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厳しい寒さが続いていますね。皆様いかがお過ごしでしょうか。
2024年も、多くの方にご支援いただき、ありがとうございました。2025年も、全国の困窮する性風俗で働く方々のための活動を行っていきます!風テラスをどうぞよろしくお願いします。
■クラウドファンディングが始まりました!
風テラスの相談事業の資金は、皆様からのご寄付で成り立っています。2024年度は相談員の増員などにより、年間約1170万円(管理費含む)が必要となっています。
2024年は相談者数がのべ4,939人になったこともあり、さらに相談が増えることも予想されます。
風テラスの相談が継続できるよう、すでに継続的に寄付をしてくださっている皆さまからの追加のご支援や、新たな賛同者の方を求めています。
https://congrant.com/project/f...
■新理事長の徳田玲亜さんにインタビューしました
昨年12月、風テラス創業者の坂爪真吾・前理事長から、徳田玲亜(とくだ・れいあ)が理事長を引き継ぎました。
徳田さんは、2015年の風テラスの相談活動が始まった当初から弁護士として活動に携わり、2022年に風テラスがNPO化してからは副理事長として、団体の運営に関わってきました。
バトンを引き継いだ徳田さんに風テラスとの関わりや活動、展望を聞きました。
八木原:性風俗の女性の支援に関わるようになったきっかけを教えてください。
徳田:学生時代に障害者の性に興味を持ち、前理事長の坂爪さんのイベントに参加するようになりました。その後、2015年、坂爪さんから風俗の待機部屋で行う相談会に誘われました。弁護士になって1年目の頃でした。
通常、弁護士への相談は、クライアントに弁護士事務所などを訪問してもらう形が一般的です。ところが、この活動は、風俗店の待機部屋に私たちが出向いていくスタイルです。当初は「弁護士が出かけていく(=アウトリーチする)活動が成立するのか」と少し不安に思いました。ソーシャルワーカーと働いたのも初めての経験でした。
八木原:実際に活動に参加するようになって、感じる事や考えるようになったことはありますか?
徳田:相談者の背景などを聞いていると、風俗は誰でも入る可能性のある世界なのではないかと感じました。自分は、育った環境や出会った人が違ったことで、ここで働いていない人生を歩んでいます。一方で、環境や人間関係によって性風俗で働くことを選択することも十分にあり得たと思います。他人事ではないと感じています。
性風俗の待機部屋での徳田さんたちの相談風景
「結果だけではなくプロセスが見える仕事がしたかった」
八木原:どうして弁護士を目指されたのですか?
徳田:私は中国系のインターナショナルスクールに通っていたのですが、学生時代は常に競争にさらされるストレスがありました。受験にも苦労した経験があって、学歴など「結果」だけで評価される社会がイヤでした。たとえば履歴書には、卒業した学校名を書くだけなので、その人の努力とか過程は、ほとんど考慮されないですよね。
でも、結果が出せるかどうかって様々な要素があるはずなんです。結果が出せないことだってある。そうしたときに誰かに「頑張ったね」って言われたら、その人は前向きに生きられると思ったんです。
なので、プロセスを見つめることができる仕事に就きたいと思い、弁護士を目指しました。
弁護士の仕事は、クライアントから事柄の経緯や背景を聞いて、解決策を一緒に考えて作り上げていくことができる仕事です。魅力的だなと思いました。大学受験の時には弁護士になることを考えていました。
「支援者としてフラットに関わりたい」
八木原:徳田さんはこれまで1000人以上の性風俗で働く女性の相談に乗ってきたとコラム(※「自由と正義」2024年4月号)でも書かれていましたね。それだけ多くの性風俗で働く方々と関わる中で、心がけてきたことはありますか?
徳田:相談者とはフラットに関わり、聞かれたことにフラットに応えていくようにしています。
この活動が始まったばかりの頃に一緒に活動していた弁護士が風テラスの相談を「きた球を返す」と表現していたのが印象的でした。
相談者の方々の話を聞いていると、突き詰めたくなったり、支援者のしたい支援がしたくなったりします。けれども、そうではなくて、相談者が本当に困っていることをキャッチして応えていくことが大切です。自分のしたい支援をしていては、信頼関係を築いていくのは難しいです。
このことは、風テラスの相談員マニュアルにも載っています。大切なことだけれども、意識しないと忘れてしまうので、意識するようにしています。
「NPOは面白い」
八木原:12月から理事長としての活動が始まりました。徳田さんの今の活動や団体の展望などを教えてください。
徳田:パブリックリソース財団「女性リーダー支援基金・2024年度活動支援」に採択していただき、昨年12月に授賞式に参加しました。
地方出身女性の進学問題や女性議員が少ない社会問題などに切り込んで活動をしている方々など他の受賞者と交流して、風テラスの活動ももっと社会に発信していかないといけないと実感しました。
最近では、弁護士としての活動拠点であるさいたま市では、困難な問題を抱える女性の支援機関ネットワークの会合に参加しました。「困難な問題を抱える女性の支援に関する法律」という新法ができて、幅広い女性の課題がクローズアップされていますが、性風俗で働く方々への視点や支援が十分でないため、提言するようにしています。
風テラスの中では、相談員をしながら、広報や資金調達チームのマネジメントも行っています。ここに弁護士の仕事もあるので、かなり多忙になっています(笑)
それでも、NPOの活動はすごく面白いと思っています。それは、「こうなったらいいよね」と未来について話し、そのためにどのように社会にアプローチしたら良いか考え、実践出来るからです。
弁護士の仕事だけでは巡り合えない仲間や出会いもあります。副理事長の中島満香さんは官民連携のコンサルタントのご経験も長く、組織運営にも精通しているので、とても刺激になります。
「相談を維持する資金が足りない」
八木原:風テラスの今後をどのように考えていますか?
徳田:団体としては、資金が足りないことが本当に切実な問題です。昨年の相談者はのべ5,000人になりましたが、来年度も同じ水準の相談体制を維持できるかは不透明な状況です。
年度末にかけて、ご寄付などの追加のご支援を求めていく必要があるため、読者の皆さま、すでにご寄付くださっている皆様にもぜひご協力いただきたいです。
この1年でインターンやプロボノが計8人増え、それぞれのメンバーが合間を縫ってとても活躍してくれています。本当に感謝しかないです。
ただ、オンライン・リモートワーク中心の団体でもあるのでメンバー同士のコミュニケーション不足を少し感じています。今年は、風テラスの一人一人ともっとコミュニケーションをしていきたいですね。
■2024年の相談者数のべ4,939名に達しました
2024年は年間のべ4,939名の相談対応を実施しました。
また、2024年12月は累計275名の相談に対応しました。
2024年の統計がまとまりましたら、公式ウェブサイト等で発表いたします。
〈2024年12月の通常相談内訳より〉いずれも「累計」 ・メンタル 81件(先月72件) ・店舗トラブル 61件(先月74件) ・生活困窮・家賃滞納 45件(先月48件) ・次の仕事を探したい 37件(先月40件) ・妊娠葛藤 6件(先月0件) |
■女の子たちの60分フリー
風テラスでは、月に1回、オンラインの自助グループ活動「女の子たちの60分フリー」を開催しています。
12月8日(日)に行われた会には、4人の方が参加してくれました。
12月は気温が下がりはじめ、冬を感じる時期でした。皆様の中でも、季節の変わり目に身体がなかなか適応できず、体調を崩し、気分も落ち込むことはありませんか?参加者からもそのような近況報告がありました。しかし、参加者同士で「わかる!」と、お互いに共感のことばや、気分が落ち込んだ時の過ごし方を共有する中で、少しずつ全体の雰囲気が明るくなったように感じました。
1月と2月は、対面で女の子たちの60分フリーを実施します。
今後の活動報告で、その様子をご報告いたします !
「女の子たちの60分フリー」について、詳しくはこちらをご確認下さい。
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2025年は、新しい体制で風テラスの活動がスタートしました。今まで培ってきた相談者との信頼関係を大切にしつつ、さらに多くの風テラスを必要としている方々と繋がっていきたいと思います。
空気が乾燥して体調を崩しやすい季節です。皆様もお身体に気を付けてお過ごしください。
(プロボノ・八木原)