観る人によりそえる作品を目指して
京都を拠点に活動するトリコ・Aは、代表の山口茜により結成され、2023年で20周年になります。その20年目の新作公演として、『そして羽音、ひとつ』を上演いたします。
この作品は、京都の劇作家である山岡徳貴子さん(魚灯)の新作戯曲です。この戯曲は2022年12月にリーディング公演として上演し、大変好評をいただきました。その時の上演から、戯曲を再構成し、設定や登場人物を見直し、さらに物語として強化された作品となっています。
山岡さんは20代で劇作家として活動を開始し、第一回北の戯曲賞優秀賞、第八回OMS戯曲賞佳作、岸田戯曲賞最終選考に2度選出されるなど実力がありつつも、育児と介護のため演劇活動から遠のいていました。本公演は、育児や介護を10年以上続けてきた経験によって書かれた戯曲を活かし、観劇した人たちが、社会的に弱い立場の人たちや、それを「見えないもの」とする社会構造に目を向け、疑問を持ち、自らの行動を変革できるような作品を目指します。
しかし、一度の観劇で多くの人の行動を変革させることは困難です。だからこそ、何度も継続して作品を上演し、声を上げ続けることが重要です。1回の公演でたった一人にしか届かなかったとしても公演を続けていくことでその数は増えていくはずです。そうすることで、まずは社会的に弱い立場の人たちに対するケアが少しずつ充実していき、いずれは芸術を楽しむ余裕や環境のなかった人々が、劇場に足を運ぶような社会を実現したいと思います。
その始めとしてまずこの公演を上演するために、賛同してくださるみなさま、トリコ・Aを応援してくださっているみなさまからのお力添えがどうしても必要です。何卒、皆さまからご支援を賜りたく、心よりお願い申し上げます。
撮影:森勇馬
「すべての人に開かれた公演」へ
トリコ・Aでは「すべての人に開かれた公演」を目標に、聴覚に障害のある方や視覚に障害のある方、車いすユーザーの方、小さなお子様連れの方など、これまで劇場には足を運びにくかった方たちに向けた鑑賞サポートを行っています。
これまでは自分たちで舞台字幕を作成したり、無料の託児サービスを実施してきましたが、公演の規模が大きくなるにつれて自分たちだけでは手が回らなくなってきました。
そこで、舞台字幕や鑑賞サポートの専門家に入ってもらうことにより、これまでの鑑賞サポートに加え、より充実した舞台字幕や音声ガイドなども提供していきたいと思っています。
撮影:松本成弘
トリコ・Aとは
代表である山口茜が手掛ける劇作および演出作品の上演を目的に、公演ごとに、主に京都や大阪など関西で活躍している出演者・スタッフを集めて活動しています。山口自身の幼少期の原体験や子育てを通して見た社会構造への問いかけ、マイノリティの置かれている現状を描き出し、観客に問いを投げかけ、作品を通して社会の中で見えづらい存在にスポットをあてることを目指しています。
東京国際芸術祭リージョナルシアターシリーズ、精華小劇場オープニングイベント、大阪芸術創造館クラシックルネサンス、愛知県芸術劇場演劇祭、アトリエ劇研演劇祭、文化庁芸術祭などに参加経験があります。
また、近年は「すべての人に開かれた公演」を目指して、劇場へのアクセシビリティ向上を行い、その取り組みとして日本語字幕の無償貸出しや障がい者割引の設置等を積極的に行っています。「すべての人に開かれ」るのは、観客に向けたものだけではなく、キャストやスタッフといった関係者にも向けたものでもあり、公演ごとにハラスメント講習や関係者での話し合いの場を設けることで風通しの良い創作現場を作っています。
トリコ・A代表 山口 茜より
先日、青木敦子さんという方が開催している「ヒョーゲンアソビノバ」と言う子供向けワークショップに参加してきました。そこは、様々なジャンルのアーティストがそれぞれ、自分の表現にただ没頭している空間です。部屋にはアーティストのほかに、カラフルな布、真っ白の紙、音の出る何かや音楽、そしてたくさんの人(見守る大人たち)が存在しています。
さて、この空間に、決まり事はありません。誰に何を管理されるわけでもなく興味の赴くままに、空間を縦横無尽に行き交うことができます。
その日は朝から、たくさんの保護者と主に未就学児童が入れ替わり立ち替わりやってきました。まだまだスタートして間もない企画なのに、評判を聞きつけた人々が次々にやってくるので部屋に入れなくなるほどです!
子供たちは、布を持ってみたり、ゴムバンドを触ってみたり、キャンバスに絵を描いたり楽器を演奏したり・・・そのうち、一緒に来た保護者から離れて、自分の興味に没頭しはじめます。一つのものに固執する人もいれば、いろいろな物を次々渡り歩く人もいます。見知らぬ大人と遊び出したり、走ったり転んだり、泣いたり笑ったり・・・とにかく、誰も指示しないし注意しない、つまり管理しません。子供たちは大人たちに見守られながら、本来の力をぐんぐん発揮してゆきます。それもごく自然に。私は元々、こうなんですよ、こうなることは、知ってたんですよ、というふうに、何にもとらわれず、自由に振る舞います。
それをみていると、ガチガチになっていた私の身体中の細胞が、癒されていくのを感じます。海のそばで、波の音を聞いているような、山頂で、風に吹かれているような、公園で鳥のさえずりに耳を傾けているような、「世界が広がる」感覚です。私の世界の幅を決めているのは、私なのだと気が付きます。子供のために訪れたこの場所で、最も癒されているのは大人であることを、体感します。
私たちが演劇を通して作ろうとしているものは、この空間に近いものだと思います。ただ、念の為にお伝えしておきますが、今回の物語はラブリーでピースフルなものではありません。ただ、物語の最後に、この「ヒョーゲンアソビノバ」と共通している「世界が広がる感覚」に辿り着けるような作品にしたいと思っています。
撮影: 大西二士男/STAGE SQUARE
トリコ・A『そして羽音、ひとつ』上演詳細
扇町ミュージアムキューブ・オープニングラインナップ
トリコ・A演劇公演2023『そして羽音、ひとつ』
2023年11月18日(土)~19日(日)
扇町ミュージアムキューブ CUBE01(大阪市)
[あらすじ]
とある老女。彼女は周りの人間から、それぞれが見たい姿を勝手に投影され、彼女自身が顧みられることはない。一方当人は、何もわからない風でいながらしたたかに生に執着している。社会から見えない存在にされても、息をしなくてはならない、なぜなら私は、生きているのだから・・・。人生の最終章。認知症を患いながらも周りの人間との関わりの中で、自分らしく生きることを選択する、老女の物語。
[出演]
佐々木ヤス子(サファリ・P)、武田暁(魚灯)、半田慈登(劇団壱劇屋)、藤原大介(劇団飛び道具)、山本麻貴
[上演日時]
11月18日(土)~19日(日)
18日(土)12:00/18:00◆
19日(日)14:00◆
◆アフタートーク *受付開始は開演の60分前、開場は30分前
[アフタートークゲスト]
18日:大熊隆太郎(劇団壱劇屋)
19日:山岡徳貴子(魚灯、脚本)
[会場]
扇町ミュージアムキューブ CUBE01
大阪府大阪市北区南扇町6-26
大阪メトロ堺筋線「扇町」駅(5番出口)から徒歩3分
JR環状線「天満」駅から徒歩7分
JR「大阪」駅から徒歩15分
[チケット] 全席自由席・前売当日同料金
一般:3,500円
U30:2,500円
U18:1,000円
障がい者割引:2,500円(同伴の介助者一名無料)
*未就学児入場不可
*U30およびU18は公演当日要年齢証明書
*障がい者割引は、障害者手帳等をお持ちの方がご購入いただけます。身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳のいずれかを当日受付でご提示ください。また、ご同伴の介助者一名まで無料になります。
*車いすで観劇をご希望の方はチケット購入時にアンケートでお知らせいただくか、『そして羽音、ひとつ』制作部までお問合せください。
*入場券の整理番号は当日受付順となります。
▲トリコ・A20周年企画▲
「トリコ・A初めて割」あります!
トリコ・Aの作品を初めて観劇する方が当日チケット受付にて「トリコ・Aの観劇が初めて」なことを伝えると現金500円キャッシュバックを行います!気になってたけど…という方はこの機会にぜひ劇場にお越しください。
【大阪公演チケット】
Peatix https://haoto2023.peatix.com
【観劇サポート】
・台本の事前貸出サービス [無料]
聴覚障害のある方、聞こえにくい方を対象に、上演台本(PDF)の事前貸出を行います。上演台本データは、大阪公演終了の11月19日まで閲覧いただけます。ご希望の方は、チケット購入時のアンケートでお知らせいただくか、ご観劇日とお名前を記載の上『そして羽音、ひとつ』制作部までお問合せください。
・車椅子をご利用の方、盲導犬をお連れの方など、ご来場、ご観劇に関して心配事やサポートの必要がある方は、『そして羽音、ひとつ』制作部までご相談ください。
【クレジット】
作曲:増田真結
舞台美術:松村あや
照明:池辺茜
音響:森永恭代
衣裳:清川敦子
舞台監督:武吉浩二(campana)
演出助手:今井千香
宣伝デザイン:山口良太 (slowcamp)
宣伝写真:坂下丈太郎
制作:水戸亜祐美、寺田凜、染谷日向子(合同会社syuz’gen)、合同会社stamp
企画/製作:合同会社stamp
大阪公演提携:扇町ミュージアムキューブ
大阪公演協力:株式会社シアターワークショップ
大阪公演主催:合同会社stamp
京都芸術センター制作支援事業
お問合せ 『そして羽音、ひとつ』制作部
TEL:03-4213-4290 (合同会社syuz’gen 平日10:00-18:00)
MAIL:seisaku@stamp-llc.com
WEB:https://stamp-llc.com/
いただいた寄付の使い道
いただいた寄付は、鑑賞サポートの舞台字幕作成、音声ガイドの作成、劇場に来られない方も鑑賞できるようにする公演映像の撮影と配信、より充実した鑑賞空間とするための舞台美術の材料費、照明機材費、音響機材費に使用させていただきます。
このプロジェクトに寄付をすると税の優遇措置が受けられます
アーツサポート関西は公益財団法人関西・大阪21世紀協会が行う取り組みであるため、このプロジェクトに寄付をいただくと税の優遇措置が適用されます。個人と法人のいずれにも適用されます。たとえば個人が3万円を寄付して「税額控除方式」で税金の還付を受ける場合、11,200円が寄付者に戻ってきます。詳しくはこちらをご参照ください。
寄付をしていただく際にご確認いただきたいこと
■このプロジェクトは、アーツサポート関西の2023年度公募助成で選ばれた団体が行う活動です
■いただいた寄付は、公益財団法人関西・大阪21世紀協会への寄付となり、税の優遇措置が受けられます。詳しくはアーツサポート関西ホームぺージ「税の優遇措置について」をご覧ください。
■プロジェクトを行う団体には、いただいた寄付から必要経費10%を控除した金額をアーツサポート関西から助成金として支払います。クレジットカードをご利用の場合はカード手数料分も控除されます。
■プロジェクトが目標額に達しない場合でも集まった寄付金を助成金として支払います。それにより事業規模が縮小されることがありますので、予めご了承ください。
■やむを得ない事情により、プロジェクトが中止となった場合、寄付金は返金せず、アーツサポート関西が行うほかの芸術・文化支援活動に活用します。
■寄付者のご連絡先については、当方の個人情報保護の基本方針に則り、プロジェクトを行う団体からのお礼のお手紙やメール等をお送りするため、当方から団体にお伝えさせていただきます。プロジェクト団体へのご連絡先の開示を希望されない場合は、寄付申込みページの備考欄に「個人情報の共同利用不可」とご記入いただきますようお願いいたします。