クラヴィスアルクス

遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)患者および当事者支援のためのご寄付をお願いします

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特定非営利法人クラヴィスアルクスでは当事者の相互支援を中心として、HBOCに関する正しい知識と理解を広げる活動をしています。2014年より活動を開始し、北海道、東北、北陸、関東、東海、関西、中央西日本、四国、九州、沖縄、米国に支部をおいています。がん発症、未発症にかかわらず当事者の相互支援および血縁者への支援を中心に、遺伝性がんの教育、市民公開講座やセミナーの企画、ピアサポーター養成、患者・市民参画(PPI)に取り組んでいます。国内における社会的課題解決のための政策提言、研究活動にも設立当初より積極的に活動を続けています。また、現在取り残されているがん発症リスクが高い未発症保持者に必要な対策の保険収載化を目指しています。

遺伝性乳がん卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer ; HBOC)とは何でしょうか

日本では乳がんが増加し、年間9万人の日本人女性が乳がんにかかると言われています。女性の30歳から64歳では、乳がんが死亡原因のトップです。そして生涯に乳がんを患う日本人女性は、現在11人に1人と言われ、女性にとっては最も身近ながんです。同じように日本人男性では年間9万人が前立腺がんと診断され最も頻度の高いがんです。

がんの発生には、生活習慣や環境などの後天的な要因と、加齢という時間的な要因、そして「一人ひとりが生まれつき持っている体質(遺伝的)」な要因に分けることができます。この中の遺伝的要因がより強く影響しているがんを「遺伝性腫瘍(がん)」と呼んでいます。「遺伝性乳がん卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer;HBOC)」は、代表的な遺伝性腫瘍の一つで、一般の方よりもがんを発症する確率が高く、繰り返しがんを発症しやすい特徴を持っています。
日本人全体では数百人に1人はこのHBOCの体質を持っていることがわかっています。

もう少し詳しく説明すると、生まれつき持っている遺伝的要因とはどのようなものでしょうか。HBOC(エイチビーオーシー)の場合は、誰でも持っているBRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子に、生まれつき変化した状態(病的バリアント)がある方です。遺伝子に病的バリアントがない方に比べると、がんを発症しやすい体質であることを意味します。性別や年齢にかかわらず、すべての人はどちらの遺伝子もひとつずつ両親から受け継いでいます。両親のどちらかが遺伝子に病的バリアントを保持していると、親から子へ受け継がれる可能性は2分の1ですが、受け継いでもがんを100%発症するということではありません。病的バリアント保持者であっても生涯がんを発症しない方もいます。

【Point】他の遺伝性腫瘍も同様ですが、HBOCは、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子に、生まれつき変化した状態(病的バリアント)で生まれてきた方で、がんそのものが遺伝することではありません。

遺伝するって悪いこと? 〜社会的環境整備を目指して〜

遺伝性がんときくと悪いイメージばかりが先行してしまいがちです。
遺伝性ゆえ、周囲の偏見を恐れたり、将来の発症におびえたりする患者さんも多くいます。他のひとりよりもがん発症のリスクが高いことで不安な毎日を過ごしたり、お子さまへの遺伝の影響を考え苦しんでいる患者さんも多くいらっしゃいます。私たちのようにがんを発症し、苦しく辛い手術や化学療法を経験したものにとって家族や子どもたちに同じ思いをさせたくはないと思うのは当然のことかもしれません。一方で、社会的な課題解決により遺伝に対して意識や考え方を変えることや、体質を知ることによるメリットを感じること、遺伝性がんやがん発症のしくみそのものを理解することで乗り越えられる場面も少なくはありません。

誰もが同じ社会の中で乗り越えられるようになるためには、教育の場面や、差別や偏見を持たれないような環境作り、ルールなどゲノム医療法案の早期制定など安心して治療や健康管理に専念できる環境整備が必要です。

私たちは生きている以上、望んではない病に侵されてしまうこと、体質を受け継いでしまうこともあります。そんな時は遺伝することを悪いイメージばかりに考えてしまいがちですが、受け継がれる体質により、それらに合った医療が先制医療として様々な研究や医療技術開発が進むこと、すなわち遺伝医療やゲノム医療の充実が私たち患者や未発症者への健康や命を守るためにできることの一つとして考えられるような社会に少しづつでも近づくことを望んでいます。


HBOC診療の一部が保険収載化されたことによって、遺伝医療も一般的な日常診療の一部として受け入れてもらえるようになったいま、私たちが過去を振り返り後悔したり、足を引っ張り合うことをしたりせずに、前を向いて歩ける社会を目指しています。

ご支援をお願いします

人それぞれ、HBOCを理解し、受け入れられるタイミングは異なります。自分自身がHBOCであることを受け入れることができなかったり、家族に伝えることが出来ずに悩み続けている方もいれば、HBOCと診断されることによってリスク低減手術や治療に活かすことができ、がんを忘れてしまうほどの穏やかで落ち着いた時間を過ごしている方もいます。

個人的には、HBOCと診断されたことは良いことだと、乳がん、卵巣がんと繰り返しても感じていますが、HBOCと診断されてから多くの壁を乗り越え、今もなお選択をしなくてはいけない状況にあります。そんな時に声を聞かせてくれたり、背中を押してくれたり、支えとなってくれるのが同じ当事者の仲間です。当事者同士で情報共有し、共に学び、共に泣いたり、笑ったり支え合う時間はかけがえのない時間です。同じ乳がんや卵巣がんでも、遺伝性であることでちょっぴりつながりが深くなったように感じてしまう私たち。それはきっと遺伝という言葉がもたせる特性なのかもしれません。
当事者会を立ち上げてよかったと感じることは、HBOCの方に出会うたびに感じます。

ところが、日常的に交流することができる仲間や、当事者会へアクセスしてくれる仲間とはつながることが叶いますが、少し離れた地域だったり、必ずしもオンラインで情報を受け取ることの出来なかったりするケースもあります。また、遺伝性がんやHBOCの情報が少なく、ひとりで悩まれている方、遺伝学的検査を実施するかどうか悩んでいる方、もっと広くがん経験者や医療従事者、医療に携わる皆さん、最終的には国民皆さまのもとへ私たちの声を届けていけたいと思いました。
その活動のひとつとして企画されたのが「遺伝性がん当事者からの手紙」写真パネル展でした。当事者それぞれの思いや経験、医療者や全国の皆様へ伝えたい思いを手紙と写真に託し、HBOC診療へのわずかながらの還元を願い取り組んでいます。今も、新しい手紙を綴ってくれている仲間がいること、それを形にして届け伝えることが私たちの大きな役割だと信じ継続して全国的に実施する予定です。

この先も次世代に向け、遺伝に起因した差別や偏見をなくすための法整備、教育問題、経済的、心理的といったELSI課題解決と共に、HBOCを中心とした遺伝性腫瘍の未発症保持者への対策に力を入れ、継続した当事者支援活動に取り組んで参りますので、皆様のご理解とご支援賜りたくこの場をお借りして、心よりお願い申し上げます。

感謝を込めて

特定非営利活動法人クラヴィスアルクス
理事長 太宰牧子

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