Piece of Syriaとは
私たちPiece of Syriaは、「シリアをまた行きたい国にする」ことをビジョンに、2011年より戦争が続くシリアにおいて、最も支援が届きにくい地域を対象に、シリアの未来の復興と平和構築を担う子ども達への教育支援を実施しています。
また、「課題ではなく、シリアの人や文化の魅力を伝える活動」を通した平和教育事業を行なうことで日本国内での国際協力人材の育成に取り組んでいます。

活動の背景、社会課題について
「シリアをまた行きたい国にする」
こんにちは。Piece of Syria創設者・代表理事の中野貴行です。
”また”と聞くと違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、2010年の海外の観光客数で、シリアは世界30位。なんとドバイを有するUAEよりも人気のある国でした。*
*参考:https://tourism.gov.in/sites/default/files/2020-04/2010Statistics.pdf
私中野は青年海外協力隊(現JICA海外協力隊)として、2008年から10年、シリアで生活をしていました。当時のシリアは、治安も良くて、ご飯も美味しく、首都や第二の都市が「古代都市」として世界遺産に登録されるなど、見どころもたくさんあり、すっかりシリアに魅了されました。

食料自給率は108%。「肥沃な三日月地帯」の恩恵で安くて美味しい野菜と果物が取れます。
道を歩いているとお茶やご飯をご馳走になったり、バスに乗ったら隣の人がバス代を払ってくれたり、タクシーに乗ったら運転手さんの家に晩ご飯に招待されることも、シリアを訪れた人にとっては日常の「あるある」です。もちろん、落とし物も返ってきました。
医療・出産・教育も無料で、就学率は99.6%で、昼の2時に仕事が終わって家族との時間を過ごしていました。

しかし、2011年3月から続く戦争は今も続いています。一時期、私が活動をしていた村がテロリストに占領され、小学校の校庭が処刑場にされたこともあります。激戦地となった場所では就学率が6%まで低下するなど、かつては当たり前だった教育が「贅沢品」になったこともあります。
しかし、シリアの人たちに話を聞くと、「教育が大事だ」と皆が口を揃えます。その想いになんとか応えたい!と、2016年から活動を続け、今では3000人超のシリアの子ども達に教育を届けています。
教育を通じて、シリアの人たち自身の力で、復興や平和を実現するためのお手伝いをさせていただいています。それに加えて、シリアの歴史的・文化的魅力や、シリアの人達のあったかい優しさ、熱い想いを、ご支援いただいている皆様に届けています。
それは「かわいそうだから助ける」のではなく、「素敵な人たちを一緒に応援する仲間」に、そして「いつか一緒に平和になったシリアに遊びに行く仲間」になってほしい、という想いからです。
シリアの危機だけを伝えるだけでなく、戦争前まで豊かで平和だった話を通じて、シリアが身近に感じてもらい、どんな国にも戦争は起こりうるし、誰もが難民となる可能性があることを伝えることで、平和の重要性について考える機会を作りたい、と私たちは考えています。
シリアでの教育支援と成果
Piece of Syriaは、2016年の設立以来、どこからも支援が届かない地域に住むシリアの子ども達に教育を届ける活動を続けています。皆さまのご支援のおかげで、2016年から2024年までの8年間で3,000名を超える子ども達が教育を受けることができています。
現在Piece of Syriaは、シリアとトルコの二か所で教育支援活動を行っています。
シリアでは、国内避難民が多く暮らす北西部の街にて、戦争と地震の影響で教育機会を失った子どもたちを対象に「SAKURA幼稚園」を運営しています。地域で唯一の学費無償の幼稚園で、基礎教育だけでなく、戦争や災害からのトラウマに対処するための心のケアの活動にも注力しています。

シリアでは、就学年齢の小学校の退学率が課題となっています。特に教育状況が悪いとされる北西部では、小学校の退学率は55%にのぼります。しかし、SAKURA幼稚園で基礎教育や心のケアを受けた子どもたちは、退学せずに学校に通い続ける可能性が高まり、小学校の退学率は約10%にとどまっています。

無料で高い質の教育を受けられる、と地域からの評判が高く「私の子どもも入園させたい!」と入園希望者が殺到しましたが、定員を超える生徒は断らざるを得ません。その際に、毎月のご支援を届けてくださるパートナー会員様が集まってくださったことで、先生の給与を増やすことができました。その結果、当初は予算の制約から定員100名の生徒数でしたが、2022年からは定員を毎年200名に、2023年からは300名と、受入数を増やすことができています。
トルコでの教育支援と成果
世界で最もシリア難民の受け入れ数が多いトルコでは、国境の街ガズィアンテップにて、シリア難民向けの「補習校」を運営しています。

シリアの戦争が始まった当初、トルコ政府はシリアのカリキュラムでの教育を認めていましたが、戦争の長期化とともに政策を転換し、シリア人学校やNGOによるシリア人への教育支援が禁止され、トルコの学校でトルコ語で学ぶことが義務となりました。
その結果、トルコ語での授業についていけないことや、難民に対するいじめなどの理由が重なり、シリア人の3人に1人が学校を中退するという状況に陥りました。そこで、Piece of Syriaは現地提携団体と共に、自治体の認可を得て2020年より補習校の運営を開始しました。
7歳から15歳の子どもたちが、週末に補習校に通い、トルコ語・アラビア語の授業や、シリアの歴史や文化を学ぶ授業を受けています。また、トルコ人生徒とのアクティビティを通した交流の機会も設け、毎年200名の卒業生の9割がトルコの学校に復学することができています。

補習校を卒業した生徒の一人からは、「5歳の時にトルコに避難してきたので、トルコ語の方が得意でしたが、補習校を通いアラビア語をマスターしました。両親はとても喜んでいます。やっぱり、自分の生まれた国の言語だし、いつかシリアに帰ることを考えても、アラビア語を学ぶことは大切だと思っています」という声が届きました。
緊急地震支援
2023年2月6日発生したトルコ・シリア大地震では、シリア北西部の教職員の家族808世帯にテント・食糧・毛布・家の修復費用を届けるなどの緊急支援を実施しました。
また、自身被害を受けた3つの小学校の校舎修繕、54の小中学校の越冬支援、生徒・教職員・保護者1,000人を対象にした心理ケアセンターの運営を行いました。

戦争に加え地震によって人々が受けた心の傷は深く、専門家のカウンセリング等も取り入れながら、中長期的に心のケアを行っています。
代表者メッセージ
戦争が始まる前、僕はシリアで、青年海外協力隊として活動していました。活動先の村で、当時12才の少女ブトゥーレが「子ども達の夢を叶える学校を作りたいんだ」と夢を語ってくれました。
「とっても良いね!応援するよ!」と僕が答えると「あなたが居たから夢が持てたのよ。だって、あなたは夢をバカにしないで、応援するって言ってくれるでしょ」と教えてくれました。実際、彼女は夢を叶えるために「学校を作るにはお金がいるから」と医師を目指して勉強を頑張っていました。

しかし、そんなシリアで戦争が始まり、2015年に、彼女が住む村はISILに占拠されて、村の小学校の校庭が処刑場になったことを知りました。
「何かできることはあるのか?」と思い、僕はシリア周辺国を半年かけて訪れて、シリアの人たちから話を聞き続けました。すると皆が「子ども達は未来だ。だから教育をサポートしてほしい」と僕に話してくれました。帰国後、Pieceof Syriaを立ち上げ、教育支援を始めました。
ブトゥーレの「子ども達の夢を叶える学校を作る」ことが、僕の夢になりました。皆さんのご支援で教育を受けることができた子ども達は、「将来、シリアの国をよくするために」と、教師・医師・エンジニアなど沢山の夢を語ってくれます。そして、「日本から支援を届けてもらったから夢が持てたよ」と、感謝を伝えてくれます。
あなたのご支援で、夢を叶えたシリアの子ども達が創る平和なシリアに、あなたと遊びにいく未来を本気で叶えていきます!
是非、一緒にその未来を実現する仲間になってください。

Piece of Syria 代表理事 中野 貴行
いただいたご寄付でできること
毎月1,000円のご支援で

戦争・地震によって、心にトラウマを抱えてしまったシリアの子ども3人に、専門家による心のケアのためのアクティビティが実施できます。
毎月3,000円のご支援で

避難生活で収入が安定していない家庭を対象に、授業料だけでなく筆記用具、バッグ、教科書や安全に通園できるバスを提供し、無料で教育を受けられるようになります。
毎月10,000円のご支援で

政府や国連からの支援が届きにくい地域では、先生たちが無給になることもあります。
1年間のご寄付で、先生の給与半年分を届けられます。先生たちの給与が安定することで、教育の質も高まります。
※皆さまからいただいたご寄付は、当団体より海外送金サービスを介して現地提携団体であるMIDAD(Education without Borders)のトルコ口座へ送金し、Piece of Syriaによるプロジェクト管理のもと業務委託をして活動を実施しています。
MIDADはトルコで認可された、教育を専門とするシリア人による非営利団体です。教育問題に取り組む専門家のグループによって設立され、シリア全土、小学校から高校までのすべての教育レベルを対象に、すべてのシリア人のための教育へのアクセスの向上を目指しています。