子どもが病気だから、
親はがんばって当たり前
不安定な子どもの容体とケアに、24時間神経を張り詰める日々。子どものベッドの片隅に小さく丸まって眠る睡眠環境、院内のコンビニで慌ただしくすませる食事。
経験者しか知らなかった「付き添い入院」は、知られざる社会課題でした。
キープ・ママ・スマイリングは、医療制度のはざまに落ちた「小児病棟の付き添い環境の過酷さ」という課題に、2014年から向き合い続けてきた認定NPO法人です。
子どもが病気だから親はがんばって当たり前。そう思い、自身の心身の不調に目をつむり、子どものためにひたすら耐える親たちは、自らの環境の過酷さに声をあげることすらできずにいました。
付き添いを経験したご家族の声
「食事は3食、院内のコンビニの弁当やカップ麺。子どもが寝たすきにダッシュで買いに行った」
「子どものベッドに添い寝するしかなかった。体が痛く、常に寝不足」
「24時間、息つく間もない。シャワーすらまともに使えず、体を拭くだけですませていた」
始まりは一食のごはん
すこしでもホッとしてほしかった
私たちは、2014年の団体設立以来、入院中の子どもに付き添うご家族を支える活動を行ってきました。
その原点となったのは、理事長・光原ゆきの付き添い体験です。
先天性疾患をもつ長女・次女を相次いで出産し、その直後から通算1年にわたり6つの病院で付き添い入院を経験しました。過酷な付き添い環境の中、自身も体調を崩し倒れたとき、周りを見渡すと自分と同じように心身を疲弊した親たちの姿がありました。
次女の急死により付き添い生活を終えた2014年11月、団体を設立し、入院している子どもに付き添う家族を支える活動をスタートしました。
「娘がいたからこそ自身が知り得たことで、何かの役に立てれば、それが彼女が生まれた意味になるのではないか」、その想いが団体の設立を後押ししました。
2015年、ドナルド・マクドナルド・ハウスに滞在するご家族への食事の提供を開始し、「おいしいごはんで応援する」活動は、現在まで続く団体の活動の柱となっています。事業開始以来、累計8,400食以上の食事をご家族に届けてきました。
「あなたはひとりじゃない」
1万5000人に届けてきたメッセージ
2020年、コロナ禍で付き添い家族の外出や交代が制限され、親同士のコミュニケーションも制限されるなど、小児病棟の付き添い環境は一層過酷さを増しました。
その年の10月、長期間病院に泊まり込んで子どもの入院に付き添うご家族に、食品や生活用品などを詰め合わせた「付き添い生活応援パック」を無償配付する事業を開始しました。
この事業をきっかけに、団体の活動は全国規模に拡大していきました。
応援パックやお弁当を受け取ったご家族の声
「不安と恐怖で押し潰されそうな日々で、数日間、何も口にできなかったときに、病室に届けていただいたお弁当を見て「あ、きちんと食べなきゃ…」と思いました」
「子ども中心で、自分のことはすべて後回しにしている中で、親のことを気にかけてもらえたことが何より嬉しかったです」
「お弁当を食べながら涙が出てきました。明日も子どもに笑顔で会いにいきたいです」
付き添いの日々の過酷さの中で、たった一食や一箱の支援がもつ力は限られています。
ですが、私たちがそれらを通じてご家族に伝えたいのは「あなたは決してひとりじゃない」というメッセージです。
団体設立から10年で支援したご家族の累計数は、1万5,000人を超えました。
一つひとつのお弁当や段ボールには、付き添い家族を想い、キープ・ママ・スマイリングの活動を支えてくださる多くの人々の想いが込められています。
もう同じ思いをしてほしくない。
3643人の声が国を動かす
キープ・ママ・スマイリングは、今まさに困っているご家族への直接支援だけでなく、付き添い入院環境そのものの改善に向けた働きかけにも取り組んでいます。
2022年、付き添い問題の抜本的な解決を目指し、過去5年間に子どもの入院に付き添ったご家族を対象とした大規模調査を実施しました。
本調査には、付き添い生活応援パックを受け取ったご家族を中心に、3,643人もの方から回答が寄せられました。その背景には、「もうこれ以上、自分と同じ思いを味わって欲しくない」という付き添い経験者の切実な願いがありました。
2023年6月、労働提供型の付き添いが常態化していること、親が安心して付き添うための環境整備が遅れていることなどを明らかにした調査結果を、「入院中の子どもに付き添う家族の生活実態調査2022」として発表しました。
同時に、子ども家庭庁や厚生労働省に要望書を提出し、それをきっかけとして国による実態調査や検討会が開始されました。国の検討会には理事長の光原も委員として参加し、付き添い経験者の立場から小児医療関係者との対話を重ねました。
30年変わらなかった付き添い環境
重い扉を、開くときがきた
小児医療は、この30年で劇的に進化し、これまで救えなかった命が救えるようになりました。一方で、付き添い環境はこの30年間、ほとんど変わらず過酷なままでした。
2024年、3,643人の当事者の声が国を動かし、付き添い環境の根本的な改善に向け大きな一歩が踏み出されました。
令和6年度診療報酬改定で、付き添い者の食事と睡眠の配慮をすることが病院側に求められ、保育士や看護補助者の配置に加算がつくことになりました。そして、付き添い環境改善のバトンは今、国から医療機関に渡されました。
2024年が「付き添い環境改善元年」となったことは間違いありません。しかし、人手も財源も厳しい病院の力だけで環境改善が容易に進むことはなく、これまで以上に関係者の連携や協力が求められています。
すべての付き添い家族に、
支援の手を
2024年、キープ・ママ・スマイリングは小児病棟などに泊まり込んで付き添うご家族に加えて、病院のルールや家庭の事情により、長期にわたって遠方から面会に通うご家族への支援を開始しました。
片道2時間を超える移動、交通費などの経済的負担、心身の疲労の蓄積など、面会付き添いにも特有の課題があることがアンケート調査から分かってきました。
さらに、緊急入院や短期入院に付き添うご家族に対して、食品や歯ブラシ、付き添い生活のハンドブックなどを詰め合わせた「付き添い生活応援パックLite(ライト)」を無償配布する事業もトライアルとしてスタートしました。
子どもの入院のほとんどは、緊急入院です。突然の出来事で不安と疲弊の中にいるご家族を、物心両面で支える活動も行っていきます。
1年間に入院する子どもの数は
80万人〜100万人
厚生労働省が発表する患者調査によると、1年間に入院する子どもの数は80万人〜100万人と推計されます。キープ・ママ・スマイリングは、10年間で1万5,000人以上のご家族に支援を届けてきましたが、日本全国の付き添い家族の総数からすると、まだまだ支援の手は行き届いていないのが現状です。
たとえ短期であったとしても、子どもの入院は家族にとっての一大事です。私たちは、誰ひとり取り残さず、支援を必要とするすべてのご家族に寄り添う存在でありたいと願っています。
私たちが目指す姿
「安心して付き添えて、任せられる」
私たちが目指すのは、安心して付き添えて、安心して任せられる入院環境をつくることです。
病気の子どもがいつでも親と一緒に過ごせる入院環境を保障されていることは、子どもにとって大切な権利です。同時に、親が付き添うことは、子どもの早期の回復や成長にとって大切なことだと私たちは考えています。
しかし、なかには、さまざまな事情から子どもの入院に付き添うことができないご家族もいます。
付き添う/付き添わないが選べること、付き添えない場合には、安心して医療者に任せられ、親子がいつでも触れ合える環境が整えられていることが付き添いのあるべき姿だと考え、その実現を目指しています。
2024年8月に日本小児科学会が発表した「入院しているこどもの家族の付き添いに関する見解」でも、同様の見解が示されました。
みんなで力を合わせれば、
付き添い環境は変えられる。
キープ・ママ・スマイリングは、10年にわたり「付き添い入院」という社会課題に向き合ってきました。その中で確信しているのは、「付き添い環境は変えられる」ということです。
それは、私たちの力だけでできることではなく、入院中の子どもとご家族を中心に、医療関係者、病院、地域の人々、企業、支援団体などが力を合わせて、初めて実現できることです。
一人ひとりのご家族に寄り添い、
声なき声に耳をすます
その中で、私たちキープ・ママ・スマイリングの役割は、一人ひとりのご家族に寄り添い、その声なき声に耳をすましつづけることです。
現在、「付き添い生活応援パック」の申請数は毎月250〜300件に上ります。お届けする食品や日用雑貨の多くは、企業からのご寄付によって成り立っていますが、商品の購入や梱包、郵送代などに1箱あたり3,000円程度の費用がかかっています。
また、トライアル事業としてスタートした緊急入院のご家族向けの簡易版パックも、予想を上回るスピードで配布が進んでいます。さらに、2025年1月からは、面会支援も本格スタートします。
日本全国のご家族を支えていくには、
継続的なご支援が必要です
そのため、月々1,000円からの継続的なご寄付で活動を支えていただけるマンスリーサポーターを募集しています!
マンスリーサポーターとは?
マンスリーサポーターは、月々1,000円からのご寄付で、活動を支えていただく仕組みです。
子どもの入院に付き添うご家族を想うお気持ちをご寄付としてキープ・ママ・スマイリングに託していただくことで、日本全国の付き添い家族を、安定して支援することができます。
皆様からのご寄付は、
このように役立てられます
今日もまた、日本全国で付き添い生活をスタートさせるご家族がいます。より多くの皆様にマンスリーサポーターとしてご参加いただくことで、これらの活動を絶え間なく安定的に続けていくことができます。
「寄り添う支援」と「仕組みづくり」
食品や日用品によるご家族への直接支援 | 付き添い生活に役立つ情報による支援 |
社会への働きかけ(啓発キャンペーン) | 調査・政策提言、国や病院への働きかけ |
そして何より、子どもの入院に付き添うご家族のことを想い、寄付で応援してくださる方々の存在そのものが、ご家族の笑顔を支える大きなパワーとなります。
※ご寄付は、団体の運営費を含む、キープ・ママ・スマイリングの支援活動全般に大切に活用させていただいきます。
2024年5月 認定NPO法人に
より一層、信頼される組織へ
2024年5月21日、キープ・ママ・スマイリングは活動の公益性や適切な団体運営、広く一般の人々に支持されていることが東京都から認められ、認定NPO法人になりました。
それにより、個人・企業の皆様からのご寄付に、税制優遇が適用されるようになりました。(詳細は、よくいただくご質問をご覧ください)
今後はより一層、皆様に信頼される団体となることを目指し、事業の強化ともに、活動を支える組織・人員の基盤強化にも取り組んでまいります。
【主な受賞歴】
・令和6年度「健やか親子21 内閣府特命担当大臣表彰 最優秀賞」受賞
・2024年 Forbes JAPAN 12月号 「今注目のNPO50」に選出
・2023年「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」受賞
・2021年 欧州製薬団体連合会「第4回PASE AWARD大賞」受賞 など
【直近のメディア掲載実績】
NHK、読売テレビ、フジテレビ、日本テレビ、読売新聞、朝日新聞、東京新聞、共同通信、Yahoo!ニュース ほか多数
期間限定で
オリジナルグッズをプレゼント!
2024年12月31日までに、マンスリーサポーターにお申込みいただいた方に、もれなくオリジナルのクリアファイル(非売品)をプレゼントします。
- 入会時:入会記念オリジナルクリアファイル、お礼状、団体紹介資料を郵送
- 年1回:1年間の事業活動や会計をご報告するアニュアルレポートを郵送
- 月1〜2回:月々の活動をメールマガジンでご報告
その他、キープ・ママ・スマイリングのウェブサイトや公式SNSでも活動の様子を随時発信しています。
よくいただくご質問
Q. 税制優遇の対象になりますか?
寄附金控除により、最大50%のご寄付が戻ってきます
A. 認定NPO法人であるキープ・ママ・スマイリングへのご寄付は、寄附金控除(税制優遇)の対象となります。最大約40%の所得税控除と、東京都にお住まいの方は住民税控除を合わせると、最大約50%の控除が受けられます。
Q. 毎月の寄付を止めることはできますか?
ご都合に合わせて、いつでも退会が可能です
A. マンスリーサポーターのご寄付は、いつでも退会可能です。ご都合に合わせた寄付金額の変更もいつでも可能です。
Q. 毎月の寄付ではなく、今回だけ寄付したい場合はどうしたらいいですか?
A. 単発のご寄付は、こちらから承ります。継続的なご支援をいただくことで、子どもの入院に付き添う家族をより安定的に支える事業運営が可能になります。ぜひ、マンスリーサポーター(継続寄付)へのご参加をあらためてご検討いただけますと幸いです。
月1,000円からのご支援で
付き添い家族を支えてください
「おいしいごはんで、すこしでもホッとしてほしい」。その一心ではじめた、子どもの入院という一大事の中にあるご家族を支える取り組みは、2024年11月で丸10年となります。
一食のごはんの提供にはじまった活動は、ご家族への物資や情報による支援、社会全体への働きかけ、調査や国への提言へと活動の幅を広げ、2024年は「付き添い環境改善元年」とも言える大きな一歩を踏み出しました。
これもひとえに、付き添い家族を想い、キープ・ママ・スマイリングの活動を支えてくださった皆様のおかげと厚く感謝申し上げます。
しかし、付き添い環境の真の改善に向けた道のりはまだ半ばです。
本当に付き添い環境が良くなったと実感できる日まで、キープ・ママ・スマイリングは、今まさに困っている一人ひとりのご家族に寄り添いながら、付き添い環境の改善に向けて、皆様とともに一歩一歩あゆみを進めてまいります。