電車内で痴漢被害に遭っていた女子高校生の手記
痴漢抑止バッジの原型となったカードをつけて電車で通学する 考案者のたか子さん(2015年撮影)
痴漢に関する警視庁 発表のデータ(2018年)
日本で1番多い性犯罪は、痴漢(迷惑防止条例違反)です。その半数以上が電車内で発生しています。
盗撮などを含めると、電車と駅構内で痴漢行為の70%以上が発生していることがわかります。
時間別グラフを見ると 7時~8時の通勤通学時間帯のラッシュ時間に被害が突出しているのあきらかです。
年齢別グラフにも注目してください。10代が28.3%、20代が42.6%で合わせて70%以上を占めています。
このデータをみて多くの方が20代が一番痴漢被害にあっていると思ってしまうようです。
でも、考えてみてください。10代で電車通学をするのは高校生になってからが大半です。10代と20代は母数が違うのです。そして痴漢加害者はほとんどが男性サラリーマンです。この数値は高校生が、サラリーマンに痴漢行為をされ、犯人を捕まえて駅員さんにも協力してもらい警察へ訴え起訴した件数です。
そのハードルの高さを考えれば、この数字の影に何も言えずにいる子供達が大勢いることが容易に想像できるでしょう。2010年に警察庁が行った調査報告「電車内の痴漢防止に係る研究会」でも、被害者のうち警察に通報・相談したのは約1割という結果が出ています。
グラフに現れてる数字がすべてではありません。私たちがこれまで聞いてきた中でも「制服を着ている時が一番痴漢にあった」という人は、非常に多いです。
電車の中で、多くの高校生が痴漢にあっているのは間違いない事実です。
電車内で発生する強制わいせつ
この活動を始めてとてもショックだったのは、強制わいせつ罪の発生場所として電車内の占める割合が15%もあるという点です。ひと気のない公園や夜道ではなく、満員電車の中で強制わいせつ罪が日常的に起きている。それが今の日本の通勤通学風景です。
痴漢を未然に防ぐ
痴漢抑止バッジとは?
「痴漢抑止バッジ」を考案したのは、当時、高校生だった殿岡たか子さんです。彼女は、高校生に入学してから1年間、毎日のように通学電車内で痴漢に遭い続け、「もう二度と痴漢に遭いたくない!」と決意して「痴漢は犯罪です。私は泣き寝入りしません!」と描いたカードを作りました。そのカードを鞄につけて電車に乗ると、ピタリと痴漢に遭わなくなったのです!
たか子さんは、4ヶ月間、このカードを付けて登下校を続けました。
その間、一度も痴漢にあわなかったので、彼女の母親が「同じように悩んでいる子の役に立てば……」と考え、それまでの経緯をSNSにアップしました。
そこから「もっと着けやすいデザインの缶バッジにして、被害に遭っている大勢の子に届けよう」と痴漢抑止バッジプロジェクトが立ち上がりました。
なぜ、バッジ1つで痴漢被害がなくなるのか?
「缶バッジ1つで、本当に痴漢が防げるの?」と思う方もいるでしょう。
考案者のたか子さんも、それまでの目立つカードに比べて小さい缶バッジに変えるのは不安だったそうです。けれど、缶バッジにしてからも、彼女は痴漢に遭いませんでした。
プロジェクトでモニターを募り、埼京線沿いの女子校の生徒さん70名に9ヶ月使用してもらったところ、94.3%が「効果を感じた」と回答しています。
ちなみに「変化なし」は「今までも痴漢にあっていない」、「効果がないと思う」という回答は「友達がそう言っていた」という理由で、バッジをつけていて痴漢にあったという人は一人もいませんでした。
痴漢加害者治療の専門家の見解
痴漢加害者の治療を長年行ってきた斉藤章佳先生(大船榎本クリニック精神保健福祉部長・精神保健福祉士・社会福祉士)も、痴漢抑止バッジの効果を認めてくださっています。
斉藤先生は「痴漢行為は性欲解消のために行われるケースは少なく、多くはストレス解消のために行われる」と著作「男が痴漢になる理由」の中で述べています。
当センターが、斉藤先生に面談を申込み、痴漢抑止バッジへのご意見とアドバイスを求めたところ、「性犯罪の加害者治療と抑止は、電車内痴漢犯罪を解決するための両輪。痴漢抑止バッジは、これまで手段が見つからなかった“初めての痴漢”を思いとどまらせる効果がある。」と評価をいただきました。
その後、斉藤先生が治療を担当している痴漢加害者に「電車の中で、この缶バッジをつけている子がいたらどうするか?」と質問したところ「イヤがっている子には、痴漢はしない」と答えがあったと伺っています。
斉藤先生は、2019年より当センターのアドバイザーとして痴漢抑止バッジデザインコンテストに関わってくださっています。
痴漢抑止バッジ ユーザーの声
痴漢抑止バッジのユーザーから、ハガキで多数の声をいただいています。
- 痴漢抑止バッチを付けてから痴漢されることがなくなりました。(みずき:18歳,女性)
- バッジをつけて、とっても安心して電車に乗ることができました。バッジをつけることによって、自分たちの意志も強くなり痴漢にあいにくくなったと思います。(17歳,女性)
- 缶バッチをつけてから、周りに女性の方が立ってくれるようになりました。(16歳,女性)
- 缶バッチのおかげで身体的、心理的に守られてると思います。(高校生・女性)
- 缶バッジのおかげで自分の身が守れた気がします。(16歳,女性)
- ちかんされなくなりました(はーちゃん,女性)
- 缶バッジをつけて、ちかんされることはなかったです。
- 私の電車は武蔵野線で、毎朝とても混んでるんですけど、ちかんされることなく、無事に学校に着くことができました。(匿名希望:17歳,女性)
- いつどこで自分が嫌な思いをするかもわからないし、バッチを付けているだけでも恐怖心が少なくなり安心して通学できるのはいいと思いました。
被害者を孤立させず、行動する学生を支え社会を変える!
痴漢抑止バッジのデザインは、将来デザイナーを目指す学生(中高校生、大学生、専門学生)を対象とした「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」で公募しています。
コンテストは、より多くの人が社会の課題である痴漢犯罪への対策を一緒に考える機会とするために開催しています。
性暴力被害は、加害者と被害者の問題にされがちです。
「自分は電車通学していないから関係ない」「男だから被害に遭わない」とスルーしないで、自分と同年代の仲間が被害にあっている現状を自分たちの力で解決できると知ってもらいたいのです。
審査には、学校協力のもと中高校生に参加していただいています。生徒の皆さんには、センターが制作したアニメーション「学生に知ってほしい痴漢の真実」を見て、防犯知識や痴漢に遭ってしまった時の対処を学んでもらいます。
また、最終審査は商業施設のギャラリーやWEBで投票を受けつけ、より広い世代がこの問題に関心を持てるように工夫しています。
単にデザインを募るだけではなく、痴漢抑止に対するメッセージも寄せてもらっています。痴漢犯罪について考えた彼らがジェンダー意識の高いデザイナーとなって社会で活躍するようになれば、世の中に出るデザイン・メッセージが変化するでしょう。
今、被害に遭って悩んでいる子たちはを漢抑止バッジで守り、30年後の社会を変える人材をコンテストで育てたい。
そのために、当センターは「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」を継続しています。コンテストは、国土交通省・文部科学省(2020年~)、警察庁(2021年~)に後援をいただいています。
ぜひ、あなたもこのプロジェクトを支えるサポーターになってください。
ご支援の使い道
2022年3月から痴漢抑止バッジを無償化しました。月1000円のご寄付で、痴漢抑止バッジを必要とする方にバッジを贈れます。
ご支援金は、バッジの無料配布の他、活動継続のために使わせていただきます。
100年以上続く電車内の痴漢犯罪を解決するために、活動趣旨に賛同くださる方からのご支援を必要としております。
掲載メディア(一部抜粋)
○朝日新聞 ○毎日新聞 ○読売新聞 ○日本経済新聞 ○中日新聞 ○東京新聞 ○京都新聞 ○産経新聞 ○AERA ○共同通信 ○教育社 ○月刊 生徒指導 ○Forves Japan ○Yahoo! JAPANニュース ○The Japan Times ○BuzzFeed News ○ハフポスト ○FNNプライムオンライン ○withnews ○日本テレビ 「NEWS24」 ○BBC NEWS JAPAN ○NHK あさイチ ○NHK おはよう日本 ○NHK シブ5時 ○Abema TV ○ねとらぼ ○プレジデントウーマン ○まいどなニュース ○マイナビニュース 他多数
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クレジットカードもしくは銀行振込でご寄付いただけます。
随時、一口1000円からオンライン決済にて寄付を募集しています。寄付に金額は関係ありません。
寄付くださった方に、サイトやメールにて活動報告をお送りいたします(不定期)。
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・銀行名:ゆうちょ銀行
・支店名:〇九九店(ゼロキュウキュウ)
・口座種類:当座
・口座番号:0276835
・口座名義:一般社団法人痴漢抑止活動センター
口座種類は「当座預金」です
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