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僕は今も、うつ病を患っています。
うつ病は、近年社会的にも認知が広まってきた、いわゆる「心の病気」の一つです。
うつ病は、病気の中でも珍しく、自分で自分の身体を殺す病気です。
僕は高校二年の冬、勉強や学校行事の頑張りすぎや人間関係のもつれなどから、うつ病を患いました。
生まれ育った香川で精神科医になりたくて、香川大学医学部医学科を志望し、
そのために香川の進学校で成績をしっかり残しながらも、生徒会に三年間就任し、
高校二年生では生徒会長を務め、学校中の生徒や先生方から一目置かれていました。
でも、うつ病になったその日から、「優等生」だった僕はすっかり変わってしまいました。
完全不登校になり、生徒会どころか授業にすらろくに参加できず、かろうじて定期試験だけ受け、
国公立医大に進学するどころか、高校を卒業できるか、ましてや毎日死を渇望し、明日の命すら保障できない毎日を送り、
ろくに食事を摂らず一日中家に引きこもり、口を開けば家族や友達を悲しませるようになりました。
何とか高校を卒業した後は、なんでもいいから「生きる理由」を求めて、
SNSの世界で同じような子どもたちに対して偽善者を演じることで承認欲求を満たしていた僕、
そんなボロボロの僕に「未来」を与えてくれたのが、NPO法人未来ISSEYという団体でした。
未来ISSEYでグッドブラザーとしてボランティア活動を行う中で、
「小児がん支援」と正面から向き合うことで、僕は「命の尊さ」というものを再認識し、
「せっかく命があるなら、まだ生きていたい……!」と、漠然とですが思えるようになりました。
グッドブラザー事業は、病気と闘う子どもたちとそのご家族、きょうだいさんを支援すると同時に、
グッドブラザー自身の人間性の育成に繋がっていると僕は思っています。
「僕が未来ISSEYのグッドブラザーとして今日まで生き続けていること」
それが、グッドブラザー事業のもう一つの効果を証明していると思います。
余談にはなりますが、グッドブラザーの活動に影響を受けて、今の僕には、
「小児病棟の看護師になって、子どもたちの笑顔を守りたい!」という新たな目標もできていたりします。
グッドブラザーの活動によって考え方が大きく変わっていった僕は、
昨年の冬からアルバイトという形で未来ISSEYで働くようになりました。
未来ISSEYで働いていくうちに、僕は徐々に社会性を取り戻していくことができました。
晴れて未来ISSEYのスタッフとなった僕は、
早い段階からエールバッグ事業のスタッフとして働くことになりました。
「バッグにいろいろと詰めて病院に届ける……それだけ?」
正直新米の僕はエールバッグの重要性、そして未来ISSEYのスタッフたちがこの事業に込めた熱意を知りませんでした。
毎月エールバッグの中身を考えるのですが、必ずと言っていいほど、僕の準備は大きく修正が入りました。
「エールバッグって、支援物資というより、みんなの想いを病棟に届けているんじゃないか?」
毎月現場で準備していく中で、徐々に僕はエールバッグとは何かを知っていきました。
エールバッグボランティアの皆さんも、そのように感じてくれているようでした。
「グッドブラザー事業」と「エールバッグ事業」
これらの事業は主目的である「病気と闘う子どもたちとそのご家族、きょうだいさんを笑顔にする」ことに加え、
僕のような「地域の人々(主に若者)の人間性を育成していく」ことにもつながっていきます。
そして、「グッドブラザー事業もエールバッグ事業も、未来ISSEYのスタッフだけではできないな」と、僕自身の体験を通じて思うことがよくあります。
さらに言えば、日々多岐にわたって活動している未来ISSEYのスタッフにも生活があります。
そのお給料は、皆さんの寄付によって成り立っていることを考えると、
皆さんの金銭的、あるいは実働的なご協力なしに、未来ISSEYは絶対に成り立たないのだなと感じます。
長くはなりましたが、このクラウドファンディングを見つけていただき、本当にありがとうございました。
僕はこのクラウドファンディングの成功を、地域の皆さんの「未来」のために心から祈っています。
髙橋利玖