少子化・若者流出・体験格差…宮古の子どもたちを取り巻く課題
宮古市では少子化に加え、4年制大学がないため、高校卒業と同時に多くの若者が市外へと進学・就職し若者の社会減が進んでいます。
さらに、都市部と比べて教育や体験の機会が少なく、「体験格差」が広がっています。
体験は、ただの思い出づくりではありません。
新しいことに挑戦して芽生える好奇心、やり遂げたときの自己肯定感、仲間と協力して乗り越える力やあきらめずに続ける力――こうした数値では測れない力(非認知能力)は、子どもたちが将来、自分らしく生きていくために欠かせないものです。
震災直後からは全国的な助成金によって、私たちはこうした体験や居場所を継続的に提供してきましたが、その多くが数年以内に終了します。
これまで積み上げてきた子どもたちの成長の場を次の世代にもつなげていくために、安定した財政基盤が今、必要です。
子ども・若者が「望む未来を自ら創る力」を育む拠点
NPO法人みやっこベースは「宮古で育つすべての子ども・若者の人生が豊かであること」を目的に、「今の暮らし」の充実と「望む未来を自ら創る力」を育むことを目指して活動しています。
対象は未就学児から若手社会人までと幅広く、居場所づくり・自然体験・社会体験・探究学習など、11の事業と18のプログラムを展開しています。
活動拠点の「みやっこハウス」は、商店街の一角にある、木の温もりが感じられるカフェのような空間。学校でも家庭でもない“第3の居場所”として、放課後に宿題をしたり、友だちやスタッフと語り合ったり、地域の大人と交流したりする姿が日常的です。
ここでは、安心できる環境の中で、新しいことに挑戦し、自分の思いや意見を表現する経験を重ねています。
また、森・川・海といった宮古ならではの自然を活かした体験、地域の仕事や人に触れる社会体験を通じて、子どもたちは好奇心や挑戦心、自己効力感を育んでいます。
子どもたちの成長を後押しする活動は、これまで、全国の皆さんからのご寄付によって支えられてきました。そして、その成長は一過性の活動では育むことはできず、末永く私たちがこの場所を開いていけることで次の世代への循環が生まれると考えています。
こうして生まれる小さな成功体験の積み重ねが、将来の進路や地域での活躍へとつながっています。
これまでの12年の歩みと、未来への循環
みやっこベースは、子ども・若者や地域の声に応えながら事業を広げ、体験活動や社会人研修、親子支援、不登校支援など多様な取り組みを展開してきました。こうした歩みは、地域内外からも高く評価され、内閣府「子どもと家族・若者応援団表彰」や復興庁「新しい東北」復興・創生の星顕彰、全国の地方新聞やNHK、一般社団法人共同通信社が主催する第15回地域再生大賞「優秀賞」など、数々の受賞にもつながっています。
活動を経験したOBOGのUターンは20人以上。そのうち4人が現在スタッフとして参画し、「育った若者が、次の世代を育てる」という人と学びの循環が、この地域で着実に根づいています。
【主な実績・事業展開】
2011年 東日本大震災から3ヶ月後、代表・早川が宮古に移住し、現地高校生の声から想いを形にする活動がスタート
2013年 活動の原点となる任意団体「ユースみやっこベース」を設立
2014年 商店街の空き店舗を活用し、誰でも立ち寄れる拠点「みやっこハウス」を開設
2015年 NPO法人化し、「NPO法人みやっこベース」に。
高校生・大学生向けの「地元修学旅行」開始
2016年 小学生向けの街づくり体験「みやっこタウン」開始
2017年 新社会人合同研修「ルーキーズカレッジ」開始
2018年 「IWATE実践型インターンシップ」開始
2019年 東日本大震災の復興に貢献した団体として「復興大臣感謝状」受賞
2020年 宮古北高校「総合的な探究の学習」のコーディネート開始
2021年 「子どもと家族・若者応援団表彰(子ども・若者育成支援部門)」内閣府表彰
2022年 「新しい東北」復興・創生の星顕彰
2023年 みやっこハウスのリニューアル実施。
2024年 親子支援事業「みやこっこ」を新たに立ち上げ
2025年 「第15回地域再生大賞」において優秀賞を受賞
不登校支援事業を開始
みやっこベースを利用する子ども・保護者の声
・友達が楽しそうにしていたのでみやっこハウスに来るようになりました。企画や楽しいことを考えたり、イベントチラシを作ったりして過ごしています。1人で静かな時と、みんなでワイワイする時があります。小学生を対象に、みやっこハウスで「フレンド大交流会」を自分で企画して開催したときは、「楽しかった」って言ってくれた人がいてうれしかったです。(小学4年生)
・高校1年生の頃は宮古が嫌いだったけど、地域活動部や地元修学旅行などを通して宮古のことが大好きになり、今は離れたくなくなりました。進学で一度は離れることになりますが、すぐ宮古に帰ってきたいと思っています。(高校2年生)
・私が子どもの頃は遊ぶ場所には全く苦労しませんでしたが、今の子どもたちはなかなか大変だなと思っておりました。そんな中、「場」を提供していただいているおかげで、子どもたちも私たちも本当に助かっています。他の学区の親御さんにお話しすると「羨ましい!」とよく言われます。(小学生の保護者)
この町に、希望のバトンを渡し続けるために
中学3年生で東日本大震災で被災した私は「宮古の役に立ちたいけれど、なにをしたらいいのか分からない若者」の一人でした。そんなモヤモヤを抱えていた時出会ったのが、みやっこベース。高校生の立場で宮古の未来を考えること、地域活動をすることに今まで感じたことのない充実感を味わい、「将来、私が受けた恩を恩返したい。さらに次の世代に恩送りしたい」と決意しました。進学・就職で一度宮古を離れましたが、2022年にUターンし、念願のみやっこベースの職員に。そんな私も気がつけば1児の母親になり、UターンしたみやっこベースOBOGとともに働き、宮古での暮らしを楽しんでいます。今後も、"みやっこベースで育った若者が宮古を支える”という希望の循環が続くよう尽力したいと思います。
現スタッフ・みやっこベースOG 八島彩香
2011年6月に初めて宮古を訪れた時から、気づけば14年が経ちました。当時、一人のボランティアとして「宮古の復興のために、よそ者の自分に何ができるだろうか」と、四六時中考えていたことを思い出します。「復興の先のより良い地域づくり」のために地元の若者が活躍すること、そのために高校生までのうちに地域で活動する機会を作っていくことが重要だと考え、みやっこベースを立ち上げました。
団体設立から12年、法人化して10年が経ちましたが、様々な方々の力を借りながら何とか活動を続けてこられました。当時の高校生がスタッフになり子どもの成長を支えるという、想像もしていなかった嬉しいシーンを見ることができています。
昨今、社会や地域の課題はますます増えています。その中でも、今ここにいる子どもたちが幸せに生きることができる地域を作り続けていきたいと考えています。
どうか、あなたの力を貸してください。「子どもたちの今と未来」、そして「宮古の未来」がより良いものになるように、「未来へのバトン」を一緒に渡していけたらと願っています。
理事長 早川輝
あなたの寄付が、宮古の未来を動かします
いただいた寄付は、以下の活動費として大切に使わせていただきます。
・みやっこハウスの運営費(家賃・光熱費・スタッフ人件費)
・子ども・若者向け体験活動の材料費や保険料
・高校生や若者の地域活動支援の企画運営費
・親子支援事業の企画運営費
継続的な寄付は、子どもたちの居場所と成長の場を守るための大きな力となります。