ご承知の通り、令和6年能登半島地震によって日本三大朝市の一角である能登朝市は焼失、灰塵に帰しました。能登朝市は地元住民、また自治体の輪島市にとっても、地域を象徴する産業です。発災より半年経過しても復興が見えてきません。出張朝市や地元のスーパーを借り受けて朝市の文化を繋ぐ試みがある一方で、長期的な復興を待つスタミナの無い朝市関係者が多くいる現実があります。
私たちのお寺も被災、本堂と公費解体を余儀なくされました。この度の震災を機に永福寺もまた再出発を迫られています。その復興再生の端緒に当たり、年来のご縁を戴いてきた輪島市民の被災状況を目の当たりにして、寺の再生がそのまま輪島市民の再生への寄り添い、ご恩返しになるべきという思いに至りました。今回の事業構想はその様な想いの形です。具体的な構想は以下の通りです。
奇跡的に損壊を免れた当観観音像と御堂を焼跡の一区画に移築移転し、その境内を朝市として利用してもらう。従来の本町通りでの軒先の露地売りと異なり、当初は小規模で人数的にも限られるだろうが、地べたに坐り、地元の食材などを地元の人のために供する。そのような朝市の初心に立ち返り、従来の朝市通りになるまでに、その最初の一歩を共に歩むこと。それがそのまま朝市復興、輪島再生の象徴となる。そして、震災で亡くなられた市民への鎮魂ともなる。それが朝市観音プロジェクトという願行です。