特定非営利活動法人ピープルデザイン研究所

障害者などのマイノリティの方々が"晴れの場"で活躍する「就労体験プロジェクト」を全国に広めたい!

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「就労体験プロジェクト」は、様々な理由から社会参画することが難しい、障害者をはじめとするひきこもり、ホームレス、LGBT、シングルマザー、生活困窮者、認知症の高齢者などのマイノリティの方々に、スポーツや音楽・映画などのワクワク・ドキドキするようなエンターテインメントの領域で、4時間程度の“お仕事体験”の機会を提供し、体験者には「交通費」として2,000円を支給しています。 当事業に参加することで、働くを通じて社会を学び、能動的な社会参加や就労、そしてQOLの向上や自立に向けた意欲を高めてもらい、それにより、社会参加への第一歩を踏み出す方々を一人でも多く増やすことを目的として、障害者をはじめとするマイノリティの方々と健常者の方々が、地域の中で自然に混ざり合い、肩を並べて働く場を日常的に創出していく事業です。

活動・団体の紹介

私たちNPO法人ピープルデザイン研究所は、心のバリアフリーをクリエイティブに実現する思想や方法として"ピープルデザイン"を提唱し、5つのマイノリティ(障害者/LGBTQ/子育て中の父母/高齢者/外国人)と、4つの切り口(シゴトづくり/ヒトづくり/コトづくり/モノづくり)をかけ合わせながら、多様性に寛容な共生社会の実現に向け多くの施策を展開しています。

2014年から2020年までの毎年1週間、渋谷区他との共催で展示体験イベント「超福祉展」を開催し、全7回で累計448の企業が参画し、累計30万人以上が来場しました。2021年からは渋谷区、文部科学省の共催で教育テーマの「超福祉の学校」、「超福祉の図書館」を開催しています。その他、商店街との連携イベントや、LGBT啓発の映画上映会、大学生による社会課題解決の国際交流プロジェクト等も実施し、また、官公庁や企業の研修、小中高・大学での講演や授業なども多数実施しています。

活動の背景、社会課題について

特別支援学校や福祉事業所を通じて一般就労を実現できた障害者も、就労後職場で折り合いがつかず辞めてしまう方も多いです。方や一般就労が困難な障害者は、特別支援学校等を卒業後、福祉事業所と家の往復のみという生活で、社会参加できずに一生を終えていく方が多く、働く場所のみならず依存先やコミュニティすらないというのが日本の"分けられた"福祉の現状だと感じています。そしてB型事業所の全国の月平均工賃(給料)は1万5千円程度と、金銭的にも到底自立した生活を送ることができません。

就労テーマのみならず総じて障害者が自立して生きていくための選択肢は大変限られています。また、日本の障害者雇用制度は、週20時間以上働ける人をカウントの対象としていますが、実際には心身の調子の変動や体力面から、週20時間以上働くことができない方が大半を占めています。障害者雇用が法律で義務化され、雇用率は年々上がり続けているが、未達成の官公庁や企業は未だ多く、終身雇用やメンバーシップ型雇用を前提とした従来型の雇用制度を、障害者にあてはめていることにも問題があると感じています。

障害者の働き方も多様化させていく必要がある中、当事業では一般就労でなくても、事業所に通いながら余暇でも働ける短日・短時間の障害者のアルバイト的な機会を提供し、社会参画や自立への第一歩目を後押ししていきます。

活動内容の詳細、実績について

「就労体験プロジェクト」は、2012年Jリーグ横浜FC様にご協力を頂き、横浜FCのホームグラウンド周辺の神奈川区と保土ヶ谷区の福祉事業所に通所する障がい者の方々の就労体験をコーディネートしたのがはじまりです。

その後、2014年7月、「ピープルデザインの考え方を活用した賑わいのあるダイバーシティ(多様性に寛容)なまちづくりの実現」を目指し、神奈川県川崎市と包括的な連携・協力協定を交わしたことをきっかけに、同市健康福祉局と連携しながら市内で展開を拡大してきました。
これまで川崎市内では、Jリーグ川崎フロンターレをはじめ、Bリーグ・川崎ブレイブサンダースや地元企業とのコラボレーションによる就労体験を行い、一般就労をめざす障がいのある方々を中心にスポーツや文化イベントなどでのお仕事を体験して頂いています。

川崎市内だけでも、協定締結後の2014年7月〜2021年3月までに333企画を実施。延べ参加人数は3,165名となっており、就労体験を経験した後、福祉事業所に通いながら一般就労を実現し、社会参画を果たした人数は282名にのぼります。また、一般就労ではなくてもアルバイトをスタートしたりなど、小さなステップアップも多く確認できており、社会参画や就労に向けた “モチベーション” を高める施策としても着実に成果を上げています。

さらに、今では本事業の全国展開に力を入れており、北海道旭川市・札幌市、宮城県仙台市、新潟県新潟市、埼玉県飯能市、東京都渋谷区・新宿区・港区、静岡県藤枝市、京都府亀岡市、島根県益田市など10を超える自治体で実施しています。
その中でも、川崎市や静岡県藤枝市、新潟県新潟市では、企業協賛などを獲得し、行政の補助金や助成金に頼らない運営スキームを構築し、持続可能な取り組みとして実施しています。

ただ、この取り組みを全国に広げていくにあたり、一番のボトルネックになっているのは、弊社のようにコーディネートできる中間支援組織や人材が見つからないことです。よって弊社では、各地に経験を積んだコーディネーターが出向いて伴走支援を行い、各地での就労体験を実現し、地域住民による取り組みにまで育て上げ、地域のセーフティネットワークのひとつとして根付かせていきたいと考えています。
また、全国での実施状況や課題を共有し、プロジェクトのクオリティを担保していく定期的な連携会議も開催しており、将来的にはコンソーシアムをつくることを目指しています。

代表者メッセージ

現在、就労支援事業者や、福祉事業所等が抱えている課題は、障がい当事者である利用者さん達の社会参画の機会が著しく少ないことです。 またこれまで、こうしたスポーツや音楽・映画などのエンターテイメント”晴れの舞台”においては、障がい者は常に招待されるだけでした。 実際に「働きたい!」という意欲を持った人達がいても、こうした体験の機会は、全くありませんでした。

私たちが学生時代にアルバイトをしようと思った時に、色々なジャンルの職業や、働く場所の選択肢があって、その中からやってみたいと思えるものを選んで働いてみた様に、彼らにも色々なジャンルの職業や場所で、働く体験・経験をしてもらいたいと思っています。
このプロジェクトを通じて、障がい者の方々の社会参画の選択肢を増やしてあげることが必要です。
それと同時に、「これならやってみたい!」と思わせる様な、ワクワクするジャンルのお仕事を体験する機会を用意して上げることも必要です。

参加した障がい当事者の方々が共に働く仲間やお客様から「ありがとう」と言われることで、誰かの役に立ち喜ばれることを覚え、自信や誇りを身につけていき、その自信が能動的な行動へとつながっています。
これまで人前に出る経験や一般の不特定多数と関わる機会が少なく、その経験が乏しかった人も、この体験を機に人前に出たことが自信となり、 社会参加に向けた第一歩を踏み出していきます。

また、福祉事業所に通う障がい者の方々の平均工賃は、就労継続支援B型事業所では16,369円、時給に換算するとわずか約223円でしかありません。
※「令和元年度工賃(賃金)の実績について」厚生労働省
彼らが就労体験に参加し、4時間程度の仕事で2,000円を得ることは、現在の時給(223円)を考えると、大変大きな収入となります。
就労体験に複数回参加し、事業所の工賃プラスα の収入を得た方からは、「妹に誕生日プレゼントを買いました」、「母の日に花をプレゼントしました」、「いままで欲しくても買えなかった時計を買いました」など、たくさんの素敵な報告がありました。「働いてお金を得る」ということも、この体験を通じて得られる、大事な経験の1つだと考えています。

■障害当事者をはじめとする参加者の声(原文のまま)
・仕事の大変さを学んだ。少しずつだけど社会活動への抵抗が減ってきた。集団の中での自由時間が苦手だと気づくことが出来た。(20代男性/ひきこもりの方)
・普段通っている事業所の方以外の方ともお話ができた。 色んな人が関わって、一つの試合を作り上げていく意味や大切さを学んだ。(30代女性/精神障害者)
・1つ1つ清掃することの大切さを学んだ。仕事で諦めないことを学んだ。拭き清掃が長く集中することが出来た為、半分今回行った仕事に対して向いていると気づくことが出来た。(10代男性/知的・発達障害者)
・久しぶりの労働だった。最後までやれてよかった。(50代男性/精神障害者)
・コロナウイルスの対策をした中での外部の仕事の経験ができた。(30代男性/施設職員)
・久しぶりに就労体験ができて楽しかった。これからも続けてほしい。(40代女性/身体・知的障害者)
・楽しかった。またやりたい。(40代女性/知的障害者)
・こういう仕事もあるんだなと思った。清掃系嫌いだったけど意外と楽しかった。(20代女性/知的障害者)
・人付き合いや気配りが大切だと学んだ。(30代男性/精神障害者)
・社会にいる楽しさや人と話す嬉しさを感じることができた。自分が体験したことを将来の仕事に活かせたらと思うようになった。自分の大好きなプロレスの仕事に関われて幸せだった。(20代男性/ひきこもりの方)
・みんなと働けてよかった。体調管理を意識するようになった。(30代男性/知的障害者)・どんどん社会に出てしっかり自分の手でひとつを決めてチャレンジしたいと思った。(20代男性/知的障害者)
・社会に参加することへの抵抗感が減ってきた。(20代男性/ひきこもりの方)
・なんとなく自分がやりたいことが見つかり、感覚がより社会に近くなった。(20代男性/ひきこもりの方)

寄付金の使い道について

さらに全国に本事業を広げて、運営体制構築のための経費として活用させていただきます。
【具体例】
・スタッフの人件費(渡航費、交通費等)
・体験参加者への交通費
・就労体験実施に伴う消耗品購入費等

全国各地で、障がい者をはじめとするマイノリティの方々の働く選択肢と社会参加の機会を増やし、社会へ自然に混ざるインクルーシブな状態をつくるため、みなさまのご支援を賜れれば幸いです。

団体情報
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