Inna Project

ニジェール紛争難民の子どもたちの家 Inna House

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Inna Houseでは、ニジェールの紛争から逃れてきた難民の子どもたちの生活・学習サポートをしています。2022年2月に子どもたちの居場所となるシェルターをオープンしました。皆さまからの温かいご支援をお待ちしております。
2023-09-09 00:57
新たにニジェールから来た子どもたち3人が学校へ通い始めました!
2023年7月の活動報告です。

新たにニジェールから来た子どもたち3人が学校へ通い始めました!

先月の活動報告で、ニジェールから新たに3人の子どもたち(ナフィサ、ムスタファ、マーフィン)をInna Houseに迎えたことをお伝えしましたが、その3人が7月から学校に通い始めました!

ナフィサは、お兄ちゃんがInna Houseから学校に通っており、ずっと自分も学校に行きたいと強く願い続けてきました。去年までInna Houseで生活していましたが、お母さんとニジェールに一時的に帰っていました。ニジェールの紛争が悪化してきたため、今年の頭にInna Projectから移動費を送金して、2人でガーナに戻ってきました。彼女は学校へ通ったことはありませんでしたが、去年Inna Houseで勉強し、自分の名前を書けるようになりました。今の学力では私立の学校の入学許可を得ることは難しいですが、知り合いの紹介でフランス語と英語のバイリンガルスクールへの入学が決まりました!現在小学校2年生のクラスで勉強しています。
上の画像はナフィサの学校での様子です(^^)

女の子が学校へ通うということ。
ニジェールには「女性に教育は必要ない」という考えが根強く存在します。女性の識字率は7%と世界でも最も低い割合です。しかし、ニジェールから来た子どもたちはこの7%でさえ高いと感じるほど、女性の識字率は低い現状です。現在、Inna Houseから学校に子どもを通わせたいと考えている親は増えていますが、全員男の子の親であり、女の子の親は学校へ通うことに反対しています。ナフィサのお母さんも、私たちからお願いされてしぶしぶ賛成しました。女の子が学校へ行くことは非常に難しいことなのです。

さて、2人目に学校に通い始めたのは、マーフィンです。ニジェールの紛争でお父さんを失い、過酷な環境にいたマーフィン。彼は今まで学校へ通ったことがなく、ペンを握ったこともなかったので、真っすぐの線も書けない状況でした。そこで、日本からInna Projectのスタディツアーに参加していたボランティアスタッフの方に協力してもらい、学校へ入る前に線を書く練習をしました。そしてラルソと同じ学校に通えることになりました!マーフィンは 10歳くらいですが、ガーナでは幼稚園で読み書きの学習を完了するため、マーフィンは幼稚園生のクラスからスタートしています。

そして3人目のムスタファは、ニジェールにいたときに学校へ行ったことはありましたが、ニジェールの公立の学校は先生のストライキなどによりまともな授業が実施されておらず、ほとんど勉強ができていませんでした。ムスタファは勉強が大好きな子で、ニジェールにいた頃から放課後も自分で勉強していたらしく、自分の名前だけでなく、アルファベットも全て書くことができ、足し算・掛け算もできていました。ニジェールの教育事情からするとかなり勉強ができていましたが、勉強大国のガーナではムスタファの年齢の学年には入ることは厳しいという状況でした。それに、ニジェールの公用語はフランス語なので、当然授業もフランス語で行われていました。ガーナの公用語は英語なので、学校の授業についていけるよう、Inna Houseのボランティアスタッフと英語の勉強をしています。

ムスタファはサッカーが大好きなので、ティジャニと同じサッカーチームに入りました。ティジャニはサッカー選手になることを目指して日々練習に励んでいますが、ムスタファは「選手にはなりたくない」と言っていました(笑)。やりたいからやる。自分の気持ちに素直で、芯の強い子たちです!
↓左がムスタファ、右がティジャニ。

ティジャニがサッカーチームの選抜に選ばれました!

そして上の写真のティジャニは、サッカー選手になることが夢で、今年の3月からサッカーチームに入り、週6日練習をしています。ルールも分からない状況から、3軍から1軍へ昇格し、U-13選抜にも選ばれました!子どもたちには、昔から「物乞いに使っているエネルギーを自分の好きなことに向けたら、何でもできるようになる」と声をかけ続けてきましたが、こうしてサッカーの選抜に選ばれるなど目に見える結果となって現れたことで、「なんでもできる」ということを実感することができたのではないかと思います。

頑張ったことが結果となって現れるという経験は、人から話を聞くだけではなく自分で経験しないと分かりません。何か一つのことをやり続けるという経験。そしてそれが結果につながるという経験。子どもたちにとってそれは未知の経験でした。例えば、サッカー選手になりたいという夢を持ったとき、それを叶えるために何が必要なのか、どんな道のりがあるのか、子どもたちには全く想像がつきませんでした。ティジャニの場合は、練習をするためにボールとシューズを買って、チームに入って、週に何日練習して…というプロセスです。小さなことですが、ボールを裸足で蹴るのと、シューズを履いて蹴ることの違いも、実際に経験してわかったことです。私たちは子どもたちが夢をつかむための最初のステップをサポートすることはできますが、その先で掴み取った結果は、全て子どもたち自身の努力の賜物です。子どもたちの輝く未来を応援することができて、本当に幸せです。

ラシダンが学期末テストでクラスで一番になりました!

ガーナの学校は3学期制。2学期末のテストで、ラシダン(1月から学校に通い始めた子)がクラスでまた一番になりました!ラシダンは7歳ですが、まだ歩き始めたばかりの頃からずっとストリートで物乞いをしていました。去年Inna Houseで初めてペンを握り、線をかく練習から初めて、2週間くらいかけて自分の名前を書けるようになりました。今は年長クラスにいますが、 10月の新年度からは、年長さんから小学校2年生への飛び級が決まりました!
写真はインナハウスでアルファベットの勉強をしていた頃のラシダン。よく頑張ったね!

学校行事「キャリアデー」がありました

ティジャニとラシダンの通っている学校で、将来なりたい職業の服を着て登校する「キャリアデー」という行事がありました。
ラシダンはの夢は警察になることなのですが、兵隊のコスチュームが見つからず、代わりに兵隊のコスチュームが見つかりました。ラシダンはかっこいいからと言ってこれが気に入ったようで、当日は兵隊のコスチュームを着て学校に行くことにしました。
子どもたちが知っている職業は、先生、警察、アーミー、サッカー選手くらい。キャリアデーで学校のクラスメイトが色々な格好をしてくるので、どんな職業があるのかを知ることができました。子どもたちの世界を広げるとても良い機会でした。

マーフィンの体調不良

ニジェールの過酷な環境から、6月にInna Houseに迎えたマーフィン。なんと2年間も血尿が続いており体調が悪いことが分かりました。ニジェールでは十分な食料も衛生的な水も手に入らない状況だったので、ずっと栄養不足で貧血状態でした。

写真はインナハウスにきたばかりの頃のマーフィン。
「誰かに言っても治してもらえない」「お母さんに心配をかけてしまう」という思いから、誰にも言うことができなかったそうです。病院へ行き、注射を打ち、薬を処方してもらい一時は回復しましたが、すぐに元に戻ってしまいます。原因不明ですが、ニジェールは深刻な食糧不足や不衛生な飲料水といった環境的な要因だけでなく、紛争中に目の前でお父さんを紛争で亡くしたことのショック、また病弱なお母さんを支えなくてはというプレッシャーなど、幼い頃から相当なストレスを受けてきたことが原因だと思われます。今も薬での治療を続けています。

誕生日会を開催しました!

Inna Project代表の私と、ラルソの誕生日会を開催しました!
毎年、子どもたちは物乞いをしたお金でケーキやアイスを買ってくれていました。しかし今年は学校に行き始めたので物乞いをしておらず、「お金がなくて何もあげられない、どうしよう」というので、「いんながみんなを一日自由に使える券」を提案しました(笑)。そして、子どもたちにInna Houseの大掃除をしてもらい、みんなでケーキを食べて、楽しい時間を過ごしました。

子どもたちはダンスや水泳の習い事を継続して頑張っています。
ラルソは手足に障害があり、体育の授業に参加できなかったり、みんなとサッカーで遊べなかったりしますが、水泳なら障害に関係なくできると考え練習を始めました。負けず嫌いな性格で、大会で一番になるまではやめないと意気込んでおり、応援しています!

これからも Inna Projectは現在学校に通っている子どもたちが安心して勉強できる環境を整えること、そしてより多くの学校に行きたいと願う子どもたちをサポートできるよう、活動を続けていきます。これからもどうぞ、皆様の温かい応援をよろしくお願い致します。 

最後までお読み頂き、ありがとうございました!7月の活動報告を終わります。

このページは寄付・ 会費決済サービス
コングラント」で作成されています。
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