第63回岸田國士戯曲賞を受賞した劇作家・松原俊太郎氏と、これからの演劇界を担う若手として注目される舞台作家・小野彩加と中澤陽の二人によるスペースノットブランクが京都に集まり、コミュニケーションを主軸とした新しい舞台芸術創造の価値を探究します。
これまでも、それぞれ大きく異なる形態を実践しながら、戯曲と上演の関係性を探究し続けてきた両者。今回は「戯曲の執筆」と「上演の構築」の二つの創造行為を同時進行させることを試みます。舞台芸術創造に於ける「劇作家」「演出家」「出演者」という、それぞれの「関係性」の再構築に挑戦する今回のプロジェクトの果ての上演は、観客の皆様の既知と、誰も見たことのない未知との間を、軽やかに往還するような公演となるでしょう。
この度、その実現に向けてクラウドファンディングにチャンレジさせていただくこととなりました。何卒、皆様からご支援を賜りたく、心よりお願い申し上げます。
2023-10-23 07:39
演劇批評家の森山直人さんより応援メッセージをいただきました。
クラウドファンディングの実施にあたり、2023年9月、京都芸術センター フリースペースにて上演した『ダンスダンスレボリューションズ』の上演をご覧いただいた、演劇批評家の森山直人さんより応援メッセージをいただきました。
スペースノットブランクと松原俊太郎の協働作業は、2019年にはじまった。それから4年ほどが経ち、すでに5作目を迎えている。
『ダンスダンスレボリューションズ』は、先日京都で見た。「レボリューション」という言葉がかかげられているが、たぶんそれは「嘘」だ。なぜなら、たぶんそこで目指されているのは、「革命」などというこれみよがしの大げさなイベントではなく、時折魅力的な光を発しながらも、本質的には長い時間をかけた化学変化のようなものだったからである。わたしはそのようなラボ的作業に魅力を感じる。そこには信じることと期待することがともなうからだ。惰性で進んでいくだけの演劇業界にはないあざやかな「輝き」を、私も信じて期待しつづけたい。
演劇批評家
森山直人 Naoto Moriyama
演劇批評家。1968年生まれ。多摩美術大学美術学部・演劇舞踊デザイン学科教授。京都造形芸術大学教授、同大学舞台芸術研究センター主任研究員を経て現職。2012年から2019年まで、KYOTO EXPERIMENT(京都国際舞台芸術祭)実行委員長を務めた。著書に『舞台芸術の魅力』(共著、放送大学教育振興会)等。主な論文、劇評に、「日本語で「歌うこと」、「話すこと」:演劇的な「声」をめぐる考察」(『舞台芸術』24号)、「メロドラマ」が「メロドラマ」から解放されるとき──上田久美子『バイオーム』評」(関西えんげきサイト)、他多数。