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BankARTに初めて足を踏み入れた時から12年が経ちました。その間わたしは、アーティストの手伝いや、受付、ショップ、カフェ・パブ、本やチラシのデザイン、ウェブ作成など、さまざまな形でBankARTに関わってきました。
12年前、わたしは普通の、横浜の学生でした。たまたま大学の先生から、現代美術アーティストが学生ボランティアを探しているという話を聞き参加したのが、BankART Studio NYKで2012年に開催された「川俣正 Expand BankART 展」でした。現代美術も何も知らない私でも、NYKの建物を覆う圧倒的な作品のカッコ良さに、「こんなものがこの世にあるのか!」と心が躍りました。
その後、池田さんに声をかけていただき、BankARTでアルバイトを始めました。当時はNYKの広い1階で、受付・ショップ・カフェを1人でやりくりすることも多く、これが初めてのアルバイトだった私はたくさん怒られながらも、働くことの大変さとやりがいを教えてもらいました。そして何より、BankARTに関わるたくさんの素敵なアーティストの方々と出会い、これまでの自分になかった感性や物の見方を知りました。
BankARTでのボランティアをきっかけに、川俣さんをはじめ、いろいろなアーティストの作品施工の手伝いもするようになりました。それまで地元をほとんど出たことがなかった私が、行ったことのなかった場所へ行き、たくさんの素敵でユニークな人々に出会いました。
いま、私はデザインの仕事をしています。これもBankARTが繋げてくれた縁でした。BankARTのチラシや出版物のデザインをしている、ヤング荘の北風さんと出会ってお手伝いをするようになり、いつのまにかヤング荘のメンバーにもなりました。
アルバイトをしなくなってからも、BankARTのウェブサイトを作成させてもらったり、ときどきチラシのデザインや本の装丁なんかもさせてもらい、何者でもない私をずっと気にかけ、ずっと見守ってくれていた場所でした。
自分の生まれ育った横浜に、BankARTのような自由で流動的で気概のあるカッコイイ場所があることはとても誇りでした。ここから出ていかねばならなくなったことは本当に残念です。
BankARTの受付をしていたときに、一番大事だと言われていたことは「リレー」すること、人と人の縁を繋ぐことでした。
今度はどこに、新しい「縁」が繋がる場所ができるのか、今はとても楽しみです。
松岡未来
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