痴漢抑止活動センター
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●女の子が(10歳以上)で、ショッピングモールや電車通学は危険です。 ●男の子も(10歳以下)は、1人でトイレに行かせてはダメです。 →女の子は2人に1人の性被害。 →男の子は10人に1人の性被害。 →どちらも、被害にあうのは小学校入学前から だから、私たちは「1人にしない社会」をつくろうとしています。 あなたの寄付が、その第一歩になります。 女性専用車両が100年前からあったというのをご存じですか? 電車内痴漢は、100年以上も解決されない社会課題です。 そんな中、「痴漢抑止活動センター」は、「痴漢抑止バッジ」の普及をしています。この活動の目的は、「現在、電車内で痴漢被害にあっている子どもたちを守るとともに、社会全体の性犯罪・性暴力を根絶すること」です。 【バッジ効果94.3%】 痴漢犯罪を未然に防ぐ対策として、痴漢抑止バッジの無料配布は、皆さんの温かいご支援によって実現しています。私たちの活動には、あなたのご支援が必要不可欠です。共に力を合わせ、安全で平等な社会の実現に向けて一歩踏み出しましょう。
2025-12-11 10:00
いまだに「嘘松」と言う人へ。痴漢被害の多さは“女性側の問題”ではない
痴漢被害について語ると、いまでも「女性の被害妄想では?」「嘘松」などと言う人がいます。 しかし、痴漢(性暴力)被害の多さは女性が大げさに語っているからではありません。 一部の加害者が行為を繰り返し、膨大な被害を生み出すという“構造の問題”が根底にあります。 社会の認識が大きく変わりつつある今、なぜ古い見方が残り続けてしまうのか、その背景と現実についてお話します。

「まだ、こういう人がいるのか」と感じた出来事から

先日、Xで目にした言葉に胸がざわつきました。「(痴漢は)交通事故よりはるかに遭遇する可能性が低い」「痴漢の被害体験談は嘘松だ」。
十年前なら珍しくなかった発言ですが、いまもなお、この認識のまま止まっている人がいることに驚きを覚えました。

私は痴漢抑止の活動を続ける中で、社会が少しずつ変わってきた実感を持っています。
とくに2017年以降、社会が被害者へ向けるまなざしや加害行為の理解が大きく変わったと感じてきました。
だからこそ、今も「嘘だ」「話を盛っている」と決めつける発言を見ると、やりきれない思いがこみあげます。

今回の記事では、こうした“認識のズレ”がなぜ生じるのか、そして痴漢という犯罪の構造をどのように理解すべきかを、丁寧に書き残しておきたいと思います。

■痴漢は「一件ずつ起きる犯罪」ではありません

「そんなに痴漢に遭うわけがない」という考え方は、犯罪の性質を誤解しているところから生まれます。 交通事故のように独立して発生するできごとではなく、痴漢は“ある構造”の影響を強く受ける犯罪です。

その構造とは、 一部の加害者が、長期間にわたり反復的に行為を繰り返す という事実です。

痴漢加害者本人が語った証言を読むと、この構造がよく分かります。
リディラバが公開した「何度捕まってもやめられなかった 痴漢加害者の告白」では、加害者が三十年以上行為を続けていた例や、一日に十件近く繰り返していた例が紹介されています。

加害者自身がこう語ります。

「一人の加害者が、数千、何万もの被害を生む。ひとりが止まるだけで救われる人はものすごく多い。」

この言葉に、痴漢という犯罪の本質が凝縮されています。
被害者が多いのは“女性が被害妄想だから”ではなく、“加害者が反復し続けているから” なのです。

■被害の声が多いのは、構造がそうなっているからです

「みんなが痴漢に遭ったと言うのは怪しい」「嘘松では」という意見もあります。
しかし、構造が理解できていれば、被害の声が多いのは当然だということが分かります。

もし、一生のうち一度だけ痴漢をする人が人口のごく一部という世界なら、今のような広がり方にはなりません。
現実はそうではありません。
加害者は繰り返します。
そして、その反復によって、多くの被害者が生まれてしまいます。

この点を理解できていない人ほど、「そんなに多いはずがない」と感じ、結果として被害者を疑ってしまいます。
しかし、それは“現実の構造”とは逆方向の認識です。

■2017年を境に、社会の理解が大きく変わりました

痴漢に関する社会の見方が大きく変わった転機が2017年でした。
この年、精神科医の斉藤章佳先生が『男が痴漢になる理由』を出版しました。

斉藤先生は痴漢抑止活動センターのアドバイザーも務めてくださっていますが、この本は当時、社会に大きな衝撃を与えました。
ニュースやインタビューで繰り返し取り上げられ、本を読んでいない人にも、“痴漢は根性論や性癖で説明できるものではない”という認識が広がりました。

先生が明らかにした主なポイントは次のとおりです。

・痴漢は依存症的な反復行動として繰り返されること
・治療を受けなければ止まらないケースが多いこと
・“普通の男性”も条件次第で加害に陥る可能性があること
・被害の多さは加害行為の反復と密接に結びついていること

これらが広く知られることで、加害者の行動が「異常ではなく、構造として説明される問題」であると理解されるようになりました。

この年に、線路をは知って逃げる痴漢の動画がSNSに拡散されたこともあり、社会の空気は明らかに変わりました。
徐々にですが、被害者の声が真剣に扱われるようになり、痴漢は“悪質な犯罪”として認識されるようになりました。

■それでも、まだ古い認識のままの人がいます

だからこそ、今でも「被害妄想」「嘘松」と言う人を見ると、驚きを感じます。
十年前なら珍しくなかったかもしれませんが、2017年以降の社会の変化を考えると、これらの発言は完全に時代遅れです。

こうした言葉は、被害者の経験を否定するだけでなく、構造理解の欠落を示しています。
そして何より、被害にあって苦しんできた人たちの心に深い傷を残してしまいます。

怒りというより、静かに沈むような感情が湧きます。 「まだ、こういう認識のまま止まっている人がいるのか」と。

■痴漢を減らす鍵は「加害者を減らすこと」です

痴漢をなくすために必要なのは、“すべての男性に疑いの目を向けること”ではありません。
少数の加害者を減らすこと です。

この点に関して、痴漢抑止活動センターは立ち上げ当初から方針を変えていません。だから、多くの男性から応援のメッセージや、サポーターとしてご支援もいただいています。

加害行動の特性から、ひとりの加害者が治療につながるだけで、救われる被害者は何百人、何千人と増えます。
これは、冤罪のリスクを減らすことにもつながります。

痴漢被害の多さは、女性側の問題ではありません。 構造の問題であり、加害者側の反復行動の問題です。
この理解が広がるほど、私たちは確実に痴漢を減らすことができます。

繰り返しになりますが、痴漢は “一部の加害者が、膨大な数の被害を生む犯罪” です。
ここを理解すれば、「被害妄想」「嘘松」という言葉が、いかに現実からかけ離れているか、被害を訴える女性を傷つけるものか判っていただけるでしょう。

声をあげられなかった人の分まで、社会が事実を見つめること。それが、痴漢を減らす確かな一歩になると信じています。

これからも、痴漢犯罪の構造を伝えながら、被害者が安心して声を出せる社会をつくっていきたいと思います。そのために、私たち大人が被害者の声を受け止め守っていかなければなりません。

一緒に、痴漢(性暴力)のない社会を目指しましょう。

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