野生生物保全論研究会(JWCS)とは
1990年「野生生物を保全するとはどういうことか」を研究する会として発足しました。日本のNGOとしてワシントン条約締約国会議に参加するなど、日本の消費による世界の野生生物の絶滅の問題に取り組んでいます。
野生生物保全に関わる人を増やす社会教育「ワイルドライフカレッジ」の開催、ワシントン条約に関する調査提言、オンラインのラジオ番組「生きもの地球ツアー」の配信などの普及啓発,、これからご紹介するコンゴ共和国での生息地支援事業を行っています。
ゾウとの共存の難しさ、今なお象牙が売られる日本
2023年9月に世界遺産に登録された、コンゴ共和国のオザラ・コクア国立公園の入り口があるンボモ村は、近年ゾウによる農業被害が激しく食糧不足になるほどでした。
この村に出没するゾウは、アフリカ中央部の熱帯林に生息するマルミミゾウ(シンリンゾウ)です。象牙のために乱獲され、国際自然保連合(IUCN)レッドリストでは「深刻な危機(CR)」です。象牙の国際取引は禁止されていますが、マルミミゾウの象牙はサバンナゾウに比べ緻密とされ、日本では最高級品として今も売られています。
2023年10月には、村人がゾウの密猟で逮捕される事件が起きました。象牙の需要は村人の人生を狂わせてしまいます。ゾウの保全とともに、自然と調和した持続可能な生計の確立が求められています。 (詳しくは「保全活動としての生計支援を考える」をご参照ください)
受講希望者が続々の養蜂教室を継続させたい
新たな生計として、ゾウによる被害のリスクが少ない栽培期間の短い作物の導入や、観光客向けの土産物づくりなどいくつか試した中で、最も村人から支持されたのが養蜂でした。また同じアフリカでもサバンナではゾウを追い払うためにミツバチを利用していますが、熱帯林地域ではミツバチの生態の違いから成功していません。この地域で養蜂は可能性を秘めた技術なのです。
ンボモ村で唯一の養蜂家・オンブエレ氏を講師に迎え、2022年度は室内で講習を、2023年度は巣箱を使っての実習を行いました。村人の養蜂に対する関心は高く、最初に登録した受講生に加え、養蜂教室のうわさを聞きつけて参加する村人が何人もいました。
アフリカミツバチの養蜂は、二ホンミツバチと同様に野生の群れを巣箱に取り込むところから始まります。また村の木工所では巣箱を作ったことがないので指示通り作れなかったり、コンゴ国内では養蜂道具や専門書が手に入らなかったりと、日本からの応援があればうまくいきそうなことがたくさんあります。
受講生も講師もこの養蜂教室に希望を持っているにもかかわらず、資金難にために終了してしまうのは無責任で、心が痛みます。せめて受講生がハチミツの収穫まで学べるよう、ご支援をお願いします。
コンゴ共和国からのメッセージ
養蜂講師 オンブエレ・レネ
私は国立公園のスタッフとして1993年に養蜂の研修を受けて以来、現在まで細々と養蜂を続けているンボモ村で唯一の養蜂家です。一緒に研修を受けた仲間はみなやめてしまいました。私も、村がある国立公園南部から北部へ転勤になってしまったため、巣箱を増やして蜂場を発展させることができずにいました。それが今回ミコから養蜂教室の話を聞き、私としても、ンボモ村で私のように養蜂技術を身に付ける人が増えるのはいいことだと思いました。村人たちに教えることになって、改めて私自身も復習したり新たに勉強することもあります。
養蜂はオザラの豊かな森の恵みを利用して収入を得ることができる、魅力的な仕事です。しかも毎日毎日仕事をしなければならないわけではなく、副業に最適です。
将来への展望として、日本の養蜂家との交流や、蜂蜜だけでなく、蜜蝋を使ったろうそくや石鹸などの加工品、プロポリスの採取などの新たな技術を、日本からの応援で習得できることを期待しています。
現地スタッフ ミコ(萩原幹子)
私は2004年にまるまる一年間をンボモで過ごし、仕事であったゾウの畑荒らし問題調査以外に、村人たちのあらゆる活動を見て回っていました。そこでオンブエレ氏の養蜂活動を知り、とてもやる気にあふれた、そしてとても養蜂という仕事を愛している人だな、という印象を持っていました。当時から彼は養蜂を発展させるための援助を探していたのです。
そして2021年にまたゾウの畑荒らし問題でンボモ村に戻ってくることになり、彼と再会すると、まだ養蜂への熱意は変わっていませんでした。そこで、もし彼がいなくなったらンボモ村から養蜂家がいなくなってしまうのはよくない、と思い、養蜂教室を発案したのです。
私もアシスタントも一緒に先生から学びながら教室を実施しています。受講生たちは10代から70代まで、みなやる気に満ちています。村人たちはミツバチのことをとても怖がるのですが、女王バチを探す実習を経て、受講生はみなミツバチへの恐怖がなくなりました。
まずはンボモ産のおいしい蜂蜜を安定的に生産できるところまで皆に学んでほしいと思っています。
寄付金の使い道について
巣箱がたくさん必要です 一式・送料込4千円×80箱
野生のミツバチが巣箱に入るように、村の周辺のあちこちに待ち受けの巣箱を置きます。たくさん置けば、それだけミツバチの群れを得られる可能性が高まります。そして巣箱に入ったミツバチの群れが大きくなると、巣箱を重ねて、蜜をたくさんためることができるようにします。現在受講生は16名。親子や夫婦での参加があるので、10班に分けます。1班あたり2段重ねの巣箱を4つ管理することを目指しています。(写真:作業服の試着に集まった受講生と待ち受けの巣箱)
採蜜をする倉庫兼作業小屋が必要です 小屋25万円 机といす8脚2万5千円
ンボモ村の台所には壁がありません。巣からハチミツを取り出す作業をしていると、匂いでハチが集まってしまいます。そのため蜜をしぼる作業をしたり、養蜂用具を保管する倉庫兼作業小屋が必要です。小屋は現地の土を焼いて作るブロックを使います。設置場所は講師が無償で提供します。(写真:ンモボ村の台所と寝室)
養蜂用具を届けなければなりません 出張費3万5千円×3回
村には食品や日用品を売る店はありますが、養蜂に使う用具や資材は約740キロ離れた首都のブラザビルや日本で購入し、届けなければなりません。首都から村までのバスは週に1便で1日半かかります。雨期に入って傷んだ道がぬかるんだため、最寄りの町から村までの65キロが運休してしまいました。ますます資材の運搬が困難になっています。(写真左:村の商店 右:村に続く道がえぐれた)
きちんと事業を行うために人件費が必要です 講師3万円×年6回 アシスタント2万円×12か月
講師のオンブエレ氏はオザラ・コクア国立公園の北部の村に単身赴任中で、南部のンボモ村に休暇で帰ってきたときに養蜂教室を開催しています。そのため年に6回の講習を予定しています。それに加え「ミツバチ愛」にあふれるオンブエレ氏は、受講生からの質問をいつでも歓迎しています。
アシスタントのマビカさんは村で農業を営んでいます。講師が村にいないときに実習用の巣箱を見回ったり、電話を持っていない受講生に講習会の日時を伝えに行ったりします。村にアシスタントが在住していることは、この事業に対する村人の信頼につながっています。村人からハチの巣に関する情報が寄せられることもあります。(写真:巣箱を見回るマビカさん)
移動にオートバイが必要です ガソリン代6千円×12か月 メンテナンス4千円×12か月
村での移動手段は徒歩かオートバイです。待ち受けの巣箱は村周辺の畑のわきなどあちこちに設置するため、見回りにはオートバイが必要です。そして道が整備されていないので、ぬかるみにタイヤを取られて転んだり、部品の傷みが早く、故障しやすいのです。(写真左:マビカさん 右:畑の中の道)
以上に養蜂道具の追加など諸経費6万円を加え合計130万円必要です。ネクストゴールまでご寄付をいただければ、講習をもう1年続けることができます。ご協力をお願いします。
リターンはありませんが、税の優遇措置が受けられます
このクラウドファンディングは返礼品がありません。ご寄付によってどのような活動ができたかをメールでご報告します。
なお、当団体は認定NPO法人のため、寄付金は、所得税、住民税(※東京都など自治体による)、相続税の優遇措置が受けられます。
個人 最大で(寄付金額-2000円)×(所得税40%+住民税10%※上記)が減税されます
法人 損額算入限度額の枠が拡大されます
相続人 寄付をした相続財産が非課税になります
このラベルを張ったはちみつが売れるまでがんばります。ご支援をお願いします
和訳:オザラの自然とともに はちみつ ンボモ養蜂教室 これらはンボモの子どもたちが描きました
イラスト:時計回りに ハタオリドリ ゴリラ マルミミゾウ センザンコウ 薪を背負う女性