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BankARTには、ベテラン作家から若手作家まで分け隔てなく開かれたチャンスがあり、私もその機会に恵まれた一人です。このチャンスがキャリア形成に関わるのか、新たな学びを得るためのものなのか、人とのつながりを育むためのものなのかは、人によって異なるでしょう。ただひとつ確実に言えるのは、BankARTには常にそのいずれにも応えられる対応力があり、多くの人に影響を与えてきたということです。
私は普段、友人たちと一緒に「Project Space hazi」というプライベートな文化センターを運営しながら、愛知を拠点にアートの裏方の仕事をしています。そんな私が初めてBankARTに関わったのは2023年の「Under 35」にて。宇留野圭のマネージャーとして参加しました。私はこの開かれたチャンスの中で、大きな学びの機会を得ました。
関東圏での初めての仕事、今まで出会うことのなかった同世代、この取り組みの中で、多くの人と共に時間を過ごし、新しい価値や情報を交換し合えたことは、私にはとても幸運なことでした。
一方で、こうした文化活動を支える仕組みを、私たちは100年続けることができるのか、ということを最近の自分のテーマにしています。
終わらないアートセンターについて。こうした文化を育むための「場」が、断続的に生まれては消えていく状況が、全国的に見受けられます。
このままでは退屈だ。アートを取り巻く私たちと政治の関係は常に変化していて、もう00年代のような文化政策ではないらしい。そもそもモノごとの移り変わりは常なので、これは仕方ないことなのでしょうか。
文化の場は生まれては消えていく。それが日本の文化のあり方なのかもしれません。
しかし、それを「仕方のないこと」として受け入れるには、あまりにも多くのものを失ってきた気がします。それは単なる場所の消失ではなく、そこで生まれていた実験的な試みや、コミュニティが育んできた関係性そのものです。しかし、その価値が正しく評価されることは少なく、多くの場合、静かに幕を閉じていきます。
そんなことを考えながら、haziに戻ります。
終わらないアートセンターは誰かがつくるものではなく、私たち自身が支え続けるものなのではないでしょうか。
BankARTをはじめ、これまでの多くのアートセンターで積み重ねられてきた知見を受け取った一人として、haziの仲間と共有しながら活かしていきたいと思います。
大野高輝
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