をつくっていきます。
《町への入口》をつくる
エントランスは町の人の視線や関心を惹きつけるデザインで、地域に関心がない人でも「入りたくなる」ような玄関ポーチを整備します。具体的には、7.5坪程度の小さな物件をあえてセットバックして中間ゾーンを整備します。ここは初めて町カフェに来た人が安心して過ごせるグラデーションゾーンで、コーヒーカウンターやテイクアウト窓口、休憩ベンチを利用して、少しずつ町カフェに近づける仕組みをつくります。
「地域インフォメーションセンター」を設置
セットバックした中間ゾーンには地域インフォメーションセンターを整備します。チラシラックやポスターの掲示場所を整備し、遠くへ行かなくても地域情報が手に取れる場所になります。また紙媒体による情報提供だけでなく、濱なかまが手掛ける城郷地区の地域情報サイトと連動し、町カフェスタッフが「地域情報のコンシェルジュ」の役割を果たすなどして厚みのある情報提供を行えるようにします。
2Fは交流が深まる場所。おしゃべりから相談へ
2階は靴を脱いでくつろぐ空間です。交流スペースは畳敷きで、小さな子どももゴロゴロしながら過ごすことができます。収納できるテーブル椅子を備え、講座やイベント開催にも対応できるレンタルルームとしても稼働します。
約3畳の相談室は「聴く」ことを大切にする濱なかまがこだわった空間です。ここはおしゃべりではおさまらない心のうちを受け止める空間です。社会福祉士や公認心理士など専門職がお話を聴くこともできます。
町への愛着が生まれる町カフェ
町カフェは「城」にちなんだデザインを施し、小机城址のある歴史深くロマンあふれる町の魅力を発信していきます。まち普請事業における私たちの提案名は《鳥山ノスタルジア計画・町への愛着生む居場所を作る》でした。町カフェから地域の人が町の魅力に気づき、町への愛着が生まれるきっかけを作っていきます
寄付金の使い道について
町カフェは築50年の建物を改修して実現しますが、建物の老朽化が激しく、安全確保のための工事に約200万円の費用が必要となっています。ヨコハマ市民まち普請事業の助成金は耐震工事など構造上の課題解消などには利用できないため、この200万円は私たち自身で工面する必要があります。メンバー内でおよそ50万円の準備はできましたが、まだ150万円不足している状況のため、今回のクラウドファンディングでこの不足金を賄うためのご協力をお願いしたいと思っています。
改修作業をすすめるなかで大切な柱や土台の板にも大きな問題があることがわかりました。解体してみなくてはわからなかった部分の工事も多く、築50年という歴史を考えれば仕方がない傷みなのかもしれません。安全な町カフェの実現に向けて最良の策を設計士や大工が考えてくれており、家主さんにも費用負担を相談しています。
当初畳の表替えで対応する予定だった2階の床も、畳床の傷みが予想以上にあり畳床の新設が必要な状況です。畳は子どもたちののんびりした過ごしや城をテーマにした空間づくりにこだわり、別の安価な床材の選択は行いませんでした。
代わりに自分たちで畳をはがし、畳に使われていた資材をかべの断熱材として再利用するなど、設計士や大工のアイデアを生かしてできるかぎりの工夫を行っています。
今回お世話になっている設計士・関口春江さん、大工・坂井武志さんともに、人と自然が調和する家づくりに取り組む人たちで、新建材をなるべく利用せず利用できる資源を再活用するなどして、町カフェを安全な建物にするため汗を流してくれています。
私たちは彼らの技術を信じて、自分たちがいまできること「クラウドファンディング」に取り組みます。よろしくお願いします。
代表者メッセージ
地域ホスピスを作りたい
はじめまして。居場所づくり濱なかま代表の岩田聡子と申します。
私は「地域ホスピス」を作りたくて居場所づくりを始めました。
父がホスピスで最期を迎えたことは、父にとってもその後の家族にとっても、とてもよい影響がありました。しかし、現在の日本でホスピスに入れるのは限られた人だけで、多くの人は自宅で終末期を過ごします。父と母が安心して心置きなく最期の時間を過ごせたように、大切な家族や自分自身が豊かな最期を地域のなかで迎えるためには、地域にホスピスのようなしくみが必要だと考えたのです。
しかし活動をすすめるなかで、豊かな最期には、今ある「日常」が豊かであることがとても大切であると気付きました。なにげない日常のかかわりと信頼の延長線上に地域ホスピスがあるのだと実感したのです。
日常のかかわりと信頼を深める場所―それが地域サロンであり、「町カフェ」なのです。
「聴く」ことのチカラ
もうひとつ、私が父の最期の日々から受け取ったものがあります。
話を「聴く」ことは、心が押しつぶされるほどつらい状況にある人を救うことができるということです。
父に最期の日が近づいていると認めるのは、私にとって苦しくつらいことでした。しかし最後に私は父にホスピスを選ぶ決断をします。それを支えてくれたのは病院の医療ソーシャルワーカーでした。彼女が私の話を聴き思いを受け止めてくれたことが、私の苦しさを解放し父の最期について考えるチカラをつけてくれたのです。
私はいまつらい状況にいる人たちの話を聴き、その人たちに勇気やチカラを与えられる人になりたいと思っています。そんな私が出会った仲間たちも、人の話を聴くことを大切にする人たちです。
私たち濱なかまは、誰もが愛されていることを実感し、周囲の人もその愛を感じられる社会をこの地域で実現します。これが濱なかまのビジョンです。
最後に
これから町カフェの整備が始まります。
町カフェは、小さな拠点をつなげる最初のいっぽ。
地域の誰もが、人と町に出会える入口を作ります。
私たちのほとんどがフルタイムで仕事をしながらこの活動をしています。私たちのように時間やお金が自由にならない人たちでも、クラウドファンディングのような仕組みによって地域活動を持続可能なものにすることがこれからの日本の地域にとって重要なことだと思います。
ぜひ私たちのビジョンを通して社会課題の解決が進むよう、みなさんの応援をよろしくお願いします。
金額3,000円 |
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