ガザ人道危機について
2023年10月7日以降、ガザ地区でイスラエル軍による激しい攻撃が続いており、2024年11月現在、4万3千人を上回る死者が確認されています。また、ガザの人口の90%にあたる190万人がガザ地区内にて避難生活を余儀なくされています。さらには、イスラエル軍の攻撃が始まってから、エジプトとの国境が完全に閉鎖された今年5月7日までの間に、生存をかけてエジプトに渡った10万人以上のパレスチナ人がいます。彼らは、全ての財産や所有物を手放し、配偶者、家族や親戚、友人と2度と会えないかもしれないリスクをおかして、苦渋の決断をしたのです。
これらのガザからの避難者は、エジプトで難民認定を受けることができず、短期間の滞在許可しかもらえないため、法的に脆弱な立場におかれています。例えば、子どもをエジプトの学校に通わせられない、医療を受けるのが難しい、銀行口座が開設できない、基本的に就労が認められず収入が得られないなどの困難があります。このような状況にもかかわらず、エジプトでのパレスチナ人避難者への国際支援はほとんど存在しません。中には、海外で働く家族・親戚から仕送りを受けている比較的恵まれた世帯もいますが、それでも、いつまで仕送りが続くのか不安を募らせています。貯金を食い潰している世帯、手持ちのお金を使い切ってしまい、近所のエジプト人の好意で食事にありついている世帯もいます。また、すでに日々の食料すら手に入れられない世帯も多く確認されており、彼らは生命の危機にさらされています。パレスチナ人避難民は、ガザを離れても、戦争の残酷な経験によるトラウマに苛まれながら、将来の見えない厳しい避難生活を送っています。
パレスチナ人避難者に希望を届けよう
当団体は、昨年10月以降、日本、トルコやバングラデシュの個人や民間企業からいただいた寄付金により、ガザ地区内で国内避難者となったパレスチナ人約3,500人への、食料や衣服などの支援を行いました。このような支援を行う中、エジプトに避難中のパレスチナ人への大きな支援ニーズのギャップが生じていることを知り、2024年6月にガザからの避難者が数多く避難するカイロ近郊の町(10th of Ramadan)で調査を行った後、個人から寄せられた寄付金により、10月に第一回目の食料配布支援(受益者数:200世帯/1,000人)を実施しました。またこの支援は、収入源が絶たれた世帯、子どもが多い世帯、病人・負傷者や障がいを抱える家族がいる世帯などの脆弱性の高い世帯を対象としました。
第一回の配布の際に受益者から寄せられた声から、彼らの置かれている状況について理解が深まりました。エジプトに避難してきて以来、支援を受けるのが初めての世帯が多かったこと、そして今後も食料支援のニーズが高いこと、多くの子どもが栄養失調や健康上の問題を抱えていること、洋服が2、3着しかないため衛生が保てないこと、寝具がなくコンクリートの床に寝ていること、寒い冬に備えて上着や毛布が必要なこと、アパートの家賃(古い賃貸物件で月4,500円相当〜)が支払えないこと、ガザで負傷した後に治療が受けられないでいることなど、それぞれの受益者が様々な問題を抱えていました。また、エジプト人による草の根支援を除いては、ほとんど支援が提供されておらず、世界から見放されている孤独感を感じられている方々が多かったです。ガザで連日のように聞いていた爆撃音や、死の恐怖を払拭できておらず、大きな物音を聞くたびに恐怖を感じる、ガザで経験したことの夢を毎夜見るという声もたくさん聞かれました。彼らの中では、戦争はまだ終わっていないのです。
当団体は、共感いただける皆さまからの寄付金により、エジプトで取り残されているパレスチナ人に可能な限りの支援を届け、彼らが少しでも希望を持って生活できるようサポートしたいと思っています。
ご支援の使い道
皆さまからのご寄付金は、食料セット、衣服、毛布、現金給付(家賃、医療費、交通費、教育費などが必要な場合)などを提供するために、大切に使わせて頂きます。
寄付金額に応じてご支援頂ける内容の目安は、以下が目処となります。
・3,500円(一世帯2週間分の食料セット一式)
・4,500円(大型毛布1枚)
・9,000円(一世帯あたりの1ヶ月の現金給付額)
JISPについて
(一社)日本インターナショナル・サポート・プログラム(JISP)は、2011年3月に発生した東日本大震災の被災者支援を契機に活動を開始し(2013年8月に団体登録が完了)、宮城県仙台市に本部を置く団体です。
当団体は、東北での支援経験を活かし、国内での災害の被災地支援(熊本地震、西日本豪雨、令和元年台風など)や、ネパール、ケニア、バングラデシュ、トルコなどにおける、被災者や難民などに対する緊急支援や開発支援を実施してきました。また、その分野は、心理社会的支援、子ども支援、水衛生、医療支援、保護など、多岐にわたります。
今回の支援活動は、JISP仙台本部と、エジプト在住のパレスチナ人コーディネーターが連携して実施します。