
Piece of Syriaは、2016年の設立以来、内戦の影響を受けた子どもたちへ教育と心の居場所を届ける活動を続けてきました。
シリア北西部での幼稚園の運営、学校の個者の修復、心のケアセンターの運営、トルコに逃れたシリアの子どもたち向けの補習校の運営など、9年間で5万人を超える子どもたちに教育の機会を生み出しました。この活動は、年間約600人の支援者の方々のご寄付で生まれた成果です。
今なお続く人道危機:新政権下で帰還が進む中で
2011年3月にシリア危機が始まってから14年。戦争前は、無料で質の高い教育を受けることができたシリアでしたが、一時期、就学率は6%まで低下した時期・地域が出るほどの状況になりました。
2024年12月、アサド政権の崩壊という大きな転機を迎え、歓喜と安堵が広がったものの、残された課題は多岐に渡ります。14年もの戦争によって、食料・医療・水・電気などのインフラが破壊されました。経済制裁の解除は進みつつあるものの、人口の約7割に当たる約1,670万人が人道支援を必要としています。一方で、国連が必要だとする支援のうち、15%の予算がしか集まっていない状況です。
独裁政権がなくなって半年以上が経った今も、シリアは「世界最大の人道危機」と言われる状態が続いています。

(Piece of Syriaは今まで4つの学校の校舎の修復を実施しています)
戦争、そして地震の影響で、約2万校ある学校のうち、40%が損壊・破壊され、学びの場が奪われています(NRC、 2025年5月)。治安や経済悪化など、様々な理由から、3人に2人の子どもたちが学校に行くことができていません。
その中で、戦争中に国外や他地域へ避難していた人々が、少しずつ故郷への帰還を始めています(2025年6月時点、政権崩壊後の6か月間でシリアへの国外からの帰還者は約60万人、国内避難民の帰還者は134万人)。この帰還によって、子どもたちを取り巻く状況が大きく変わっています。
”母国”なのに、言葉がわからない:変わるニーズ
国外で生まれ育ったシリアの子どもたちの大半は、避難先の国の言語が第一言語となり、シリアの歴史や文化を学ぶ機会もありませんでした。トルコだけでも、70万人がトルコで生まれており、彼らはトルコ語で、トルコの教育カリキュラムを学んでおり、アラビア語の読み書きができません。
UNHCRは、2025年に国外から100万人がシリアに帰還する、と予想しています。しかし、母国語であるアラビア語や、シリアの教育カリキュラムを学んだことがない子どもたちが、シリアの学校に戻ることは非常に困難です。
新政権は、学校の修復と運営について、積極的に改善を進めていこうとしています。そこで、私たちNGOの役割として、シリアに帰還した子どもたちが学校に円滑に戻ることができるようにするための支援が必要とされています。

(トルコで、シリア難民の子どもたちにアラビア語・シリア文化を教えてきました)
母国語を学び、学校に戻るための補習校を支える
私たちは、シリアに帰還し、再定住を目指す家庭の子どもたちに向け、アラビア語を中心とした補習校をアレッポ市内に新たに創設します。
補習校では、新学期が始まる9月から、300名の子どもが週5回通い、アラビア語を中心に3時間の授業を実施します。
トルコで運営していた補習校(元々、トルコの学校に戻るためのトルコ語の補習を行っていました)では、9割の生徒が公立校への復帰を達成しており、今までの知見を活かし、子どもたちに未来を切り開く力を築いていきます。

教育支援は1回だけの支援や1ヶ月のプログラムではなく、中長期の視点での取り組みが必要です。また、まだ経済制裁や外務省が高い危険度を設定しているシリアにおいて、変化する状況に臨機応変に対応しなければなりません。そのために、政府や国連のお金ではなく、皆様からのご寄付によって、柔軟に現地のニーズに対応した支援が不可欠です。
そこで、ぜひ、団体設立9周年という節目に、「パートナー会員(月1000円からの月額寄付会員)」となって、継続的な教育を支える仲間になっていただけませんでしょうか?

1日100円で、生徒1名の復学、先生の家族を守ります
補習校の運営には、先生の人件費、教科書、水道光熱費、心のケアのアクティビティなど、1人あたり月約3,000円の費用がかかります(1日あたり約100円)。
この支援は、子ども1人が学習できる環境が生み出すだけでなく、先生たちの安定的な雇用にもつながります。現在のシリアでは、先生が教師の給与だけでは生活することが厳しい状況にあります。

新政府は、給与を増やすために動いていますが、物価の高騰やインフラの不足から生活に必要なお金も増えており、教育に専念することが難しい状況も見られます。しかし、皆様からのご寄付で、補習校で働く先生たち12名に給与を安定的に届け、先生が家族を守り、教育に集中できる環境を作ることができます。それは、教育の質の向上にも繋がります。

あなたの寄付は、子どもたちの未来、そしてシリアの先生の家族を守ることにつながります。
教育を受けた子どもたちの声


今、シリアでは「帰れること」と「生きていけること」の間に大きなギャップがあります。
そのギャップを埋めるのは、教育の力です。
帰還が進む中で、教育の継続は、未来への希望そのもの。
今こそ、途切れない支援が必要です。
私たちPiece of Syriaは、どんな状況でも、子どもたちの「学びたい」に応える存在であり続けたいと思っています。
あなたの1ヶ月1,000円の力が、その願いを形にしていきます。
シリアの未来を支える仲間になりませんか?

Piece of Syria について
戦争によって教育の機会を失ったシリアの子どもたちへの教育を届け、平和構築・復興を担う人材を育成するために、2016年に設立されました。
戦争の長期化を受けて、継続的な支援の必要性を鑑み、2021年に「シリアをまた行きたい国にする」というビジョンを定め、NPO法人化を行いました。
日本国内において、課題ではなく魅力を伝えることを重視し、支援活動だけでなく平和について考える機会を提供することで、「未来の平和をつくる新しい世代」の育成を目指しています。
シリアでの支援活動においては、資金が意図せず武装勢力などに流れることを防ぐため、日本のNGOには「テロ資金供与防止」の観点から、現地での直接的な送金や活動が厳しく制限されています。そのため当団体は、皆さまからいただいたご寄付を、海外送金サービスを介して現地提携団体であるMIDADのトルコ口座へ送金し、Piece of Syriaによるプロジェクト管理のもと業務委託をして活動を実施しています。MIDADはトルコで認可された、教育を専門とするシリア人による非営利団体です。教育問題に取り組む専門家のグループによって設立され、国連など国際機関との共にシリア全土、幼稚園から大学までのすべての教育レベルを対象に、すべてのシリア人のための教育へのアクセスの向上を目指しています。また、第三者によるモニタリングや定期的な報告を通じて、透明性と安全性の高い支援活動を実現しています。
こうした活動が評価され、2023年にはNewsweek日本版「世界が尊敬する日本人 100」に代表が選出され、2024年にはForbes Japanの『いま注目すべき50のNPO』にも選ばれました。
<メディア掲載:NHK Word、読売KODOMO新聞、朝日新聞「ひと」欄、J-Wave、ニッポン放送ラジオ、NHK、読売テレビ、テレビ朝日など>
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