神奈川県立音楽堂は、日本で初めての本格的な公立音楽専用ホールとして1954年に開館しました。ロンドンのロイヤルフェスティバルホールをモデルに、最高の音響効果をあげるように設計された空間は、壁面がすべて木で作られ、開館当時『東洋一の響き』と絶賛されました。日本の戦後音楽演奏史の一角を担ってきたこのホール独特の響きは、今でも人々に感動をあたえ、県民の活動の場とし親しまれ続けています。戦後モダニズム建築の巨匠・前川國男によるデザインは、令和の時代その存在感を顕しています。モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織 “DOCOMOMO Japan” による、「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」にも選ばれた県立音楽堂は、令和3年8月、隣接する県立図書館と合わせて県指定重要文化財に指定されました。