海沿い、河川沿いに暮らす人々の生業が壊れました
都市部近郊スクウォッター地域では日銭を稼ぐことが困難な状況です
私たちのセブ事業地はセブ市の南に位置するタリサイ市海沿いのドゥムログ村です。近年中流階級向けの住宅開発が進み、入り口にガードマンが立ち周囲を高い塀で囲んだサブディビジョン型住宅が海沿いにあります。この開発で、もとから生活していた土地のない貧困層の人々が、住宅地の壁の外側に追い出されました。「壁の外側」というのは海辺や河川沿いです。今回流された約500世帯のうち約200世帯はまさにこの海辺に暮らすパガトパット地区です。
この地域は漁師やドライバー(自転車やバイクタクシー)として日銭で生活していた人々が大半です。漁のための小舟は壊れ、修繕にかけるお金の工面に頭を抱えている状況です。ドライバーたちの自転車やバイクは残ったということで、被災して避難所の設置を自らが行いながらも仕事にもどらざるを得ない状況もあるそうです。


また、被災し家屋が流された500世帯のうち300世帯は、河川沿いの橋の下に生活するホープ地区は、元廃棄物投棄場所(ダンプサイト)でもあり、洪水リスクなどが高いことから、今回の被災をきっかけに区画整理対象となるようです。再居住区をあてがわれ、もとの場所に戻らないよう指示がでているそうですが、まだ居住区の準備中でもあり、実際の動きはありません。再居住区は山側の村になることが決まっており、これまでの川沿いでの生活環境とは大きく異なり、今までと同じ仕事はできないことをみんなが不安に思っています。ドライバーやセブ市内の建築現場での出稼ぎ労働をしていた人々にとって山側は、自転車タクシーなどもないし、セブ市内への出稼ぎアクセスも悪いということです。
このホープ地域は元ダンプサイトなので、現在の移転先の市のダンプサイト地域でごみの換金をしてなんとか生活する人々とつながりがあります。仕事がどうしても見つからず困窮する場合、ダンプサイトで換金できるものを探すことが選択肢の中に入ってきてしまう可能性も懸念しています。ダンプサイトではこうした災害などで地方に住む場所がなくなり、たどりついた人々が必死に生活していることもままあります。
台風が小さな島での海藻栽培継続を困難にしています
ボホール事業地アルマー島の人々は、全員が海藻農家です。海藻は年3回の収穫を見込んで種付けをし遠浅の海で養殖しています。今回の台風による強い風雨で、また海藻が流されました。
じつはほとんどの人々が収穫したら返金するという約束で、借金をして種付けをしているため、収穫できなくなると借金だけがふくらんでいく状況があります。
また年3回しか収穫機会がないため、今回の収穫がなくなるとしばらく困窮した生活に耐えなければなりません。
ボホールは以前は周辺を島に囲まれ、内陸のおだやかな海として、海藻栽培が一大産業となっていた時代もありましたが、だんだんと南部のミンダナオのほうに海藻栽培の中心地が移り、さらに近年の気候変動の影響で内陸でも台風が直撃し海の環境が大きく変わり、人々は生業を見直さざるを得ない状況に追い込まれています。


【お知らせ】NPOハロハロ13周年記念 活動報告会
毎年12月に活動報告会を開催しています。今年は台風緊急支援そして復興支援へのお話もいたします。ハイブリッド開催でアーカイブもございますので、ぜひご参加いただき一緒にお話をしながら取り組みをともにしてくださると嬉しいです。
フィリピンと日本、人が主役のまちづくり
NPOハロハロ13周年記念 活動報告会
日時:2025年12月13日(土)19:00〜20:30
場所:港区立男女平等参画センター/Zoom/アーカイブ
WEB:https://halohalo13th.peatix.com/

