
こんにちは。事務局長の新石です。
残り6日で ついに64%まで来ました。ありがとうございます! さいごの勢い出てきました! 引き続き応援をよろしくお願いします。
さて、本日はインターン生たち3名(19歳~22歳)との座談会をお届けします。
全員8月から勤務開始のニューフェイス。週1~2回ペースで手伝ってもらっています。クラファン内企画でミャンマーの民族(センシティブ!)や文化を調べて発表してもらった感想を聞きました。若い人たちの率直な言葉が新鮮です。ご笑覧ください。
*
(BAJ新石)
BAJを通じて、ミャンマーという国や文化に初めて触れたインターン生たちにいろいろ聞いてみたいと思います。本日はよろしくお願いします。
インターン生(斎藤・高橋・東)
お願いします。
(BAJ新石)
今クラウドファンディングやってますね。皆さんには、インターン企画として「きょうの民族紹介」と題した連作記事を書いてもらっています。そもそも民族紹介をやってみようというきっかけは何だったんでしょうか?
(東)
そうですね。発案したのは私でしたっけ?
(斎藤)
そうだっけ?
(高橋)
僕ではないことは確かです。
(一同)笑
(斎藤)
毎日ミャンマー語を紹介するアイデアを東さんが発案してくれて、その後に「ミャンマー語だけじゃ面白くないよね」となって民族紹介もやろう、みたいな。
(東)
新石さんからミャンマーには135の民族がいるという話を聞いていたので、ミャンマーのことをより知ってもらう上で、この多様性を伝えていくのが大事ではないかと思いました。
(BAJ新石)
当初は135の民族をすべて紹介するつもりだったと記憶しています。
(インターン生一同)
はい。
(BAJ新石)
やっぱりちょっと無理だなと気付いたのは、いつごろですか?
(斎藤)
わりと最初らへんに。
(高橋)
もう書けることがないぞっていうのと、ファクトチェックがしんどい。
(BAJ新石)
ファクトチェックがしんどい。笑
それで、135は無理だとなって、東さんがシャン州で、斎藤さんがカレン州、高橋さんがラカイン州という分担になりました。それぞれの州を選択した理由はあるんでしょうか。
(高橋)
僕はロヒンギャに元から興味があったのと、BAJの拠点がラカイン州にあるということだったので、ちょうど良いかなと思って、選びました。
(BAJ新石)
ありがたいですね。ミャンマーっていう国自体を勉強するのは初めてですか?
(高橋)
そうですね。世界史でちょっと触れたなぐらいの印象しかなくて。
(BAJ新石)
もしかしたらラカイン州っていう地名も初めて知ったみたいな。
(高橋)
そうです。
(BAJ新石)
ありがとうございます。斎藤さんはいかがでしょう。
(斎藤)
元々カレン族の首長族とかに興味があって、ちょっと詳しく調べてみたいなっていうのがきっかけですね。
(BAJ新石)
テレビとかで見たの?
(斎藤)
イッテ Q だった気がします。
(BAJ新石)
すばらしい番組ですね。
(斎藤)
東さんはいかがでしょうか?
(東)
皆さんに紹介するならたくさん紹介したいなっていう気持ちがあったので、シャン族に属されている民族の方が 33 民族いらっしゃる、ということでシャン州を選びました。
(BAJ新石)
他の民族もちょっと調べてみたってことですか?
(東)
そうですね。他の民族の方も少し見てみて。中には 50 を超える民族のグループを抱えるところもありましたが、 50 は 1人で抱えきれない気がしたので、シャン州にしました。
(BAJ新石)
なるほど。33でも結構あるなっていう感じですけども。
進捗具合はどうですか? いまちょうど9月の第 1 週ぐらいですが(収録時)。シャン州 33グループ 、いけそうな感じですか?
(東)
そうですね。今日の段階で21 民族までは作ったんですが、それ以上の民族に関してはシャン族に属されている一方で、シャン州にはいらっしゃらない民族の方とか、人数が少ないせいか、情報が全くない民族の方もいらっしゃったり。後は情報にかなり偏りがあると言いますか、例えば政治色の強い情報のみしか見つけにくい民族の方もいらっしゃるので、皆さんに伝えるっていう面で言うと、今の21民族以上書くことはちょっと難しいかなと思ってます。
(BAJ新石)
なるほど。皆さん本当すごいと思います。説明会や報告会などで「135の民族がいるんですよ」という紹介はいろんなところで喋ってますが、数字をただ伝えているだけで、いざ調べようとするとなかなか難しいと思います。
どうでしょう?カレン州の方はいかがですか? 簡単でした?
(斎藤)
いや、難しいです。
(BAJ新石)
どんなところが難しいポイント?
(斎藤)
いろんな名前があって、この名前が実はこの民族の別名だったりとか、そういうことがあってちょっと難しかったり。あとやっぱりタイと近いので、タイと混ざっていたり。あと、ネットで調べても全く出てこなかったりもするし、そういうところが難しいなと思いました。
(BAJ新石)
そうか。高橋さんどうですか?ラカイン州は。
(高橋)
ラカイン州はですね。すごいきな臭くて。
(BAJ新石)
きな臭くて 笑
ミャンマー全土で内戦状態ですね。とくにラカイン州は激しい場所の一つかもしれません。
(高橋)
東さんがさっきおっしゃっていたように、政治色が強くなりすぎてしまう。個人的にはすごい興味があるんですけど、それを出していいものかっていうので、ちょっと考える必要があって。それだったらもっと親しみやすい文化とか、生活について触れられた方がいいのかなと調べるんですけど、なかなか見つからなくて大変です。
(BAJ新石)
政治色を抑えてくれっていうのは私からのリクエストだから私が一番難しくしている原因かもしれないですけども。
じゃあ、その政治色も含めて、調べてみて興味深いと思ったこと。ここは自由に語っていいですから、なにかありましたか?
(高橋)
日本との繋がりが思ったよりも深いことですかね。
(BAJ新石)
日本との繋がり。
(高橋)
例えば、アウンサン将軍の立身に日本の旧日本軍が関わっていたりとか。本当に他人事として済まされないってことを実感させられましたね。
(BAJ新石)
うん。なるほどね。斎藤さんはいかがです?政治とか歴史に限らず、調べていて「ここ興味深いな」とか「あ、これ知らなかったな」みたいのでいいんですけど。
(斎藤)
キリスト教信者が多いっていうのが面白いなって思って。元々違う民族宗教があったにも関わらず、イギリスの植民地支配の間でどんどんキリスト教信者が増えて。今ではカレン州ってたくさんの民族、 13 ぐらいの民族がいるんですけど、その中の一部の民族ではもう 80、90% ぐらいがキリスト教信者だったりして。結構キリスト教の広がりが多く見られるなと。
(BAJ新石)
ミャンマーは仏教が有名だったりしますがキリスト教の人もいっぱいいますね。東さんはいかがでしょうか?
(東)
1つ思ったのは、古くからの伝統や習慣がいまも続いていて、たくさんあるところにすごく驚きました。さっき調べていたものだと、とある民族では結婚式のときに、新郎は米と塩漬の魚を持って新婦のところまで行かないといけない風習があるとか。日本に住んでいると、そうした伝統が残っているのを見聞きすることがないので、現在も独自の文化がそれぞれの民族にあるのが面白いなと思いました。
あと、調べているうちに、行ってみたいなと思うスポットがたくさんありました。それこそさっきキリスト教の話がありましたが、私が調べたところは仏教が盛んで、湖の近くに洞窟があって、そこに8000体の仏像が迷路のように配置されているみたいな。すごく行ってみたい。そういう発見はたくさんありました。
(BAJ新石)
わたしもミャンマーに関わって長いですけど、全然知らなかったですね。そんなところがあるんだぁ。やっぱり、ミャンマーは宗教も文化も多様だし、自然もいろんな場所があるなという感じですね。
皆さんどうですか?ミャンマーっていう国を自分でちょっと調べてみて。今まであんまり馴染みがなかったと思うのですが、距離が縮まったかなって思います?
(斎藤)
あります。
(高橋)
はい。
(東)
あります。
(BAJ新石)
無理やり言わせてるなぁ 笑
さて、ここでガラッと話を変えまして。内戦のことです。ミャンマーはいろいろ揉めていて、戦っていて。ラカイン州なんかもずっとアラカン軍ってところが実行支配をしているんですが、まだ戦闘が続いてる場所もあります。で、ちょっと国軍がまた巻き返しを図って。まだまだ戦いはね。カレン州でも続いているし、やっているんですよね。
そこで、すごいデカイこと聞きますけど、答えがなくて皆が悩んでいることですが、どうしたら平和になるのかなと。どうしたら平和になるんだろう?
何かありますかね? 意外なアイデアみたいな。「意外」じゃなくてもいいんですが。
(高橋)
うーん。ナショナリズムっていうか、自分たちはミャンマー人なんだっていう。たくさん民族いるけど、仲間意識っていうのかは分からないですけど、1つの国としてまとまるっていうことがまず必要だとは思うんですけど、、、具体的な手段とか全くわかんないですね。何すりゃいいんだろう。
(BAJ新石)
1つにまとまろうっていうときに何をしたらいいんだろうかと。
(高橋)
言語も宗教も文化もまあまあ違うのでどうすればいいんでしょう。
(BAJ新石)
うん。斎藤さんはいかがです? 「どうしたらいいんだろう」でもいいんですけども。
(斎藤)
イエスキリストみたいな人が現れて。徐々にミャンマー国民の人の心を掴んで、民族関係なくみんなが尊敬できるような人が現れて、立て直せば上手くいくのかもしれないなって気もします。
(BAJ新石)
救世主待望論みたいなことですね。そういうのは確かに国が生まれる時というか、なんか神話の世界とかね。ありますね。
(高橋)
建国神話みたいな。
(BAJ新石)
ある種それをまた自分たちで作っていくというか。でもそれって難しそうですね。歴史の偶然がいくつも重ならないといけないような。東さんは何かあります?感想でもいいですけど。
(東)
いま内戦してますけど、全員が全員戦いたくて戦っているわけじゃなくて、やっぱりみんな平和を求めて戦っている。そういうものを求めて戦っているところは一緒というか。みんな目指しているところは本来は一緒なんじゃないかなっていう風に思っているので、その「一緒なんじゃないか」というところにそれぞれのグループの人たちが気づいたら、もうちょっと今より状況が良くなるんじゃないかなと思っていて。
突飛なアイデアですけど、少数民族について調べていく中で、皆さんがお祭りをかなり大切にされている文化があると知ったので。何かミャンマーで1つ大きいビッグイベントみたいなものを試しにやってみて、そこでお互いのことを理解してみる。そういう何か気づくきっかけをつくったらいいんじゃないかなと思いました。
(BAJ新石)
うん、いいですね。お祭りというか、共有できるイベントですかね。今も、もしかしたらこの内戦という惨事を共有しつつあるのかもしれないけれど、もうちょっと平和なというか。例えばなんだろう。サッカーとかスポーツでもいいだろうし。そういう平和な交流の場があったらいいなってのはその通りだと思います。
(斎藤)
ミャンマーの国民的なスポーツとかってあるんですか?
(BAJ新石)
スポーツで人気なのはやっぱりサッカーですかね。平和だった頃、ミャンマー代表の女子チームは日本人が監督していましたからね。
(インターン生)
へえ。
(BAJ新石)
こんなところにも日本との縁が。
そういえば、私も平和なときに妄想してました。ミャンマー代表がどんどんサッカー強くなって、ワールドカップへ行ったらミャンマー中でみんな盛り上がるだろうなと。で、しかもそのときミャンマー代表チームにいろんな民族の人がいたらすごくいいんじゃないかな、とか。
(東)
ミャンマーの端から端まで色んな民族の方でドリブル、パスを繋いでいくみたいな。
(BAJ新石)
ドリブルパスで繋いでね。
(東)
絆が深まりそう。
(高橋)
それでミャンマー1周とか。
(斎藤)
やってみたら?
(東)
私が!?
(BAJ新石)
ともかく、皆さん、いろんな言葉をありがとうございました。じゃあ最後に、私たち「今日の民族紹介」と同時に「今日のミャンマー語」っていう企画もやっていますが、好きなミャンマー語は何か見つかりました?
(東)
じゃあいいですか?「今日のミャンマー語」を担当しているものとして。
(BAJ新石)
じゃあ、代表としてお願いいたします。
(東)
私はこないだ打ち合わせした時も使ったんですけど、「難しい」という意味の「ケッデー」が今1番好きなミャンマー語ですね。それこそBAJの方もお仕事されていて難しさを感じることが多々あるっていうお話されていましたけど、私たちも今インターンをしていて難しいなと思うことに直面することがよくあって。で、そういう時に「ケッデー」って言って。こないだの打ち合わせの時も何度か使って。
(斎藤)
ケッデー!ケッデー!って。
(BAJ新石)
ケッデーか。意外な言葉でしたね。私もしょっちゅう言ってましたね。「ケッデーカミャ」(難しいです)って。じゃあ、みんなが好きなミャンマー語は「ケッデー」(難しい)っていうことで。いいですね。それでは座談会はこのへんで。皆さん、今日はありがとうございました。
(インターン生)
ありがとうございました。
(BAJ新石)
引き続きよろしくお願いします。
(インターン生)
お願いします。
(BAJ新石)
がんばりましょう。ケッデーだけど
*
【事務局長のあとがき】
政治的なものが複雑に絡んでいる場所で国際協力活動をしていると、よくも悪くも現実的になっていきます。考え方も言葉も現場にうまくフォーカスされて研ぎ澄まされる一方、思考と行動の範囲が収束されすぎてしまう面もあると思っています。目の前の現実に丁寧に焦点を合わせていくことがプロフェッショナルであるし、現場をもつNGOの役割だと考えています。ですが、私が尊敬する、引きこもりの訪問支援をしていた先輩はこう言いました。「プロフェッショナルとは、いい意味でアマチュアでありつづけることだ」と。
インターン生たちとの会話は、閉じこもりがちな私たちの言葉に小さな風穴を開けてくれているように思います。やわらかくて、あかるくて、自由な風です。
そうした風がときどき吹くから、私たちは私たちの現場にまた戻っていけるのだと思いました。
