NPO法人POSSEは2006年の発足以降、年間数千件の労働相談に対応してきました。その中には、「ブラック企業で働いていた子どもを亡くした」、「ハラスメントを受けていた夫が自死した」といった、過労死・ハラスメント自死に関する相談も多く寄せられています。
国に過労死対策を義務付けた「過労死防止対策推進法」が制定されて10年が経過しましたが、過労死はなくならないどころか、長時間労働やハラスメントで病気になったり、命を落としている人はますます増えています。
毎年国が労災と認めるだけでも200人近い人が過労死していますが、実際には「会社が嘘の証言をして、証拠が集まらず労災申請できない」といったケースや、「会社がタイムカードなどを破棄して職場でも箝口令を敷いたため、長時間労働を証明できずに労災が不認定となった」と意図的に証拠隠滅を行って権利を行使できない状況に多くの過労死遺族が追いやられています。
企業や国によるうわべだけの「過労死対策」ではなく、長時間労働やハラスメントがなくなるような実効的な過労死対策を求めていくためにも、過労死遺族へのサポートが必要です。過労死をなくしていくための取り組みに、ご支援よろしくお願いします。
2024-12-15 13:16
12月8日(日)家事労働者過労死事件の闘いを報告するイベントを開催しました!
先週日曜日、初台区民会館とオンラインのハイブリッド形式で「家事労働者過労死裁判の勝訴判決の意義と展望」と題したイベントを開催しました。102名もの方にご参加いただき、今後の過労死やケアワーカーの運動の方向性について議論しました。
家事労働者過労死事件の闘いを報告するイベントを開催しました!
多様な人々がケア労働者の権利を守るために結集
2015年、個人宅に住み込みで家事労働を担っていた当時68歳のYさんが、一日24時間・一週間働き続けた末に、心筋梗塞で倒れて亡くなりました。Yさんの遺族は、これは過労死であると考えて労災申請をおこないましたが、労災不支給とされました。
その背景には、個人宅と契約をして働く家事労働者には、労基法・労災保険法をはじめ労働法の適用除外とするという、戦後77年間続いてきた差別的な法律の存在がありました。これをおかしいと考えたAさんは、NPO法人POSSEに相談し、弁護士の協力のもとで国に対して裁判を提起することを決意しました。
東京地裁の第一審では敗訴となったものの、法廷外で署名提出や厚労省への申し入れ、裁判傍聴支援とその後の集会など、社会運動を地道に広げていった結果、2024年9月19日、東京高裁にて逆転勝訴を勝ち取りました。本イベントでは、これまで闘いをつくりあげてきた人々が登壇し、今後の運動の展望を議論しました。
詳しくはこちらの報告記事をご覧ください。