瀬戸内オリーブ基金
認定NPO法人

豊島事件の教訓を生かし、 瀬戸内の自然を次の世代へつなぐために

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瀬戸内海に浮かぶ、人口700人ほどの小さな島・豊島(てしま)。 名前の通り自然豊かな島で、棚田の風景や、スダジイの原生林が残る森など、穏やかな瀬戸内の景観が今も息づいています。近年はアートの島としても知られ、国内外から多くの人が、現代アート作品と自然をめぐるために訪れています。 そんな豊島では、かつて日本最大級の産業廃棄物の不法投棄事件、「豊島事件」が起こりました。 この出来事をきっかけに、瀬戸内の美しい自然環境を守り、再生し、未来へつなぐことを目的として、「瀬戸内オリーブ基金」が設立され、豊島を拠点に活動を続けています。

瀬戸内オリーブ基金について

瀬戸内オリーブ基金は、豊島事件の公害調停が成立した2000年に、弁護団長だった弁護士・中坊公平さんと建築家・安藤忠雄さんの呼びかけで設立されました。
「日本のふるさと、瀬戸内の自然を未来へつなぎたい」という思いから始まった、瀬戸内の自然環境の保全と再生に取り組む非営利団体です。

豊島を起点とした活動は瀬戸内一帯へ広がり、2001年に始まった助成プログラムでは、瀬戸内13府県で里山・里海を守る団体や環境教育に取り組む団体を支援してきました。これまでに 432件・総額3億円超 の助成を行っています。

また豊島では、植生回復や海岸清掃、アマモ場の観察・瀬戸内海に生息する小型のイルカ「スナメリ」を通じた海の学習など、森と海を守る取り組みを続けています。さらに、豊島事件を語り継ぐ環境教育や資料のアーカイブ化にも取り組み、次の世代へ学びを手渡す活動を進めています。

豊島事件の記憶と教訓を、未来へ手渡すために

豊島事件とは、かつて豊島に大量の産業廃棄物が不法に投棄され、自然や人々の暮らしに大きな影響を与えた出来事です。廃棄物は2017年にすべて撤去されましたが、地下水の汚染は現在も環境基準に達しておらず、自然の浄化に委ねられている段階です。基準が達成されるまでには、さらに長い時間がかかると考えられています。

けれど、この事件は「過去のゴミの問題」という枠を超え、今を生きる私たちに大切な学びを残しています。私たちの日々の暮らしが環境に影響を与えること、そして、一人ひとりの行動が社会を動かす力になることを示した出来事でもあります。

その学びは、これからの循環型社会をつくるうえで、欠かせない土台になります。

① 私たちの暮らしと地続きの出来事

大量に作り、使い、捨てることを前提とした社会の仕組みが、結果として自然を壊し、人々の生活に大きな影響を与えたという事実は、私たちの暮らしを映す鏡でもあります。豊島事件を学ぶことは、環境問題を「特別な誰かの問題」ではなく、自分たちの暮らしと地続きのものとして捉えるきっかけになります。

② 一人ひとりの行動が社会を動かすこと

豊島の人々は長い年月をかけて行政や国と向き合い、声を上げ、議論し、行動し、島の自然を取り戻しました。「誰かが何とかしてくれる」と考えるのではなく、自分たちの島を子や孫の世代へ残したいという思いで、あきらめずに取り組んできた歴史があります。

その姿は、環境問題だけでなく、何か問題に向き合うとき、一人ひとりの行動が社会を動かす力になることを教えてくれます。

③豊島が変えた、今もつながる社会の変化

豊島事件は日本の社会全体にも大きな変化をもたらしました。この出来事をきっかけに、不法投棄への規制の強化や車や家電などリサイクルに関わる法律が整備されるなど、社会の仕組みが大きく変わりました。日本全体が「循環型社会」へ向かう流れを後押しすることにもつながりました。

豊島事件の教訓を未来へ手渡すための取り組み

豊島事件の教訓を未来に残すため、瀬戸内オリーブ基金は資料の保存やアーカイブづくり、若い世代への環境教育を続けています。

不法投棄跡地にある資料館は、かつて業者が使用していた建物をそのまま活用しており、廃棄物の剥ぎ取り跡など、当時を知る重要な痕跡が残っています。実際に豊島を訪れ、資料館を見て、語り部の話を聞くことは、多くの人にとって自分の暮らしを見つめ直す体験になっています。

一方で、語り部の高齢化や資料・施設の老朽化が進み、継承のための環境整備が急がれています。豊島事件を正しく伝え続けるために、記録の保全と学びの場づくりを進めています。

呼びかけ人・安藤忠雄からのメッセージ

「美しいふるさとを子どもたちへ」

20 世紀の産業発展により、人々の生活は経済面では豊かになりましたが、環境破壊によりいくつもの負の遺産が生まれました。瀬戸内海でも、かつての美しい風景は各所で破壊されました。


失われた緑豊かな環境を取り戻すことで、この瀬戸内を、人と自然とが共存する美しいふるさととして次代を生きる子どもたちになんとか残していきたい。そんな思いを込めて、豊島の廃産問題で闘ってこられた中坊公平さんとともに、「瀬戸内オリーブ基金」を立ち上げたのは、2000 年のことです。


以来、地道に緑化活動を続けて来ました。瀬戸内海は広く世界の海につながっています。
海を美しくすることが森を育て、美しい森が美しい海をつくります。
私達が前世紀で失ったもの。
それをしっかり認識し、取り戻す努力を続けていくためにも、今後ますます活動に力を注いで行きたいと考えています。

寄付金の使い道について

いただいたご支援は、瀬戸内オリーブ基金が豊島を拠点に行っている自然再生、環境学習、豊島事件の継承、そして瀬戸内の環境団体を支える助成プログラムに活用させていただきます。


① 豊島事件の資料の保存・デジタルアーカイブ化

住民運動の記録、証言、資料、写真など、失われつつある貴重な記録を整理し、保存するために活用します。アーカイブ化を進めることで、後世の学習や研究に生かすことができます。


② 豊島事件資料館の保全・更新

豊島のこころ資料館は、不法投棄業者の事務所として使われていた建物を、住民たちが手作りの資料館として生まれ変わらせました。内部には廃棄物の剥ぎ取りなど、当時を伝える貴重な資料が展示されています。老朽化が進む中、展示の更新や施設の保全を行い、見学者がより学びやすい環境を整えます。


③ 学びの場づくりと環境学習プログラムの実施

豊島で行っている植生回復の作業や海岸清掃、アマモ場の観察やスナメリを通じた海の学びなど、森と海を守る取り組みの継続に役立てます。

また、これらの活動を生かした、子どもから大人までが豊島で学べる環境学習プログラムの運営や、教材・案内整備などの「学びの場づくり」にも活用します。


④ 瀬戸内13府県の環境団体を支える助成プログラム

2001年から続けている助成プログラムでは、里山・里海の保全や環境教育に取り組む瀬戸内各地の団体を支援しています。寄付は、こうした地域団体の継続的な活動を支える力となり、瀬戸内全体の「ゆたかなふるさと」づくりにもつながります。

豊島事件の教訓を、未来へつないでいくこと。
そして瀬戸内一帯で、里山・里海を守る人々の取り組みを支え続けること。

これらを途切れさせずに進めていくためには、多くの方の支えが欠かせません。

瀬戸内の「ゆたかなふるさと」を次の世代へ手渡していくために、みなさまのご協力をどうぞよろしくお願いします。

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