心身に傷を負ってコンパスナビにやってくる若者たち
◯「これからどこにいけばいい?」若者のホームレス問題
「児童養護施設退所後に就いた仕事は寮付きでした。
もともと好きな仕事ではなかったこともあり、人間関係がうまくいかず、2週間で退職してしまって寮を出されてしまいました。
友だちのところに居候しましたが、関係が悪くなって追い出され、ネットカフェで1週間過ごしましたが、今手持ちの現金が2000円しかありません。
一昨日からは公園で野宿しています。」
◯未成年の妊娠・出産・DV
「同居している彼からのDVから逃げてきました。
埼玉の祖母を頼ろうと思って出てきましたが、生活保護受給中の祖母は歓迎してくれません。もしかしたら妊娠しているかもしれないけど、バイトも解雇されてお金も全くなくて、どうしたらいいかわかりません」
◯家庭内の問題での逃避
「まだ肌寒い春の金曜日の15時。身を守るために選択肢を考える状況でないまま、
わずかな手回り品だけを持って安全を求めて家を飛び出した17歳女性。
帰るべき場所がなく、手元にはわずかな所持金しかない。
向かい合うコンパスナビのスタッフの問いかけに短い言葉をやっと絞り出すようにして現況を説明する。
日が西に傾き始め、時間は無情に過ぎていく中、選択肢はどんどん少なくなっていく。
今日明日の避難先を何軒も当たるコンパスナビスタッフ。このまま家に帰すわけにはいかない、どうしたらいいのか。つてをたどってコンパスナビに来たものの、支援者に繋がるその手は信じていいものか、これからどうやって生きていけばいいのかとの不安、絶望、焦燥感はいかばかりか。しかし頼るところはない。必死の思いに耐えて今ここに座っている。」
社会的養護出身者たちの困難
「社会的養護」とは、保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことです。
つまり、親に代わって社会が子どもを育てるしくみのこととお考え下さい。
現在約41,200人の児童が社会的養護のもとで暮らしています。
近年、ニュースでも頻繁に伝えられている親による子どもへの虐待が大きな問題になっていますが、
現在では児童養護施設に入所する児童の約6割が「虐待」を経験しており、この割合は年々増加しています。
知的・精神など、何らかの障害を抱えていること、一般家庭に比べて進学の割合が低いことも指摘されています。
さらに児童虐待相談対応件数は約208,000件。うち施設等へ入所した児童は約4,400人。
ほとんどが問題を抱える家庭に戻されています。
そして多くの児童は18歳の年度末で、施設や里親家庭等を巣立っていきます。しかし大半は親元に帰ることができずに進学・就職し、衣食住のすべてを自身の力で賄っていくことを求められます。
施設等退所後は、約6割が就職します。しかし2年後までに離職してしまう人は全高卒者と比較すると高い割合となっています。またせっかく進学しても中途退学する例も少なくありません。
施設等にいる間は明るく成績優秀で、職員も安心して送り出したものの、退所後一人暮らしを始めた途端に精神的に不安定になり、退職または退学。中には元々の発達特性から二次的な精神疾患を発症し、そのまま引きこもり状態になってしまうケースも少なくありません。
虐待を受けた若者の後遺症は、私たちが想像するより、当事者に重くのしかかり、そしていつまでも長い苦しみが続きます。
人間関係がうまくいかない、自己肯定感が極めて低い、他人と自分を比較して「どうして自分だけ・・」と絶望的な気分になる、虐待のフラッシュバック等々、精神的な不調、生きづらさや困難を抱え、社会でうまく生活していけない若者が多くいます。
コンパスナビは、つまずきが重なって再スタートに踏み切れない若者の「就労」「社会参加」に注力しています
【コンパスナビは若者たちが陥るさまざまなトラブルに対応しています】
ホームレス、借金、ネットトラブル、パパ活・風俗、妊娠、精神的な不調などに、多くの支援団体、民間、行政と連携して幅広い支援を行っています。
埼玉県内はもちろん、関東圏内、また他県から埼玉に来ている若者等、支援の対象は広くなっています。
また,仕事を失った若者が再び仕事に就き、今度こそ喜びや達成感を得られる生活に戻れるようにと、就労支援に特に力を入れています。
「就労協力企業」は現在では70社ほど。住居がない者には会社名義でアパートを用意してくださり、根気強く社会人教育や生活サポートをしてくれる企業ばかりです。
○就労協力企業様の例(コンパスナビHPにリンクします)
・株式会社地産智生 様
・株式会社コープデリフーズ 様
・株式会社月山架設工業 様
高校を中退後、アルバイトもなかなか続けることができなかった若者が、就労協力企業に正社員採用されてからは当人の努力と、当団体が企業と当人の間をつなぐ見守り支援により、数年で会社の戦力となって、今や立派な社会人となっている事例もどんどん増えてきています。
また現時点で就労が難しい若者には、医療機関や就労移行支援事業所などの適切な支援機関につなぎ、安定してきた場合には少しずつ他者との交流や社会参加ができるようになるように支援。状態をみながら少しずつ簡単な作業アルバイトに参加してもらっています。
たくさんの若者たちが私たちを頼ってくれています
また,多くのメディアのみなさまに,私たちの活動をご紹介いただいております。
○2022年度メディア掲載実績:43件
メディア掲載例(外部サイトにリンクします)
・日本放送協会様 児童養護施設経験の若者が支援団体紹介サイト
・朝日新聞社様 児童養護施設で育った僕、仲間と作ったサイトに託す「頼る先知って」
・東京新聞社様 仲間と共に蜂蜜作り 児童養護施設出身の若者らアルバイト 草刈りから販売まで さいたま・支援団体事業
○2023年度外部講演会登壇実績:82件
・日本福祉大学様
・東京中小企業家同友会様
・埼玉県社会福祉協議会様
・十文字学園女子大学様
・川口市教育委員会様
・社会福祉法人鳥取こども学園様 など
コンパスナビ支援員「私たちが伴走型の支援を行っています!」
(画像は面談のイメージです)
助けを求めてくれた若者を諦めたくない。機動力を持って若者に支援を届けるためにご支援をお願いします。
- 借金・ネットトラブル、パパ活・風俗、妊娠、家族との不和などで若者がコンパスナビに助けを求めに来るのは、行政窓口が閉まっている夜間、土日などが多いです。
- また、所持金数百円といった一文なしの状態で相談に来る例が多い現状です。しかしこうした若者は「社会的養護」の定義・範疇を外れており、使途の決められた行政の委託料、各種民間助成金だけでは機動力をもって対応できないという実情があります。
みなさまからのご支援をもとに,制度の狭間からこぼれ落ちる若者をもっと救いたいと考えています。 - いただいたご寄付は
- 行き場所のない若者の一週間の宿泊費、交通費、食費などをしのぐための原資
- 一時的な緊急避難先の家賃,光熱費
- ソーシャルスキル等の自立に必要な能力を高めるためのセミナー等実施費用
- 行政手続きやその同行に必要となる費用
- 就労のための会社見学,面接,引っ越し等に必要となる費用
- 就労・自立後の定期的・臨時の見守りに必要となる費用
- その他,団体・事務所を維持するために必要となる費用
等に充当します。